人はなぜ絶叫マシーンに乗ったり
お化け屋敷に入るのか?
恐怖を味わいたい。
恐怖の先にある爽快感を味わいたい。
それらは大概
人生の日常で味わえないものだからだ。
人間は
行動を通して
様々に揺れ動く感情を味わう。
けれど
日常はそこまで変化がなく
味わうものが似通ってしまう。
だから少々物足りなさを感じ
他のことで
日常で味わえないものを
味わおうとするのだ。
演劇も然り。
自分の人生では
味わえないものを味わうために
他人の人生を生きてみる。
自分とは違う人生によって起こる
疑似体験から様々な感情を味わう。
そしてそれを観る人は
演者を通してそれを味わっている。
自分の人生で味わえていないものを
何かを通して味わうために
それをする。
ある役者は言う。
演じることで光を感じる。
自分の人生では
それほど光を感じられないからだ。
また別の役者は逆のことを言った。
初めは演劇に光を求めていたが
それを
自分の人生でやれば良いのだと気づいたら
演劇をやる意味がなくなった、と。
そして一度は演劇から離れた。
しかし
彼女はまた戻ってきた。
それは
光で満たされた自分の人生で
味わえなくなった不安や恐怖などを
今度は演劇で味わおうとしたからだ。
光と闇を
逆転させたのだ。
結局
人は何かを味わいたい生き物なのだ。
なぜなら
それが生きるということだからだ。