先月発表したアルバム「the inner life」は
とにかくフリーな作品を集めたもの。
これまでこだわってきた
ピアノの生演奏へのリアリティをなくした重ね録りや
クラシックやJ-POPなどの形式を無視して
表現したいことだけを繰り返す
自分へのプロパガンダです。
01/ラピス・ラズリ
タイトルを最後につけることが多く、
それまでデータのフォルダは生年月日のみなのです。
例えば2020年2月9日なら
20200209。
数曲作るときは午前と午後、何番目かを書くくらいですが
たまにキーワードもつけます。
こちらは「stone」でした。
アルバムの表紙はアメジストですが、
1曲目にラピス・ラズリ
和名で「瑠璃」という石の名前をつけました。
パワーストーンで聖なる石といわれ
邪気を払うといわれているそうです。
硬さを思わせるような
アタックの強い4度のリズムパッセージから
Bmのアルペジオが大きく波を打ちます。
その後新しいテーマである
B♭m7→F/Gのコードが繰り返す。
この2つのコードからなる進行は
解決することも終始することを許さない
束縛を意味します。
Gを属音と捉えたあと
Cから始まるフリギア旋法。
作り方は至ってシンプルですが
その分飽きないようなソナタ形式やロンド形式を
敢えて使わずリピートする回数や
戻ってくるタイミング、全てバラバラです。
ランダムでは無く、自分の直感で。
ちなみにジャケのアメジストは
ギリシャ語で「酒に酔わない」という意味から来ています。
形式を勉強したあとで、
正気で書いているという意味でもあります。
素人がまぐれで出来た傑作とは違いますよ、という
自由なくせに負けん気が強い意志を
パワーストーンたちや音楽で表現したかった。
02/Half Awake
こちらは海外の大都市で夜明けを過ごすイメージをした作品。
規律や理性、世のシステムに守られていながら、
日々繰り返される日常に感謝をするタイミングは
太陽や月が昇る時や沈む時が多い。
いち生命体としながらも
人間社会の複雑な集団行動の中で
半分寝ぼけている状態の時は
不思議とそのことを忘れてしまうような感覚です。
素直な気持ちで向かったジャズコードの即興演奏。
寝起きで書きました。
理由のない転調をふわふわと漂って、
Fメジャーという理性に目覚めるイメージ。