涙ながら… | ナイト大佐の気まぐれブログ

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北海道北見市在住
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人に似せて作ったであろう木製の模型が何体も並んでいる。

……ここは何だろう?…

作業台の前に座りながら、模型を組み立てるアンドロイドが居る。
どーやら、この部屋の模型は、彼の作品なのだろう。どれも人間の等身大ではあるが、人間とは別な物を組み立てている。

椅子に座り、彼の作業を見る事にした。
淡々と作業する彼の手が止まる…
…『寂しい』…
彼には発声装置が無いようだが、彼の感情が僕に言葉として伝わってきた。
…『コツコツ』『コンコン』…
と、音が聞こえてきて、そんな感情も流れてくると彼は言いたいようだ。
彼は組み立て中の模型に耳を傍立てる。
『気のせいさ。何も聞こえないよ』
僕は言った。

彼は作業に戻った。その時に
『コツコツ』『コンコン』僕にも聞こえた。
彼の手も止まる。

背後から聞こえる感じだったので、振り返った。
出入口の扉は有るが、音の主らしき物は見えない。
だが、音は続いている。
どーやら、部屋の奥から音が伝わって、出入口に響いているようだ。

奥の方を目で追っていったら、個室トイレが二つ有った。彼と、そーっと近付いてみた。
彼が、ここじゃないかと言わんばかりに、手前のドアを指差す。
僕には、奥のドアから聞こえる様に感じたので、左手の人差し指を唇に当てて、静かにする様に彼に合図した。
やはり、奥のドアから聞こえてくる。

ドアの前に、いろいろ置いてあり、開きづらい状態だったが、そっと右手をドアに掛け、一気に開けた!

便座に座り、涙を流しながら、ドアを力無くノックする、人間の等身大はある木製の人形が!!
見るからに女性を模した物である。
瞬時に、ドアの前がゴタゴタになった時の光景と、彼女の感情が僕に流れ込んできた。

思い出した。すっかり忘れていた。何者かが探し物をしていたのか、ドアの前に、その辺の物を置き、用が済むとそのまま行ってしまった状況が、先ほど視界に入っていたのだ。
何分前か何時間前かは、時間の感覚がわからず思い出せない。
何故、トイレに居たかは不明だが、彼女は閉じ込められ、自力で出られずに助けを求めていたのだ!

『ごめんね』
僕は言った。僕も涙が出てきて、泣きながら彼女を抱き締めた。

僕は一晩中、彼女を抱き締めたまま眠る事にしたのだった。
安堵の表情で、満足そうな笑みを浮かべながら眠る彼女を、本物の人間の女の子の様に、僕は見つめていた。


昼間、眠っている時に見た夢の話しです。ここで目覚めてしまってガーン
これからの展開が面白いのにって場面で目が覚めるのは何故だろう…