日本でも、平成16年のADR法の制定から、民間を含む紛争解決手段が注目されています。

 先行しているアメリカを見ると、裁判への提起の前後に裁判所や民間のADRが関わり、紛争の90%(提訴されたものの87%)は証拠調べ(トライアル)の前に解決するそうです。

 アメリカのADRにどんなものがあるかというと裁判所の和解や裁判所が回付して行う調停と、民間が行うADRがあるようです。民間のADRでも時効の進行が停止されるなど優遇されています。裁判所のADRと民間のADRの比率がどうなっているかは秘密になっています。

 裁判所の調停は日本でも多く行われていますが、日本の調停委員は「(弁護士や)民事家事の専門知識の持ち主、社会生活上の知識経験を有する人格識見の高い者」から裁判所が選任します。

 アメリカの調停委員はメディエーションというそうですが、大学院での履修、調停技法の収得、及び実習訓練を経て「調停者」の資格を取得します。

 

               

 

 メディエーションは調停を職業とし、それによって生計を立てています。

 アメリカのメディエーションでは、対立する当事者の意見や譲れないところを聞いたうえで、ときには対面させたうえで、場合によっては解決案を当事者に提案させて、当事者に決定させる方法を理想としているそうです。

 民間ADRでも考え方は同じと思われます。

 この「対立する当事者を、ときには対面させ、解決案を提案させて、当事者に決定させる」という進め方を改めて考えると、我が国の調停委員もこのように考えている人が多いようです。

 このような進め方の場合、弁護士の、法律的にはこうなるはずで、調停がまとまらなければ裁判で決めてもらいたい~~という手法とは真っ向から対立しそうです。

  日本の調停委員は、調停の基礎訓練を受けている人というよりは裁判手続きに関わってきた裁判所の書記官OBが中心になっているという違いがあります。弁護士からみて、調停委員が双方の意見を集約して上手に和解に持って行ってくれれば有難いのですが、裁判官が日ごろから和解で苦労されているのを見ると困難なことに思えます。

  書記官は、失礼かもしれませんが、当事者や書類の確認とか、進行の管理が殆どと思いますから、その辺の違いをどう考えたらよいのか、弁護士は、調停の方向が合わないようだと思ったら (相手が強硬な場合を含めて) 早めに調停を断るほかないのかどうかも考えてみることになりそうです。