wrote in 2008-09-25 08:00:00 corrected today
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「ボンドを買って、俺の所に遊びに来い。」

要約すると、だいたいそう言う内容だった。
タカからの、手紙。
実家の母が、家に届いたと、アパートまで届けてくれた。

ボクは、少し前に吸った、無茶苦茶苦い「G17」を思い出し、ちょっと嗤った。

見ると、直線距離でも200kmは優に離れたボクの行ったことのない地の消印だった。
事細かに、住所から始まり、高速バスでの行き方やら、バスの料金やら、ボンドを買う店、品番まで書いてあり、初めて見る意外にも細かくて几帳面な文字に、ある種感慨を覚えたと同時に、無性に会いたくて堪らなくなった。

ボクは、スナックバーのバイト代が入ると、一目散にタカの元へと、急いだ。
イサオには、男友達が来いと言ってくれているから、もう戻らないと言い置いて、出発した。
イサオは、怒るでもなく、そうか、気をつけろよと、言っただけだった。
ボクは、それが淋しいとは感じず、ごちゃごちゃ言われずに、ホッとしていた。
もっちゃんの、何か言いたげな顔が、ちょっと気にはなったが、久しぶりのひとり旅に、ボクの胸は高鳴り、すぐにそんなことなど消し飛んでいった。

道中は、遅まきながら、何でそんな遠いところにタカが居るのか、また、ボクが急に行ってもいいものなのか、全然確かめずに出発してしまったことを、ちょっと悔いる気持ちで過ごした。

しかし、17歳だ。
行けば何とかなるだろうと、高をくくって、初めての景色を楽しむことにした。
ああ、早く会いたい。待ち遠しくてたまらない・・・
乗り物を乗り継ぎ、乗り継ぎ、最後はバスを降り立った。
初めて着いたその場所は、バス停の周りに見事に何もない、田舎だった。
遠くに高速道路が走る他は、一枚の面積が広い田畑が、見渡す限り続いていて、ボクの住む土地とはそこからして違うと感じた。

手紙に指定してあるとおりの、近くの雑貨屋の店先にある公衆電話で、書いてあるとおりに掛けると、暫く待たされてから女の人の声が受話器から聞こえた。

誰なんだ。分からない。でも、おばさんみたいな声だし、大丈夫だよね。
タカを出してと言うと、待たされるでもなく、すぐ本人が電話に出た。

ちょっとそこで待っていろと言う。
ボクは、ちょっとどぎまぎしながら待っていたが、男二人が連れだってこちらへ向かって歩いてくるのを見つけて、ちょっと訝しんだ。

「よぉ。」
「よぉ・・・」
「じゃ、行こうか。」

行こうかって、それだけ?それに、一緒にいる人は、誰なの?
何にも説明のないまま、ボクはついて行くより他にどうしようもないので従ったが、もうひとりの男も気になったし、向こうもにやにやとしながらこちらをちらちら見ているしで、旅の疲れもありどんどん不機嫌になっていった。ボクは、もう、タカの足元だけを見て、着いて行った。

無言だった。

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