気になる言葉遣い 三つ。
「なかなか」。
国会の答弁やマスコミのインタビューで「なかなか難しい問題です」と言っています。
最近は減りましたが、裁判官が薄笑いをしながら、「なかなか難しいですね」と言うときは、「NO」を意味します。
国語辞典をみると、「なかなか」という言葉には、肯定と否定の両方の意味があります。
肯定には「デザインもなかなかだ」というような形容詞、「なかなか面白い」という副詞、それに「なかなかア!」という感動詞がるようです。否定には「なかなか難しい」という用法があります。
政治家などが「なかなか難しい」と言うのが気になる理由は、具体的な説明を避けながらポーズを取っているように見えるからのようです。
多義的で気取りを感じさせる言葉を、政治家や裁判官があまり考えていない様子で言ってきたときは眉に唾ししたくなります。
まして、若手法曹が「なかなか」などと言うのはいただけません。
「難しい」。
手間がかかるとか、厄介だという意味です。
社会的な立場がある人が、意見を「難しい」から始めるときは、同じように、具体的な説明を避けながらポーズを取っていることが感じられます。
民間会社などで、上司に「難しいデスネ」などと言ったら笑われるでしょう。誰の仕事でも難しいに決まっているのに、「難しい」と、多義的な飾りをつけて展開をストップしているようでは、緊張感なく、気取っていることを露呈しています。まあ、使い方の程度の問題でしょうが。
「思うところ」。
これも、同じように気になります。「ところ」は、「場所」や「時点」を示す場合、始まるとか終わった「状態」の場合、それに「ところで」という「接続詞」があるそうです。
「今帰ってきたところ」という用法は普通ですが、「思うところ」「検討したところ」という言い方は、ちょっと気取った気がします。
正式な会議や真面目な議論どは使えないはずです。
私の意見は、厚化粧を感じるような言葉は、不快感がともなうということです。
そういう目で見ていると、不思議と目の前でそういうことを口にする人は減るようですが。
次回も、気になる言葉シリーズで・・。