今日の曲「雨の日のささやき」は、シングル・カットされた曲でも、セールス的にもヒットしたアルバムに収録されていたわけでもなかった曲ですので、アルバムが作られた当時のエピソードの話しを・・・。
1977年にリリースされたセカンド・アルバム「LOVE TRAIN(ラヴ・トレイン)」に収録。ファースト・アルバムである「生まれたところを遠く離れて」が、1万枚も売れず、ファースト・アルバムの様なへヴィーな曲ではなく、「愛奴」時代の様なポップな曲を作るという事で製作された。
「LOVE TRAIN」には、現在も人気の高い「ラスト・ダンス」や「君に会うまでは」などのオリジナル・ヴァージョンを収録。しかし、本人曰く、「当時、トラック・ダウンが気に入らなくて、3ヶ月間聴かなかった・・・。」「音が悪くて、声も妙に甘ったるい。」と語っており、昔、ラジオやライヴで「廃盤にしたいアルバムだ」と語っていた・・・。
「何しろこの頃は、一枚一枚、これで終わったって感じでしたから・・・。本当に紆余曲折(うよきょくせつ)を繰り返しながら作った・・・。」・・・とも。
アルバム・ジャケットもラガー・シャツに短パンとスニーカー、長髪にサングラス・・・という今では考えられないジャケットに対して、本人は、「誰があんな格好させたんだ?」「あれは、何のスポーツをやっているやつなんだ?」と、ライヴのMCなどでネタにしていた・・・。
アルバムに入っている歌詞カードの裏の写真では、更にサッカー・ボールを抱えているし・・・。
その一方、「今思えば、すごくいい曲があると思う。もう絶対に書けない様な、初々しい少年の歌詞である。」と語っていて、自身で作詞しなかった「ラヴ・トレイン」と「五月の風に」以外の曲は、売れる様になってきてから全て、リメイクされ、その後リリースされたアルバム達に収録されている。
今日の曲「雨の日のささやき」は、1997年にリリースされたリメイク集アルバム「初夏の頃 ~ In Early Summer」に収録。
映像は、「初夏の頃」アルバム・ジャケットの写真を中心に編集したものですね・・・。
初夏の頃/浜田省吾

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そしてこれが、↓「雨の日のささやき」が初収録された当時のアルバム、「LOVE TRAIN」のジャケットですね・・・。
ファースト・アルバムが、こけた事から学んで、「明るく、さわやかに」?「スポーティに」?「シティ派ポップ・シンガーっぽく」?をコンセプトにしてみたら「こうなっちゃった・・・。」という感じが否めないですね・・・。ややこしい時代だったし、本人にもきっと、「俺は、これをやるんだ!」という強く、明確な方向性が無かったのかもしれません・・・。
LOVE TRAIN/浜田省吾

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浜田さんは、「スタッフにも恵まれていた」という事もある。プロデューサーや、ディレクターなどが、浜田省吾の作る歌に、「未来」を感じていた。「浜田の曲は、必ずブレイクする。必ずヒットする!」という信念の元に、忍耐強く待ち続けたし、「こうしたら、もっと良いんじゃないか?」とアドバイスをしながら、運命共同体のように、見守った。「ややこしい時代」と先程言いましたが、「待つ事が出来る時代」でもあったという面では、浜田さんにとって幸運だったでしょう・・・。
欧米の50年代・60年代の音楽に影響を受けて、アーティストを志したシンガー・ソングライターや、歌手やミュージシャンは多く居た事でしょう。しかし、当時の日本の音楽シーンと合わず、受け入れてもらえず、シングルやアルバムを1~2枚出して、消えて行った音楽家、レコードも出せずじまいのミュージシャンなどは、数多く居たと思う・・・。時代に合った音楽をやらなければ、「聴く人が居ない = レコードが売れない」のは、当たり前で、それでは、生活していけない訳ですから・・・。
この「LOVE TRAIN」というアルバムのリリース後もまだ、浜田省吾は、悩み続け、紆余曲折しながらアルバムを発表していきます。3枚目の「ILLUMINATION(イルミネイション)、4枚目「MIND SCREEN(マインド・スクリーン)」、5枚目「君が人生の時」まで・・・。「君が人生の時」でやっと、シングル「風を感じて」のスマッシュ・ヒットがあり、それまで感じてきた事・やりたかった事を、売上げの資金を元に、次の6枚目のアメリカ・ロサンジェルス録音の「HOME BOUND」で、やっと出来た・・・。
本人曰く、「ある意味じゃ、このアルバムが僕の本当のデビュー・アルバムという気がします。」との事。
長くなりましたが、これからも私のブログでは、浜田さんの曲にはお世話になると思いますので、一旦、区切りを付ける為にも「3日間連続」で、浜田さんの楽曲を取り上げさせて頂きました。
では、また。