「物語作品集」胡蝶之夢/夢十夜より「第四夜」/雪は降る | おいでませ

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高城香那のディレッタントの延長上ブログ

こないだ発売した「物語作品集」より解説ノート。

私がこれまで知った

世界にある物語、文学、芸術から

インスピレーションを受けたものを

音楽作品にしたものです。

たくさん書き溜めている中から6曲収録しました。

前半の3曲について書きます。

 

胡蝶之夢(こちょうのゆめ)

中国の思想家、荘子「斉物論」の中にある物語より。

「胡蝶之夢」は四字熟語にもなっていて

夢か現実か区別がつかないさま、なんだって。

現代語訳はこちらのサイトが丁寧で面白いなぁと思いました。

 

おぼろげな優しさ、そんな世界を表すような

D♭M9のコードがずっと続きますが

それが実はFへ導くためのⅥ度でした〜というカンタンなカラクリ。

そしてもう一つのアルバム「the inner life」もですが

これまで打ち込みとはいえどピアニストとして

現実的な演奏表現にこだわっていた私が

重ね録りをしています。

一つの作品を違う時間軸を跨いで演奏しているのが

非現実的で嫌だったんですが

二人で演奏している、というイメージで聴いていただけると嬉しいです。

現実サンと夢サン、主観クンと客観クン。みたいな。

 

夢十夜より「第四夜」

ここ数年で進めている夏目漱石の夢十夜シリーズの発表。

リサイタルでも初演しました。

夢十夜はこちらで読めますが

不思議なお話です。

お爺さんの妙な可愛らしさと

無垢な少年がシュールで恐怖なのかおかしいのか

この微妙な感じがたまりませんっ

冒頭の少年がお爺さんを観察している部分と、

最後のお爺さんが沈んで戻ってこなかった部分が

同じテーマなところが少年の気持ちと

河の中を同時に表現しています。

 

本当は、第二夜か第六夜を入れようか迷った。

(結局まだ完成してないけれども)

という選ばれし第四夜!

前回のアルバムには第一夜と第七夜が収録済み。

発表できて結構嬉しいです。

10曲完成したらひっそりでいいので

夢十夜リサイタルをやるのが目標ですv

 

雪は降る

こちらは数年前合唱曲として

作ったものを新たにリメイクしたものです。

当時私がどハマりしていた

詩人の中原中也と三好達治、二人の詩人が

雪をテーマにいくつか書いているのですが

その二人の世界観がどこか同じものを感じるのです。

三好達治の詩はこちら

中原中也の詩はこちら

二人はこれ以外にも雪が出てくる作品がいくつかあるのです。

 

先月私がピアノと朗読の会で

新川和江「雪の蝶」をご本人の承諾を得て(ご存命ですよ)

朗読と演奏を初演しましたが

これほど雪をテーマにする作品が思い浮かぶのは

春夏秋冬の中でも特別に感じているんだなぁと思います。

 

 

CDジャケットの

大地が本なの気付いてくれた方、いらっしゃいますか?♪

一目惚れでジャケット採用しました。

手にとるお一人お一人のイメージで作品たちを楽しんでいただければ幸いです^^

 

 

今のBGM

グールドのゴールドベルグ変奏曲

 

こちらもそろそろ配信します〜