人には人生を変える一言ってのがあるもので。


中学一年生の時

担任の先生は厳しい人だった

生活態度、風紀はもちろんだが一番きつかったのは、大量の宿題を出す事だった。

もちろん、各教科毎に宿題は有る訳だが、それとは別にクラス独自の宿題を毎日出す

日曜、連休、夏休みなどは特に大量。

しかも、クラスの誰か一人でもやってこないと、連帯責任で全員居残り補習っていうペナルティ

だから、やらない訳にいかない

他のクラスでは、そんなのない

なんで俺たちだけって不満だらけだった

毎日、睡魔と戦いながら宿題をこなし
休みの日も遊び時間を削られた




そんな一年も終わりに近づく


やっと、この苦しみから解放されると喜んでた。



終業式を迎えた日。

最後のホームルーム


この日を待ち望んでいた筈なのに

いざ、その時を、終わりを迎えようとしている時

嬉しいだろうと、喜びが溢れるだろう思ってたのに



どうしようもなく寂しかった


きつい毎日をみんなで過ごす内

クラスに他のどのクラスにも無い団結力、一体感が生まれていたからだ


もう本当にいよいよ終わりって時、先生の最後の話を聞きながら、みんな泣いていた


男子も女子もほとんど泣いていた



僕は、泣かなかった

我慢した



男は人前で簡単に涙を見せてはいけない


子供ながら、そう思ってたからだ





春休みになって、部活で学校に来てた時

たまたま会った別の先生にそんな話を打ち明けた


「涙出そうになったけど、必死に我慢したんですよ」って



「うん。わかる。そういうのも大事だよな。先生はわかる」



この言葉

純粋に嬉しかった


たかだか12、3歳の子供の小生意気なこだわり、価値観。


それを

理解してくれた
わかってくれた
共感してくれた


初めて、大人に僕の個人的な価値観を認めてもらった瞬間だった


今思えば、この時少しだけ大人になった



僕はこの時から今に致るまで


一度も人前で涙を見せていない


あの先生はきっと覚えてないだろう

こんな何気ない会話

僕は忘れていないし、この先も忘れないだろう


だから、今後も人前で泣くことはないだろう





ちなみに、その先生は、僕が三年生の時、担任になった


卒業式にその先生は号泣していた


とりあえず、見なかった事にしている