なんか、すっごい固そうなタイトルですが、
ちょっと小難しい話かもしれません。

四大陸選手権

とは何ぞや。

ま、ぶっちゃけると、欧州選手権に出られない地域の選手が「じゃ、おれたちだけの大会作っちゃうもんね」ってな具合に作った大会です。
取れるポイントとしてはチャンピオンシップなので、結構貰えます。扱いは欧州選手権と同じですが、
あちらは世界選手権より古い歴史を誇る、最古参の大会。かたやこっちはついちょっと前まで二軍派遣が当たり前の戦い。
なので、何というか、出る選手のモチベーションが違います。

欧州選手権は去年のサラ・マイヤーや、今年のKVDPみたく、出て引退でも全然オッケー。
しかし、四大陸選手権はアボット選手が世界選手権の前だから大事をとって棄権します!となったくらいに、まあ、出られたらいいんじゃね?くらいの大会。

昔は本当に全日本の4-6位の選手を派遣していた頃もあったのですが、どうしても欧州選手権並みの大会にしたいISUが「各国エースを出す様に!」というお達しを出したので、日本とかアメリカもそこそこ一軍に近い選手を派遣するようになりました。

んで、今年のチームジャパン。

男子は

全日本1位の 大輔さん
4位の町田くん
5位の無良くん。

女子は
全日本1位の 浅田さん
3位の村上さん
4位の今井さん

というラインナップでやってきました。
女子のあっこさんがエントリーを希望していたのかどうかはちょっと分からないですが、2位の小塚さんはエントリーを希望していたそうなので、ここは話し合って4-5位の派遣を決めたという事でしょう。
1軍を派遣しろとのお達しですが、全日本男女1位を派遣してれば、「一軍ですが、何か?」と言えなくもない。そして、今のジャパンは強いので、まったく見劣りしないメンバーだったと思ってはおります。

さて、この四大陸の派遣については、我が国はさほど揺れませんでしたが、アメリカさんとこは色々もめたようです。
アリッサはどうして出られないのかコーチが正式に質問状を出したり、アーミンが世界選手権の補欠だからという理由でドーン・ブッシュくんの派遣になったりと、やや世論をにぎわせたようです。


私の予想では普通に1.2.4位を持ってくると思っていたので、発表があったときはちょっとびっくりしました。無良くん、行けて本当に良かった!と全日本の時は本当に思ったものです。

だってね、今のスケート界って一回脱落しちゃうと本当に大変なんですよ。

とにかく、まず困った事にGPSの枠が異様に減ってしまった。出られる試合の数は世界ランキングで決まります。なので、1回怪我や何かでGPSを欠場したり、ちょっと調子が悪くてあんまり良い成績が取られないと、うっかりするとGPS派遣無しとかになるのです。
これは、痛い。正直痛い。存在が消えるのには2年もあれば十分です。
おまけに何かと金欠な世界のスケート連盟は、自国開催のGPSにできるだけお客を呼び込みたい所為が、「世界選手権の4位(ごめんなさい、5位だったかもしれない)以内の選手は3試合エントリーできる」とかいう不思議ルールを作ってしまった。
ただでさえ、減った枠にさらに3つも空気を読まずに消費する選手が出現。今年でこそシングルはミハルとレオノワちゃんしかいなかったけど、この2人がグランプリファイナルに残っているのを考えると、来期はもっと増えるかもしれません。特に若手はね。

大輔さんとか、安藤さんはいいんです。タイトルを持っている選手というのは、客寄せパンダなので、割とあっさり戻れます。
しかし、無良くんや町田くんなど、あんまり世界での認知の無い選手は、一度脱落してしまうとなかなか這い上がれない。しかも、ランキングを稼ぐ為に小さな大会に出てたはいいけど、最近はその為にGPSで優勝するような選手までばんばん参加し始めてしまった。

そこで、四大陸選手権です。

この大会、何が美味しいかって、まず欧州勢が出てこない。それだけで敵は半分です。おまけにポイントは結構貰える。あわよくば表彰台だって狙えるかもしれない。
実際、無良くんは好演技でSPではスモールシルバーメダルさえ貰っているのです。

そんな訳で、来期のGPSの枠がこの試合にはかかっていた。それはすなわち、彼らの人生がかかっていたと言ってもいいと私は思います。

二人とももはやジュニア上がりではない。20歳を超えた青年です。日本でスケートをするのはとても大変。まず練習場を確保するのも一苦労です。大輔さんだって、一時間半しか練習できないんだし(←根に持ってるね)。そこで、各選手は自分の大学などで練習している訳ですが、それだって、大輔さんみたく永遠に広告塔なわけでもないなら、早々に卒業しないとなりません。
彼らには、もう時間が残ってないのです。

そして、来年の四大陸は開催国は日本。ということは今回のように4-5位が出られるかどうかかなり微妙です。もしかしたら、そのまま1-3位の出場となってしまう事だってありえます。何しろ、来年のワールドにはオリンピックの枠がかかってきます。その大事な前哨戦を果たしてランキング稼ぎの場にしてくれるか、お客さんを山盛り集めたいスケート連盟が、スター選手を外してまで出してくれるか、多いに疑問が残ります。

ということで、この二人は何が何でもここで良い演技をする必要があったのです。ソチを目指すならば。

彼らの下には羽生結弦という恐ろしスターが居ます。彼は既にランキングも知名度も二人より上です。そして、ジュニア銀メダルを取った田中刑事、小降りでもユースオリンピックで銀メダルを取ってきたしょうまくんもいます。

うかうかしては居られないのです。

だから、私は彼らが炎をあげるような良いSPを滑った時に、ああ、ほんとに人生かかってるなぁって思って見ていました。そして、二人は勝負に勝って、来期の枠を手に入れられるかもしれない。
そう思ったのですが、

残念ながらFSでの失速。これは、本当に痛かった。なんというか、ここぞの時の頑張りの不足。それこそが、彼らが今までも才能を持っているにも関わらず、何かを掴みきれなかった最大の一因なのかもしれません。
こんな事を、他人に言われるまでもなく、二人はよく分かっていたと思う。小塚さんは出たかったと言っていたけれど、この二人にとってこの試合は絶対に落とせない試合だったのです。アピールの場などではなかった。真剣勝負の、自分のスケーターとしての未来がかかってたんです。

だから、きっとFSの残念な結果は、二人に取ってどれほどの痛手になったか…想像するだけでしょんぼりします。
できれば、このポイントがいきて、来年枠を取れるといいのですが。来年は色々選手も帰ってくると言ってるし、そうするとただでさえ少ない枠がさらに減るし。

本当に、何とか2試合エントリーできると良いのになぁって、思います。


そして、遥ちゃん。
ああ、遥ちゃん。今年はあんまり崩れてなかったのに、一番大事な試合で出てしまたt。そこがとても残念だった。
彼女も怪我の影響で今期は成績が思ってたより伸びませんでした。普通ならそれでももしかしたら大丈夫な若さだし、いけると思うのですが、
来期はロシアの女子が入ってくるのです。遥ちゃんは、今期あんまり成績が伸びなかったので、なかなかPCSも上がりませんでした。
PCSは実績点だって言う意見もあるくらい、若手でジュニアの実績が高くない人はPCSがなかなか伸びません。佳菜子ちゃんや、ゆづが最初からある程度その辺を持っているのに対して、遥ちゃんはあまりにも少ない。
せっかく、今年有香さんとこで良い感じになってきたのに本当に惜しかった。
来期、彼女の枠もちょっと心配なんですが、どうにか2枠貰えます様にと祈って止みません。


というわけで、四大陸。各国様々な意志が存在していると思います。一軍を派遣せよ!とのお達しですが、本当なら若手で一回出世街道からドロップアウトしてしまった選手を、もう一度軌道に乗せる為に使えたらいいのにな!って思います。そして、今年の四大陸のメンバーは、まさに連盟の温情をこめたチャンス大会だったと思うのです。

確かに、日本はロビー活動はへたっぴだと思います。でもね、日本の政治家さんだってそうなんだから、スケート連盟の人だけが飛び抜けてそんな事できる訳がないじゃないですか。
エースをもっと売り込んで欲しい。
もちろん、私だって、もっと大輔さんを贔屓してくれよ!って思いますよ。だって、大輔さんのファンだもの。

でもね、こういう 変なバランス感覚というか、誰にも後ろ指刺されたくないよ的な発想とかね、いつもはイラっとする事も多いのですが、今回の派遣だけは、まあよく頑張って考えたんじゃないかなって思ったりもしました。

村上さんの派遣もね。
あっこさんファンの母が激怒していましたが、あっこさんファイナルで2位を取っているので、来期の枠は安泰。村上さんは今期GPSがあんまり良くなかったので、連盟はちょっとした保険をかけたんだと思います。
来期はオリンピックの枠のかかった大事なシーズン。
そして、お休みしている安藤さんが、無事帰ってこられるか…たぶん分からない。浅田さんも復調とは言いがたいし、あっこさんもシーズン終盤は少しお疲れモードなのがここ数年続いてる。
そうなると、ちょっと村上さんに、ポイント足しておこうって思っても、まあ、一応戦略と言えるんじゃないかなって思うんですよね。

ロビー活動だけが戦略じゃないんじゃないかなぁとね。まあ、私だって大輔さん出してくれなかったら暴れるけどね。

ちょっとそんな事を思った四大陸なのでした。