クロージングが苦手という営業の方、多いですね。
営業研修などでロールプレイングなどをしていると、実は、「クロージングが苦手」な分けではなくて、「提案が間違っている」場合が非常に多く見受けられます。
提案の方法が間違っているために、いくらがんばってクロージングをしても全く功を奏さない、という状況です。以下の2つのケースを見てみましょう。
営業A:「この商品をお求めいただくのがいいと思うんですよね」
営業B:「ぜひこの商品をお求め下さい!その理由は・・・」
前者は、”商品を買うと良いことが起こると思う”という自分の主観を話しているだけ。
後者は、”お求め(買って)下さい”とはっきり伝えています。
「購入する」という相手の具体的行動を示し言い切る文章です。
例えるなら、好意を寄せている異性に対して告白するようなものです(笑)。
前者は、自分の気持ちを言っているだけなので、「好きです」と伝えているにすぎません。もし相手にその気がなくても、「ありがとう」くらいの反応は返ってきます。
これを”脈あり”と思ってしまうのは早計です。好意を寄せられていることに対しては、相手が誰であれ嬉しいもの。そのことに対して「ありがとう」ですから、その後何の進展もない、なんてことは良くあります(笑)。
では後者ではどうでしょうか。
「具体的な行動を示して言い切る」わけですから、同じような場面では、「付き合って(結婚して)下さい!」ということになるでしょうか。
こうなると、相手にも答える義務が生じます。
YESかNoか、その後に続く「どうかな?」という問いかけに初めて力が生じるわけです。
クロージングは、何も難しいトークや切り返しが必要なわけではありません。
具体的な行動を示した後、「いかがですか?」と聴くだけです。
すると、いままでは出てこなかった”本音”が出てきます。
「結婚しよう」という提案を行えば、付き合っている間には気にならなかった相手の仕事の内容や年収、会社でのポジションや将来性、家族、兄弟との関係、貯蓄額などなど、現実的に気になるものです(笑)。惚れた腫れたではどうにもならない現実面の”本音”が出てきます。この人と人生をともにして大丈夫か、と。
ビジネス商談でもそれは同じこと。
「具体的な行動を示し言い切る」ことで、お客様としては、本当に意思決定して大丈夫か、と考え始めます。そこで出てくる反論や難色こそが、真に解決すべき行動障壁です。
この提案(プロポーズ)は、できる限り早い段階で行うべきです。こちらの本気度を示すことにもなりますし、何より、相手の本音を早くに聴くことができれば、その対処にも時間がかけられます。長々と商談をしてしまい、本音が出た時には時間切れ、なんてことにもなりかねません。
具体的な行動を言い切ることで、相手は本当に知りたいことは質問してくれます。
説明は最小限で、聴かれたことにのみ答えるというのが重要です。聴かれたこと以外の説明は、相手の記憶にはほとんど残りません。
「人は、自分の興味あるものしか見ない」「自ら能動的に聴こうと思ったことしか記憶に残らない」のです。
提案をはっきりと言い切ることは、
①相手の本音を引き出すことができる
②クロージング(いかがですか?)の問いかけがしっかり機能する
③相手の質問に応じて説明することで、余計な説明がなくなり、相手の記憶に残る情報を短時間で提供することができると、良いことばかりです。
しかし、はっきり言い切るためには非常に
勇気が必要です。
そのために、相手の状況や要望をしっかりとヒアリングをすることが必要になります。
相手の状況をある程度わかった上で、はっきりと提案を言い切れるよう練習する必要があるのです。
普段の営業活動や日曜の場面で、相手に対して具体的に行動を示して言い切る、これを実践してみましょう。「いやだ」と言われてもかまいません。「なぜ?」と聴くことで更に相互理解が深まります。
まずは、結婚する気があるんだ、私は真剣なんだという意思を、しっかりと示すことが大事ですね。