だいぶ昔の話をリメイクして面白く仕上げてみました。
[獣道]
大地震があった夜は近くの友人宅にお邪魔しました。
震災直後に実家には義母の三男夫婦が滞在しており、部屋がなく、自分でできることは自分でしようと思っていたので。
友人は40代前半のうら若き…ごほっ、いや、女性で、独身で、平屋に住んでおりました。面倒みのいい方で、たまにお邪魔しては手料理を振る舞ってもらうこともありました。
私には冗談の言い合える年上の気の合う良き姉のような存在でありました。
これは本人にも伝えてありました。 恋愛感情は全くないのです。
なのでこれまで何度か夜にお邪魔して、朝まで話したり、少し飲んだりしたこともありましたが、 間違いがおきたことも、おきることもないのでした。
まあ、私好みだったら違っていたかも(*^m^*)プッ
恋人としては多少、ガサツで気が荒いのと~感情的な一面が合わないと感じておりました。 それは幾度かのトラブルで思い知っていたので(-_-;)
話はだいぶ逸れましたが、本題に入らせていただきます。
皆さん、これを読む前にトイレに行くことをお勧めします(^_-) 恐くて漏らしますよ。
友人宅は平屋なので、またでかい大地震がきてもすぐに避難できると思い、お邪魔しました。 私のアパートからも近いので荷物もすぐ持ち出せると思いまして。
幾度となく余震がきて、話が途切れることもしばしば。 おまけにガスと水が使えない状態。 その日はお菓子とジュースで空腹を満たしました。
震災直後からわずかな時間で店頭からパンや缶詰、ラーメン、レトルト食品、生活用品が消えてしまったので。
余震に不安を抱きつつも朝が来ました。そろそろ帰ろうとした時のことです。
突然、激しいノックの音が!?
友人:すぐ近くに住む母かもしれない。とりあえず隠れて。
私は友人から、家族(お母さんや妹)の話はこれまで聞いていたので、ちょうどいいから一度、挨拶しておこうかと思いました。
私:別に悪いことしてないし、友達同士だし。お母さんも私がたまにお邪魔してることは知っているし、隠れなくてもいいのでは?
友人:そうだけど朝方なんて間が悪いじゃない? それに母とは喧嘩中だから顔を合わせたくないの。とにかく隠れてよ!
そういうと友人は無理矢理に私に靴を渡し、襖の奥の部屋に押し込みました。
友人:お母さん?今、都合が悪いの。出直して。
でも、そんなことを無視して訪問者は中に入ってきたのです。
訪問者:都合が悪いって何が?誰かいんでしょ?
襖の奥でそれを聞いた私は、やはり隠れる必要はないと思い、自ら姿を現したのです。
そこにいたのは友人よりは少し若く、強面の体格のいい女性でありました。 例えるならジャガー横田さんです(゜ロ゜;。
私:おっ、お友達…?
私は、お友達が友人を心配して朝から訪ねてきてくれたのだと思いました。
いや、そうであって欲しかったのです。 ですが私は友人から発せられた言葉に凍りつきました。
友人:えっと…妹。
あの妹!?友人が常々『妹は私よりも気性の荒い虎年の女なのよ』と申していたのです。 そう、お母さんならいざしらず、最も会いたくなかった妹に最悪な状況で私は遭遇してしまったの です(;゜∇゜)殺られる
私:お邪魔してます。
平静を装いつつも内心ではこう思ってました。(妹だって!?あの妹か…。虎年の女と言うより虎が長い年月をかけて人間に化けたのではないのか?!)
そう、この状況を例えるなら、空腹でやっと水場を見つけた私が喉を潤し、振り向いた瞬間に藪から巨体の虎が這い出してきたようなものである。
妹:お姉ちゃん、何してんの?こんな時にさー?
虎に、いや、妹にそう問われ、友人は説明しました。 私とはお友達であること。 ここに私が避難に来たこと。
妹虎:避難する場所、間違ってませんか?こんな時に来る場所じゃないでしょうが!(ガミガミ…)
その後は一方的に捲し立てる有り様。 友人が説明しようが、私が真実を語ろうが、怒りで聞く耳をもたない。
この状況を例えるなら、空腹で飢えて理性を失っている虎に『あちらには丸々太った水牛が二頭もいますから、私みたいな痩せっぽっちを食べても仕方ないですよ』と言ってるようなものである。
無論、飢えた虎に通じるはずもない。 しかも、逃げ出すように靴を持っていたので、反論しようにも説得力がない。
私はこの飢えた妹虎には何を言っても無駄だと思い、頭を切り替えた。
私:そうですね…こちらにも事情があったとはいえ朝方までお邪魔するべきではありませんでした。 ○○さんは悪くありません。私が悪かったと思いますm(_ _)m。
その後も妹虎は少し捲し立てたが、私と友人に捨て台詞を吐いて出て行ったのである。
この状況を例えるなら、友人(龍年)が獲物を横取りにきた妹虎から私を守ったようなものである。
友人は私に妹虎の非礼を詫びて、庭先にあるバイクのとこまで送ってくれた…まさにそのとき!?
道路を挟んだ向こうのアパートから、こちらに二 匹の虎、いや妹虎と母虎がノッシノッシと地響きを立ててやってきたのである(°д°;;)ガクブル
この場合はこういうのだろう。 『前門の虎、後門にも虎』逃げ道はない。
初めて友人の母親を見たが、『まさにこの親にしてこの子等あり』である。 老いた虎ではあったが、その眼光は鋭かった。
母虎:私ね、○○の母の○○です。
私:あっ、○○さんとは友達の○○です。
自分でも変な紹介だとは思ったが、さすがに二匹の虎を前にして若干パニくりました。 大地震でさえパニくらなかった私が…。
母虎:私はね、別に貴方に恨みとかないの。娘のこと心配してくれてさっきも来てくれたでしょ? ただね、この人(娘)はね、地震後にね、私の側に居てくれるわけでもなく、お店で安売りが始まったからって買い物に行ったんだよ。冷たい子なの。
妹虎:恨みがないじゃないよー。常識がないでしょ。
妹虎は尚もしつこく私と友人を攻めたてる(鋭い爪でね)
すると友人も黙ってはいない。二匹の虎を相手に路上で大喧嘩(口論)が始まる。
二匹の虎と龍の戦い!
朝早かったとはいえ、幾人かの通行人のインパラさんやシマ馬さんに見られました。
この状況を例えるなら、母虎に『ワシは腹は空いとらんからお前は見逃したる。妹虎は空いてるようじゃがな。今は娘と話しつけなきゃならん』 こうして二匹の虎と龍が争いを始めたのである。 無論、私はこの絶好の隙を見逃さず退散しまし た。それはまさに肉食獣から逃げるインパラのごとく!
私:あの…こんな時ですから仲良くして下さい。
●後に喧嘩の原因を要約するとこうなる。 大地震直後にもちろん友人は母親のとこに様子を見に行った。
こんな状況だから友人は早く母親や自分の保存食や飲料水、生活用品を手に入れなければと思い、 お店に急いだというわけ。 母虎からすると、こんな時に買い物なんて冷たい娘だと思ったらしい。 それで大喧嘩になった。
妹虎はあの日の朝に母虎の元を訪れた。 母虎は娘と喧嘩した理由を話したのだ。
そこで妹虎が姉虎の元に行くと、男(私)がいた。 こんな時に母親を放っておいて何をしてるんじゃい!てわけ┐('~`;)┌
人生初の修羅場でしたよー。恋人同士でもないのに。 その後、親子は仲直り。 友人が妹とも話しをつけ、誤解を解いたようだ。
妹が謝りたいと言ってたそうだけど、気にしないように伝えて下さいと返事しておきました。 一方的な被害と屈辱を受けた私への義援金…承りま す(*^m^*)プッ
そういえば何かの刺繍か絵で巨大な虎と龍が戦ってるのなかったで したっけ? 私し、今後は気になる女性が現れたらまずこう聞きます。『何年ですか?』
END