前回、検査入院!③~PET検査とCTガイド下生検(針生検)~ の続きです。

こうして2012年9月24日(月)から28日(金)までの私の入院生活第1週目は終わった。

主に行った検査はPET検査と針生検だったが、針生検は特に精神的にキツかった。

この検査を受けた後、以前「自分は病気になっても大丈夫」などと思っていたのは何も知らなかったからそう思えただけであったことに気がついていた。

何があっても耐えぬくという入院前にしていた覚悟も崩れ去ってしまっていた。

もし、針生検で細胞の判別ができなかったら更に検査をするために開腹手術が必要になる可能性があった。

「あーこんなにも大変なのか」。私は本当に参っていた。



土日は早朝の血液検査以外は検査はないのでそういう意味では一息つける。

ただ、痛みはひどくなり状況は悪化している一方であることは体感的にわかるので早く月曜日が来て欲しかった。

母がりんごなどを持ってきてくれたのでそれを食べるのだが、その時もやはり腰の痛みがひどくずっと同じ姿勢で座っていることができず、りんごを噛む時は起き上がって飲み込んだ後は少し寝転がってということを繰り返しながら食べていた。

相変わらず痛み止め医療用麻薬のレスキューであるオキノームを早朝に服用していた。

「早く月曜日が来てほしい。一刻も早く検査をしてほしい。」

土日の間に考えていたことはそれだけだった。


多分担当の先生にも無理は承知で「土日は検査を受けられないのですか」と話していたと思う。が、当然そんなことは実現せず、月曜の朝が来るのを待つしかなかった。



ようやくものすごく長く感じた2日間の週末が終わり月曜の朝が来た。

10月1日、月曜日に行ったのは下部消化管内視鏡検査(いわゆる腸カメラ)だ。先生から検査について説明があり同意書にサインした。

先日の針生検に比べればマシだったがこれも嫌な検査だった。

前日夜21時以降と当日朝は絶食、そして更に腸を空にするためにニフレックという下剤を飲む。

その量2リットル。それを2時間以内で飲んでほしいという。

味は一応スポーツドリンク"風"ではあるが、やはりスポーツドリンクではない。

最初こそそこそこ飲めたものの飲むにつれてだんだんキツくなってくる。飲めない味ではないが、そもそもどんなものでも2リットルを2時間で飲むとなるとかなり無理をしなければならない。

「おいおい、こんなんほんまに2時間で2リットル全部飲みきることできるんかいな。」

途中トイレに行きだんだん便がやわらかくなっていることを確認。最後の頃にはほぼ水のようになっていた。文字通り腸内洗浄だ。


半分飲んだところでもうげんなりしていたが、ここで必要なのは根性である。

2時間をオーバーして残りも少しになっていたので看護師さんが「ここまで飲めていたらもう飲まなくても大丈夫ですよ」というような声をかけてくれたが後少しだけだったので最後まで飲みきった。


それから少し経って検査室へ連れて行かれる。先生や看護師さんと軽く挨拶をして検査の説明を受ける。

検査を受けるためベッドに横になって寝転ぶ。私からも画面に映る画像が見えるようになっていた。

後で他の人に聞いたところ、全身麻酔ですることもあるらしいのだが私は全身麻酔ではなかった。

大腸の動きを止める注射が痛い。肛門には薬が塗られているため痛くない。

最初の頃はだいぶ余裕だったがカメラが進んでいくにつれて所々腸の壁に当たることがあった。

「あいたたた!!」カメラが腸の壁に当たるのは急である。いつ痛みが来るかわからないという恐怖がある。

力が入る。痛みを感じたところで一旦進むのを止めて少し体を動かして落ち着いてから再び進めていく。

何回かこれの繰り返しだった。

いつ終わるのか、早く終わってほしいという思いと腫瘍の原因が何かここでわかるかもしれないという期待感と恐怖感が入り混じっていた。ようやく最後まで行った時には検査の痛みの恐怖から解放された安心感はあったが何も見つからなかった絶望感があった。

時間にして20分くらいだったのだろうか。だが自分には生検と同じでとても長い時間に感じた。


終わってからは当日何も食べていないので空腹。食事を採れたのはしばらく経ってからだった。


翌10月2日は胃カメラと腹部超音波(エコー)検査を行った。エコーは皮膚にゼリーのようなものを塗って超音波を当てて状態を見る検査だ。私は普段からくすぐったがりなので触られるのは気持ち悪かったが、今までの検査と比べると負担はなかった。


これで腸カメラも胃カメラも終わった。が、何も見つからなかった。

私の腫瘍は後腹膜にあったのでこの検査でもしかしたら何か出てくるかもと思っていたのだが何もなかった。

「一体なんなんだ。」 ここでわからなければ他の病院に行くことも考えなければならない。

頼みの綱は前週に行っていた針生検の検査結果と翌日に予定されていたMRIだった。

腫瘍から来る腰の痛みはどんどん激しくなり医療用麻薬オキシコンチンの量が日10mgから60mgへ増量された。
入院2週目、10月2日のことだった。