読みやすい文章を心がけます。

 これまで、調停について、継続的に見ていただいています。この分野から改訂しました。旧25も残しています。

 

・ 調停委員の募集と面接

 家裁の調停委員は募集制です。

 東京家裁では、応募するときに応募動機のレポートを2枚くらい出すようです。

 選考では、テーブルに5人位で座って討論をし、試験官がそれを聞いている。そのあと、裁判官や書記官、5人位の面接を受けます。質問するのは書記官が多いようです。

・ 選考の基準

 公表されている基準というものはないでしょうが、それまでの経験、社会の常識、法律の知識、調整の能力などと思われます。

 話す力よりも聞く力の方が重視されているかもしれません。

 書記官OBなどは選考にも詳しいでしょう。民間から応募する場合は、どのような質問をされてどのような発言がポイントになるか、経験者から情報を集めた方が良いでしょう。

 企業社会でのような積極性はここではマイナスかもしれません。向き不向きもあるでしょうから選考から漏れた人も気にする必要はないでしょう。

・ 調停の心構え

 特に法律家以外の人が家裁の調停委員になった場合に、どんな感覚で調停にあたっているかが気になります。

 漏れ伝え聞いたところでは、「調停委員必携(家事)」や「ハンドブック」「手引き」などを見て、調停協会主催(自由参加)の勉強会、その他の自主研修会、同期会などで法律知識や実務の研さんをされているようです。こちらは都の近県の調停委員の方の話です。

・ 調停委員会の構成

 期日に調停をする調停委員会は裁判官1名、調停委員男女1名ずつという構成のようです。振り返ってみてもそうです。

 単純な感想ですが、女性裁判官は労力を惜しんだ手抜きを感じるときがありますが、女性調停委員は個人の意見を交えずに聞いてもらえる安心感があると思うときがあります。
                                  最高裁

・ 多数決による調停

  「調停手続きは家事審判官(裁判官)の指揮下に進める」という規定と「ただし重要事項について,構成員の意見が分かれた場合は調停委員の多数決による」という規定があります。しかし、実際には裁判官以外の2人の多数決で決めるようなことは想定もされていないようです。まあ、無理もないですが。

・ 感情論に傾くとき

 京都家裁に行ったときに裁判官が調停をしてくれて手早かったことがありました。

 しかし、通常は調停委員が期日の殆どの進行を担当します。

 弁護士(・・もそうでしょうが特にそれ)以外の調停委員は法律的なことは裁判官の意見を聞いて進めることになりまです。

 そうすると裁判官のいないときの調停の席では法律論よりも・・円満な解決を・・というような説得調になります。感情的なことが前面になることが多いと感じるのはこの辺に原因があるかも知れません。

・ 主観を排除する難しさ

 以前に、市役所に勤めながら夫婦で広い農地を守った家の相続問題が東京家裁で争われ、大事に守ってきた農地の大半を、家をもたない相続人が分割されて宅地化できるような分割案を強引に進められて困ったことがありました。
 裁判官の審判に移ってからある程度の主張が認められました。男性調停委員は弁護士でしたが、強引で不快な印象が今でも残っています。

 調停委員の方(かた)も個人的な予断をもたないように注意しているでしょうし、今度調停があったときには調停委員の方にこちらが法律以外のことについてはどのように考えているかを丁寧に伝えるしかないかと思うのが現状です。

 調停1回で2時間くらいを要することも、証人尋問に匹敵する負担です。仕方ないのですが。