ひざからポキポキ、パキパキと音がすることはないでしょうか?
座ったとき、立ち上がったときなど、シチュエーションは様々ですが、
あまりに頻度が高いと、不安になりますよね。
なぜ、ひざから音が鳴るのでしょう?
実は、ひざに限ったことではなく、関節から音が鳴る原因は
近年まで有力な説がなかったそうです。
しかし、2015年にカナダの研究チームが行った発表によると、
指の関節を鳴らしたとき、関節内で一時的に空洞ができていたんだとか。
その空洞にある気泡が弾けるため、ポキッと乾いた音がするのだそうです[1]。
これはキャビテーションという現象で、
もし痛みや違和感などがなければ、それほど心配することはありません。
ただ、痛みや曲げ伸ばしづらさなど、何らかの症状があるなら要注意。
ひざの音で特に注意すべき、変形性ひざ関節症の可能性があります。
変形性ひざ関節症は、ひざの関節を形成しているすねの脛骨(けいこつ)と、
太ももの大腿骨(だいたいこつ)がぶつかり合う疾患。
最も多いのは痛みや水たまりといった症状で、徐々にひざが変形していきます。
患者数は日本国内で3000万人とも言われており、もはや国民病の一つ。
高齢者に多く、80代では7割以上がこの疾患を患っているのです。
「まだ若いし、今は大丈夫」
と思っている方もいるかもしれませんが、油断は禁物。
2017年に、下記のような興味深いデータが発表されています。
それは、
ひざからポキポキと音がする人は、症状がなかったとしても、
将来的に変形性ひざ関節症を発症するリスクが高い
というもの。
具体的には、いつもひざから音が鳴ると答えた人は、そうでない人の3倍、
頻繁に鳴ると答えた人は2.2倍、ときどき鳴る人は1.8倍、
まれにある、と答えた人でも1.5倍の発症リスクがあると分かったそうです。
まだ40代だから、50代だからとひざの音を甘く見ず、
痛みやこわばりなど、違和感を感じたら病院を受診してくださいね。
そして、日常生活でもひざ痛の予防を心掛けていただけたらと思います。
ひざの曲げ伸ばしやスクワットなど、
太ももの大腿四頭筋を鍛えるだけでも、大きな予防になりますよ。
【その他の疾患の可能性も】
ひざの音で注意していただきたいのは変形性ひざ関節症ですが、
その他の疾患の可能性もあります。思い当たる症状や原因があったら、早めに病院を受診してくださいね。
タナ障害
ひざの内側に痛みが出るのが特徴です。何かが引っかかったような感覚になり、曲げ伸ばしでパキッと音が鳴ります。スポーツなどで使いすぎたとき、ひざの中にある組織が炎症を起こしてしまうのが原因です。
半月板損傷
半月板は、ひざ関節で太ももとすねの骨を繋ぐ部分にあります。それぞれの骨が滑らかに動くよう、衝撃を吸収する役割を果たしていますが、ひざを捻るなどして強い負荷がかかると、損傷してしまうことがあります。
損傷した欠片が動き回ったり、関節で挟まったりして、痛みが生じたり、ピキッと音が鳴ったりします。
膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)
ひざのお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)と、太ももの大腿骨(だいたいこつ)がぶつかり合う疾患です。ひざを曲げ伸ばしたときに痛みやゴリゴリという音が生じます。
膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)
ひざのお皿の裏側にある軟骨が軟らかく変化してしまい、鈍い痛みと引っかかり感を生じる疾患です。スポーツをしている15〜20歳くらいの女性に多いと言われています。
それぞれの疾患や治療法について、詳しくはこちらの記事を参考にしてくださいね。
脚注
[1]Kawchuk GN, et al. Real-time visualization of joint cavitation. PLoS One; 10(4):e0119470. 2015.