面白いページをみつけました。現在の大河ドラマについて書かれているもの。時代考証をした佐多芳彦（立教大学史学科教授）のコメント。

↑藤原道隆の武官束帯

腰の辺りから青い帯が垂れていますが、これは平緒（ひらお）といって太刀を腰に固定するためのものです。平緒と太刀は個別にあるのではなく、くっついて一体となっています。天皇から帯剣を許された文官でも見ることができますが、この平緒は武官の特徴の一つになります。

↑平緒

――道長（柄本佑）に従っている人たちには平緒がありませんが、なぜないのでしょうか？

これは褐衣姿（かちえすがた）といって、武官の下級役人が着る服です。下級役人なので平緒はありません。道長が着ている武官束帯は絹製ですが、褐衣の素材は麻などとなっています。

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↑衛府の太刀と呼ばれた毛抜形太刀

毛抜形太刀は衛府の武官の制式刀として知られています。先日書いたように衛府の武官全員が佩いたものではなくて高級将校のみの佩刀だったのかなと思っています。現存数がとても少ないので。

上の写真だと黒い服の藤原道隆や赤い服の藤原道長は「衛府の太刀」を佩くけど、青服の兵衛府の武官の佩刀ではないと思うのです。

ちなみに、この写真の場面は藤原道長が兵衛府の権佐だった18才くらいの場面のはずです。同じ年代であれば上の黒服の藤原道隆は近衛府の中将。

西暦984〜986年頃の姿と思われます。

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毛抜形太刀は元は兵杖刀で後に儀仗化したとされます。この時期のものがどちらであるのかは不明ですが、明確に分けられるものでもないのかもしれません。

大河ドラマでは道長が同僚と宿直をして見回りをしたり賊と戦闘するシーンがありました。これはドラマなので実情はわかりかねまず、この頃の兵衛府はまだ完全に名目化していたわけではなかったのかもしれません。そういう意味で言えば、この時期の衛府の太刀は兵杖刀とも言えるでしょうか。

なお、第一話では道長の兄の道兼が紫式部の母親を斬殺するのですが、その刀が湾刀でした。

この時の道兼の職などはわからないのですが、毛抜形太刀は「野太刀」とも呼ばれて公家の外出時の屋外用佩刀としても用いられていたので、この時の道兼が衛府の武官ではなくても考証的にはおかしくないと思います。

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この時期の湾刀が共鉄柄の毛抜形太刀だけだったのか、木柄式の湾刀（日本刀）が存在したのかは不明です。日本刀の成立年代は9〜11世紀頃とされています。この大河ドラマの時代に普通に日本刀が佩用されていてもさほど不思議ではありません。

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大河ドラマから