東横線に住んで30数年、静かなところに行きたいというだけの理由でしたが、少しは馴染んできました。
中目黒駅から慶大のある日吉駅くらいまで、商店街の雰囲気が分かってきました。代官山や自由が丘をのぞくと意外なほど地味です。
外から見るとこの沿線は、物に慣れていて小遣いもある人が多い印象です。空き店舗は余り間を置かずに埋まります。
ホリエモンのオン・ザ・エッジ(ライブドア)も最初は東横線の祐天寺でした。
地元駅の近くなどで新しい飲食店ができると入らなくても興味があります。以前から思うことですが、ちょっと気が利いた店ができたと思って行っていても殆どが3年くらいで店仕舞いになります。いかにも脱サラの人が張り切って始めたところが店仕舞いすると気になります。
残念ですが、店舗経営の基礎がおろそかなところも多いようです。未だに理解できないのですが、入ったとたんに「ウチは初めてですか」と聞いてくる店が複数ありました。訳の分からない上から目線です。
一つのパターンとして、営業職などで全国を歩いて人気のある飲食店を一通り経験してきたというような人が退職後に始めることがあるようです。
そういう場合、よその店の調子の良さそうなところだけを集めて、素人の新鮮さを売り物にします。
知り合いに声をかけて最初の3か月くらいは盛り上がります。しかし、呼ばれた方は勤務先の近くで行きつけの店も多いし、連れて行った人が本当に喜んでくれるかが勝負です。料金の割には質がそれほどでない料理や、無遠慮に話に割り込んでくるような素人臭さが気になってくると足が遠のきます。
そうすると、料理の質もさらに落ちます。家賃が高いのが一番の理由です。
その他にも、どこかで料理の修行をした若い人が、保育園に勤める奥さんと一緒に小さな居酒屋を開いたりします。
成功物語にはなりません。接客(ホール)の意識が薄いし、私が、遠方からの顧問先の人と一緒にいっても、メニューはコースの1種類しかなくなり、3回続けて他の客がいなかったりします。しかも話に割り込んできます。
そういうことはよそでも見かけることかもしれません。
地元に住む人があまり立ち寄らないことについて他にも原因があるようです。 最近思うのですが、山の手の人は犯罪への警戒心が高く、どんな人がいるか分からないようなところを避けるようです。これが意外に強い習慣です。会社の近くで気軽に立ち寄れるところはいくらでもあるし、値段も意外に安いです。どうも地元とは一線を引いているようです。
この古びた沿線で新奇な店を開くことは、よほど地域に人脈を持っている人を除くとやめておいた方がいいようです。
それでも何も希望がないかというと、このところ電鉄線では、高架下の昔からの店を立ち退かせて、銀座やデパートのクラスの店を開かせているようです。この20年くらいの計画で、物販店も多いですが。
高架下の新装店は、しがらみも煩わしさも感じさせないためか、客が絶えないようです。
古い店も残って欲しいという私の希望とは逆に、これから考える人は、時間と費用がかかってもしっかり準備をして高架下の店舗に入る方法を考えることが一番安全なようです。
品質も客層もちょっと高いですが。