あるところに一匹のライオンがいました。
そのライオンは自分の本当の感情というものがわかりません。
いつも嘘で塗り固めて、親しい者にも仮面を付けていて、
そればかりか、
感情を出すことを嫌い、
とうとう忘れてしまいました。
ライオンはいつも心の中で泣いていました。
母親を失ったあの日から。
しかし、その涙は出し方がわからないので、
母親のことを思い出しても、
涙ひとつ零れなくなりました。
ライオンは泣くという感情表現をなくしたかわりに、
よく笑うようになりました。
しかし、それさえも心からではないからか、
友達は彼を本当に信じること
頼ること
心配すること
をしなくなりました。
もともと、末っ子で母親に甘えて育ったライオンは、
寂しいことが恐怖だったようで、
いつの間にか、
目には涙が溢れ、
それは一筋の光となりました。
光はやがて、
青くなり、
紫、
そして黒になりました。
気づくと、
彼の周りは黒い水溜まりになりました。
彼はしばらく泣き止むことはありませんでした。
ある日、自分が母親の影を追い求めていることに気がつきました。
そのことに気がついた時に、
下を向けていた首を、
不意に上げました。
そこにはどこか母親の面影が浮かぶ、
そんなライオンがいました。
そのライオンは唄いました。
「もう泣かないで」
「どうか笑って」
そう言ってライオンに手を伸ばし
手を引っ張って
駆け出しました。
それから二人はいつでも一緒。
最愛の友になりました。
おしまい!(^-^)

