大型書店で、目立って積まれていた「激変する弁護士」(宮田一郎弁護士=ペンネーム・令和3年1月)という本を購入した。

 購入の動機は、弁護士増員の中で、会社や役所に勤めたり、様々なグループで活動をする弁護士、更にはグループで事務所を設立する弁護士などで工夫と苦労を続けている現状の説明を期待していたが、実際には古くからある、弁護士は金もうけに走って、横領などをする者も絶えない、人権派弁護士の経済的基盤は失われつつある・・というものだった。

 

 内容は、次のようになっている。

・ 今は、大量増員の結果、弁護士の収入の中央値が400万円で、200万円から500万円の弁護士が多い。

・ 最近は依頼者(から)の預り金を着服したり、詐欺事件を起こす弁護士が増えている。

・ 弁護士は他人の喧嘩の一方に肩入れする仕事なのでストレスが生じやすく、酒を飲んで、裁判官の悪口を言う。

・ 弁護士の平均的な収入はそれほど多いわけではなく、大企業の社員に比べれば少ない。

・ 感情的な対立のある事件で依頼者からの評価を受けるために、相手方を攻撃することに熱心な弁護士が増えた。

 

                      

 

・ 自分の周囲でも、昔は豪快な趣味などをもっていた弁護士が刑務所に行った複数の例がある。

・ 高額の報酬を払う依頼者と、そうではない依頼者とで極端に対応を変える弁護士がいる。そういう弁護士は裁判官の前では必要以上に低姿勢になる。

・ イメージは不動産業や金融業のビジネスマンのイメージである。アメリカでは交通事故があると弁護士が駆けつけるのが有名だが、日本もそれに近づいている。

・ 弁護士の増加の結果、日本の人権派弁護士の経済的な基盤は失われつつある。

・ いじめやDV事件で、加害者側のために事実を隠蔽したり擁護する弁護士も多い。

・ 弁護士を支えているのは、社会的強者や「勝ち組」である。市民から見て、弁護士は利益のために「なんでもする」のである。

・ 弁護士は、事件が終われば縁を切って次の仕事をする。弁護士の増加は無責任に拍車をかけている。

・ 法律家などは、受験勉強のときから、「無駄なことをしない」、「損か得かを瞬時に見分ける」能力を身に着けている。

・ 法律家は、証言で嘘をつき、言うことが変遷するものを「信用できない」と言って切り捨てる。正直な人は説明に迷うことがある。そういう正直な人は裁判では信用されない。

・ 裁判官は、難しい問題もパターンに当てはめれば簡単に判断できるという「魔法のルール」を持っている。証言台に立ったとき、「自分にとって都合の良い情報だけを見る」ような人間の本質の理解がない。

・ 法律の理解だけで、賢明な判断ができるというものではない。

 

 このような意見は、反論の余地のないものに見えるが、実は何十年も前からの古典的な視点のものになっている。

 これに対する意見は次回に書きます。