何かが変?? | 「ニットキッチン」元社長の奮闘記

何かが変??

「Knit Kitchen」が全国区のブランドへと成長し、
売上も過去最高額を記録した2003年頃、


その影で、以前から抱えていた不安と疑問が
明るみになり始めます。



私は、出店をする際に


1店舗=1億円/年 を目標にしてました。


これを下回ると、人件費などの経費が
利益を圧迫して、効率が悪いからです。


この頃の「Knit Kitchen」は、
全てのショップではないものの
約半数は、この目標をクリアしていました。


なのに・・・


利益が出ません( ̄ー ̄?).....??アレ??


8,9店舗にもなると
人件費だけでも600万を超え、
毎月の商品仕入れ額は1,000万を軽く超え、


出店のために借り入れした借金の返済も
毎月200万を超えていましたので
徐々に資金繰りが厳しくなってきます。


時にはショートする月もありました。


なぜ??( ̄Д ̄;;



考えてみれば当たり前のことです・・・


「Knit Kitchen」は全て「日本製」でしたので、
原価率は約30%です。つまり・・・


売上(100%)-原価(30%)=粗利益(70%)


ですよね。


しかしこれは、仕入れた商品が全てプロパー(定価)で
消化できた場合。


そんなこと有り得ませんよね。


通常、消化率が70%で超優秀です。


「Knit Kitchen」の場合は平均すると、
プロパー消化率は約50%でしたので、


残り50%の商品を定価の5割引きで全て消化できたとして、
最終原価率は40%です。


従って粗利率は60%ということになります。





一方で、経費ですが、
経費の中で、一番大きな割合を占めるのが、


「地代・家賃」と、「人件費」です。(業種によって異なると思いますが)


この頃の「Knit Kitchen」は、
百貨店への依存率が高くなっていました。(9分の6=67%)


ファッションビルなら15%程度の家賃も、
百貨店だと、掛率が60%~65%でしたので、
家賃に換算すると、35%~40%にもなります。


全店の平均値を出しても、せいぜい30%です。



次に売上ですが、
ピーク時、「Knit Kitchen」全店合計の売上高は
月に、1億5千万円くらいでした。


粗利が60%ですから、額にすると9,000万円です。


これだけあれば、家賃(30%=4,500万円)と人件費(600万円)
を引いても3,900万円残ります。


そこから返済と、もろもろ経費を差し引いても
少なくとも3,000万円以上は手元に残る計算です。


いつもこれならウハウハですよね ( v ̄▽ ̄) イエーイ♪


ところが、そう上手くはいきません。


この同じ年でも
「Knit Kitchen」全店の合計売上が
2,000万円という月もありました。


そうです!「ニッパチ」です!
2月と8月は、極端に服が売れません。


こうなると事態は一変します。
先程と同じ計算をすると・・・


粗利は60%ですから、1,200万円ですよね。そこから
家賃(30%=600万円)と、人件費(600万円)を引くと・・・


ゼロ!!∑(`□´/)/ ナニィィイイイ!!


他のもろもろ経費は出せませんし、
返済も出来ません。その月だけ見れば、


大赤字です。


では逆に、この条件の下、
一体いくら売上があれば赤字にならないのでしょう?


そう!「損益分岐点」です。


粗利額=全ての経費(+返済)
になればプラスマイナス0ですよね。


ここでは、面倒な計算は省略しますが、


当時の「Knit Kitchen」の場合は、約3,000万円/月でした。


これだけの店舗数と、


「神戸エレガンス」ブームの後押しあれば


多少、消化率が悪くても、
そうそう下回る金額ではありません。


そうです。


「あれば」 が


なくなる日 が


もうすぐそこまで近づいて来ていること
うすうす感じていました。
2003年7月のことです。


倒産まで あと 1,065 日