光と影とか、陰と陽とか、表と裏とか。
子供のころから「両極にあるもの」に興味があった。二元論という考え方に近いのかな。その振り幅を自分の中にも抱えていて、それは時に極端な性質として表出していたかもしれない。

年を取るにつれ、だんだんとその間に無限の彩りがあることがわかってきた。ようやく物事を少し俯瞰して見られるようになってきたかなという感じだ。

絵を描くことともそれは繋がっている気がして、ひとつの面を描くというよりは、そこに秘められたものを表現したいと思うようになってきた。そのためには裏と表のように、相反するものを知っている必要があると思う。それが光でも闇でも、そこに在るということ。それは紛れもないことで、わたしはその一部を切り取って見せているのだろう。

昔から絵は窓だと感じている。絵に触れることで、知らない世界を見ることができる。言うならば現実とあちらの世界を繋ぐ窓だろうか。わたしの描く窓を覗き込むことで、自分の知らない世界を知ってほしいと思う。