先月末から、iPS細胞がニュースにとりあげられ、再び注目が高まっています。
備蓄打ち切りについてもSNSなどで議論が飛び交っていますが、
もうひとつの明るい話題に今日は注目!
「iPS細胞を用いたひざ軟骨治療の臨床研究を、京大が申請」
ひざ軟骨をiPS細胞から作成して、損傷部分に移植するという治療法。
すでに4〜5年ほど前にミニブタでの実験は行われていて、
2019年には臨床開始を目指すという報道が当時あったのを覚えています。
iPS細胞を使った膝軟骨治療とは
再生医療のカギを握るとも言われるのが、
特定の細胞になる以前の細胞「幹細胞」です。
iPS細胞も幹細胞なのですが、
人工的につくり出される多能性幹細胞。
万能幹細胞とも言われています。
簡単に説明すると、人間の皮膚などの細胞に
遺伝子のような因子を組み合わせ、培養して作成します。
膝軟骨の再生治療では、iPS細胞から軟骨組織をつくり出し、
患部に移植するという方法で行われるようです。
マウス実験では移植後3ヵ月たっても
他の細胞になったり、腫瘍ができるようなこともなく、
ミニブタにおいては、移植後1ヵ月間、
30キロの体重を支えながらも、軟骨に定着し続けたことが確認されています。
ヒトの実用化はいつから?
先月11月27日に申請された臨床研究は、
来年はじめくらいには開始される見通しとのことです。
今回の研究で治療を行う患者さまは4人。
臨床研究の結果についても気になりますが、
いつ本格的に実用化されるのかも関心どころ。
ただ、それは臨床での安全性や有効性がきちんと確認できてからなので
まだ時間が少しかかりそうです。
提供されるようになれば画期的な治療法となりますし、
期待が膨らむばかりですが、
いま起こっている膝の痛みが待ってくれるわけではありません。
私たちにいまできる治療の中から、
患者さまお一人おひとりに適した治療をしっかり検討して
ご提供していこうと思っています。
当クリニックで扱っている血液を活用するPRP-FD注射や、
体内にそもそも存在する幹細胞を用いた培養幹細胞治療も、
選択肢のうちのひとつになり得るので、
これからも患者さまの膝の状態に加え、ご希望や生活スタイルも考慮しつつ
良いと考えられる治療をわかりやすくご提案していきたいと考えています。
<ひざ再生医療についてiPS以外の治療法についても知りたい方へ>
イラストでわかりやすく解説した