認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)ブログ -2ページ目

現地スタッフの熱い想い

こんにちは!ヨルダン事務所から、インターンの井藤です。

ヨルダンでは、7・8月が夏休みで、8月末から新学年の新学期が始まったところです。街でも、子どもたちが制服を着てカバンを背負っている姿を見ることが多くなってきました!とってもかわいいですよーー☺

KnKでは、新学期に合わせて、難民キャンプの外に住むシリア難民の子どもたちを対象に補習授業を始めましたが、その前段階として夏休みに活動(URL: http://www.knk.or.jp/act/JOR/news/140909.html)を行っていました。

今回ブログでは、実際に子どもたちと活動をした現地スタッフより、その様子をみなさまに報告させていただきたいと思います!


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今回の活動では、子どもたちが自分の中にためてしまいがちな気持ちを発散してもらい、心理的ストレスを解消させることを目的の一つとしていましたが、それと共に、「厳しい状況に負けずに、希望を持ち続けることの大切さ」を私たちは子どもたちに伝えました。

活動は、KnKのスタッフ・チーム、そして学校の先生たちがいい協力関係を築けたおかげで、成功させることができました。だからこそ、活動をする空間が、子どもたち1人1人の心が、喜びであふれていったのだと思います。参加してくれる子どもの数は回を増すごとに増えていき、活動が終わる頃には、もっと続けられないのかとKnKにお願いして泣き出す子まででてきたほどです。こういった子どもたちの反応は、私たちスタッフにとって本当に嬉しいもので、長距離移動や猛暑の疲れをすっかり吹き飛ばしてくれました。そもそも子どもたちのこの「嬉しそうな顔」を見ることが私たちの大きな目標の1つだったのですから!この点について、私たちKnKスタッフの気持ちは一つでした。

この夏休みの経験は本当に素晴らしく、今回の活動の1つの目的であった「子どもたちが胸の内に抱える悲しみを表現する機会を提供すること」についてもとても意味のあるものを作れたと自負しています。子どもたちが私たちと一緒に歌ったり踊ったり、そういった活動を通して経験したことは、子どもたちの心を幸せな気持ちでいっぱいにしたということにとどまらず、自分の気持ちを表現することや自信を取り戻すといったことを体験する機会にもつながったと思います。

最後に、私たちKnKとしての目的は、紛争や周りの劣悪な環境から子どもたちを守ることだけではなく、子どもたち自身の中にある悲しみからも子どもたちを守ることです。子どもたちを笑顔にし、心の中の希望をもたらすために、私たちスタッフは精一杯、力を尽くしています。私たちのそういった努力が子どもたちの素晴らしい未来を照らす一筋の光になれれば、と願いながら。



KnKヨルダン・スタッフ一同





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山田祭りが始まりました!

こんにちは、KnK岩手事務所の鎌田です。

東北の短い夏が終わりを迎えようとしていますが、岩手沿岸はまだまだ熱い!!
岩手県山田町で、3日間にわたるお祭りが始まりました。

 
昨日は前夜祭だったにもかかわらず、すでに熱気むんむん。

★通称「岩手・三陸 山田祭り」★
本来の名称は「山田八幡宮例大祭」「大杉神社例大祭」。元治元年(1864年)には神輿を担いだ事が資料に残っているそうなので、山田八幡宮例大祭は150年前には既に始まっていたことになります!台風が来て、どれほど天気が荒れても毎年決行してきました。しかし震災により神輿や神社の社殿は壊れ、2011年は流された装束や楽器を拾い集めて民俗芸能の奉納のみを行いました。今年は震災後初となる二基の神輿が登場、山田祭りが完全復活!

 大人顔負け?!子どもたちも大健闘!!

 仮設商店街もお祭り仕様

 大漁旗が鮮やかですね~

 神社の境内は超満員

 「山田の祭りを ふたたび」

まだ間に合います!
3連休、活気あふれる山田町へいらっしゃってみてはいかがでしょう?
おいしい海の幸もお待ちしております^^

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「あなたへの手紙」

こんにちは!

ヨルダン事務所でインターン中の井藤です。

今回少し長めですが、最初のところは読み飛ばしていただいてもいいので、最後の「手紙」の部分だけでもぜひ読んでいただけると嬉しいです。


ヨルダンでは、「コミュニティ参画プログラム」というものを実施していて、そこを卒業した子どもの一部が、引き続き「トレーニング」を受け、「インターンシップ」へと進んでいきます。

その中の1人、18歳の女の子についての話です。

「休みの日は何してるの?」と何気なく聞いたことからきっかけに、 彼女は元々パレスチナ出身で、最近のガザのことがあり、毎日ニュースに釘付けになっているということを知りました。(※2014年7月中のやりとりです)彼女はジャーナリスト志望で、彼女のFacebookのページには、ガザに関する情報や彼女の意見がびっしり投稿されていました。

そこで、彼女に「本当に申し訳ないんだけどね、日本では今のガザの現状を、遠い国の出来事くらいにしか思ってない人も多いの。だから、日本の人向けに、メッセージを書いてみない?」と持ちかけてみました。

その子は、普段は他のユースたちと、キャーキャー騒いでいるようなどこにでもいそうな18歳の女の子です。ですが、じっくり話してみると、自分の祖国パレスチナに対して、とても強い想いをもっているのが伝わってきます。そしてそれと同時に、ティーンエイジャーの女の子がこれだけの想いを胸に抱えなければいけない、この地域の現状にも胸が痛くなります。

そんな彼女が祖国パレスチナについての思いを、日本のみなさんに向けて書いた「手紙」、ぜひ読んでいただけたらとても嬉しく思います。



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世界中の自由で名誉ある人々へ

世界中のお母さん、もし、あなたが胸に抱いた子どもが殺されたらと想像してみてください。世界中の旦那さん、もし、あなたの奥さんが目の前で殺されているのにあなたは無力で何もできなかったらと想像してみてください。世界中の女の子へ、もし、あなたの大好きなずっと一緒に遊んできた姉妹が殺されたらと想像してみてください。世界中の男の子へ、これまでずっと一緒に暮らしてきた兄弟が殺されたらと想像してみてください。みなさん、これらのもの全てを一瞬にして、そして永遠に失ったらと想像してみてください。

これが私の国パレスチナ、ガザでの現実です。ここではパレスチナの市民が、痛みや悲しみ、疲労や絶望を抱えて生きています。イスラエルが私たちに宣戦布告し、攻撃を止めてくれないから…

ガザでは、毎秒のように家族の誰かが殺されています。ガザでは、人々が一生懸命建てた家を一瞬にして破壊されています。ガザでは、人々に恵みをもたらす豊かな大地を焼かれています。ガザでは、モスクが爆破され、病院も爆破されています。ガザでは、本当の苦しみが続いています。

そして、この全てが、私たちに、私たちの土地とアクサ・モスク(*1)を捨て、降伏し、彼らに従属するようと圧力をかける占領のせいです。
どんなに苦しみがあっても、希望は失いません。

しかし、本当に心が痛むのは、一番近くにいた人に裏切られたときです。自分が信頼していた人に裏切られるというのは、どんなに辛いことでしょう。しかし、これもまたガザの現実なんです。何日も何日も人々が血を流し続けているというのに、他のアラブ諸国や組織は何も支援してくれないどころか、このことについて関心を示そうともしません。

エジプトは、ガザにとってのたった1つの命の頼み綱だった橋を閉鎖しました。他のアラブ諸国も、この問題に対して何の支援も解決策も示してくれません。別にそれならそれでいいです。でも、どうして私たちがこんなに悲しくなるのか、分かりますか?

西洋諸国では、国のリーダーが国民の幸福ために働いているのを見ると、すごく悲しくなります。西洋諸国はどんどん発展していくのに、私たちの国はそうではないのを見ると悲しくなります。彼らが羨ましいからじゃないんです。そうではなく、私たちもこれからそうなっていきたいのに、政治や戦争のせいで私たちの基本的な権利、ただ人間らしく生きることさえも許されないからです。

2008年、イスラエルはガザに宣戦しました

2012年、イスラエルはガザに宣戦しました

2014年、イスラエルはガザに宣戦しました

そんなにイスラエルはガザのことが嫌いなのでしょうか!?

ガザにもいい人はいっぱいいます… お年寄りも、男の人も、子どもも女の人もいます。
ガザには希望もきっとなんとかなるという考えも、お互いに協力する思いやりも幸せもあります。
そして、何よりガザには本当の愛があります。


最後に、なぜ私がこの手紙を書こうと思ったのか、について書かせてください。

まず第一に、パレスチナが置かれている状況を、世界中の人に知ってもらわなければいけないからです。

第二に、アラブ人やパレスチナ人は、いつも「テロリスト」だと言われるからです。
そして、イスラエルは民主国家だと言われます。

そして第三に、以前、KnKのスタッフがパレスチナの子どもたちと一緒に作った映像作品(https://www.youtube.com/watch?v=wRVXorVxx90)を、見せてくれました。そこには「戦う方法は、武器だけじゃない」というメッセージが込められていました。「言葉、歌、踊り、写真。こういった武器ではないもので戦わなければいけない」と。

力づくで奪い取られたものは、力づくでしか取り返せないのも事実です。
でも、どんなに微力であろうと、私たちが自分の国のために貢献できる方法は他にもあるのです。

この手紙は、私が世界中の人たちにパレスチナの置かれた状況を知ってもらうための、私なりのジハードです。
***







(*1)アクサ・モスク:日本語で「岩のドーム」。パレスチナのエルサレムにある、世界中のイスラム教徒にとって3番目に重要な聖地。
(*2)ジハード:日本語では「聖戦」と訳され、テロリズムと結びつけられるイメージのある言葉ですが、本来のムスリムにとっての意味は、武力に限らないイスラム教を守るために「努力すること」です。


(※この手紙は、8月26日のイスラエルとハマスの停戦合意以前に書かれたものです)


当ブログの内容は、現地プログラムの参加者の個人的な意見であり、KnKの公式な見解ではありません。





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『織物を未来の色に染めて―カンボジアの二人の少女』出版記念イベント!

カンボジア事業担当の熊本です。

今年3月、KnKの活動、そして私たちがカンボジアで出会った2人の少女サリカとダラの物語が、1冊の本になりました。

タイトルは『織物を未来の色に染めて―カンボジアの二人の少女』(汐文社)。



カンボジアで行う収入創出活動に、日本人専門家として派遣された中川るなさん、光岡奈緒子さんのご経験を、ライターであり2人のご友人でもある秋山浩子さんが興味を持ってくださったことから、本の出版の話が動きはじめました。

そして先月、東京駅にある八重洲ブックセンターにて「親子で知ろう!カンボジアってどんな国? ~『織物を未来の色に染めて』出版記念イベント」が行われました。



前半は、中川さんや光岡さん、秋山さんのお話、
カンボジアやそこに生きる子どもたち、KnKの活動について説明、
さらに、カンボジアを訪問した友情のレポーターたちから、現地で見たこと、感じたこと、そして帰国後に思いについて発表。


本についてお話された秋山さん(中央)と中川さん(右)、光岡さん(左)




カンボジアを訪問した友情のレポーターからの報告の様子

そして後半はワークショップとして、カンボジアで生産している手機織りのシルク生地をつかい、ノートや髪留め、キーホルダー、写真スタンドのデコレーションが行われました。

小さな子どもから友レポと同年代の高校生、おじいちゃんとお孫さんのペアまで、
幅広い方に参加していただき、盛況のうちにイベントを終了することができました。





カンボジアというと世界遺産であるアンコール・ワットを思い浮かべる人も多くいると思います。

しかし、観光業を中心に成長を続ける一方、多くの子どもたちが学校に行けない、または物売りとして働かされているなど、多くの課題が残されています。

本に出てくるサリカとダラも、そのような過酷な子ども時代を何とか生き延び、今ようやく安心して将来について考える心の余裕を手にすることができました。

カンボジアの「今」、
様々な困難を抱える子どもたちのためにKnKが行っていること、
そして皆さんにできること。

ぜひ夏の1冊として(生徒の皆さんは読書感想文の本に!)、読んでみませんか?

そしてイベントにお越しくださった皆さま、ご参加ありがとうございました。

ワークショップの完成品をもって、記念の一枚!

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難民キャンプは今

こんにちは!
ヨルダン事務所でインターン中の井藤です。

先日、念願の難民キャンプを訪れることができました。


ザアタリ難民キャンプ


首都のアンマンから車で約1時間程度のところにある、
世界でも最大規模の難民キャンプです。


KnKが活動をしている学校の中は、
難民キャンプにいることを忘れてしまうように
子どもたちがみんなワイワイしていましたが、

外の通りでは、何とも言いがたい空気が流れていました。





ザアタリ難民キャンプは、
2012年に設立され、2年が経ちました。


人々の生活は、設立当初に比べたらずいぶん落ち着いたのでしょうが、
難民キャンプはやはり難民キャンプ、というのが私の印象でした。





私は車で一瞬通り過ぎただけですが、
それぞれの人の目が、言葉にならない何かを表していました。

外国人を見て、手を振ってくれる子どもたち…
にっこり笑顔を向けてくれるアラブのおじさん…

だけど、
心の中にはいろいろ抱えているものがあるんだと、
その目があった瞬間に何かが伝わってきました。


難民キャンプのメインの通りでは、
いろいろなお店が並び、そこには人々は日常があります。

だけど、
やはり人々の目を忘れることができません。

私を見て、
お前はここで何をしてくれるんだと憤りに近いような、
それとももうそれすらも諦めてしまった絶望に近いような、
それとも何も感じないようにずっと昔に心に蓋をしてしまったような…

実際は、どう思っているのか分かりません。

でも「人間らしい生活」とはほど遠いような印象でした。
もちろんこんな状況の中でも、人々はたくましく生きようとしています。
ただ、物資がそろっているからと言って人間としての尊厳が保たれるかと言えば、そうじゃないですよね。

学校だって子どもたちは笑顔で通ってきてくれていますが、
そこは難民キャンプの柵の中です。
子どもたちは何を感じて毎日を生きているのでしょうか?


(KnKが活動をしている学校の入り口)

そんな難民キャンプの暮らしの中でも、
子どもたちの心の中に明るい光をつくれるといいな、と
活動を見ながら願っていました。

もちろん、今いる生活の中で、
「子どもらしくいられる」時間を守るということもですが、
やはり今の子どもたちが、これからのシリアをつくっていく希望だからです。

人々の中では過去のニュースになってしまっても、
渦中の人にとっては「今」の問題なんだ…と
よく聞くこの言葉を改めて感じずにはいられない日でした。




少し重いトーンの内容になってしまいましたが、
次回以降子どもたちのかわいい活動の様子もどんどんご報告します!お楽しみに!


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