前回、検査入院!② ~緩和ケアとの出会い~の続きです。

前回は検査入院した直後に痛みのコントロールの為、緩和ケアチームをつけてもらったことについて書いた。

私の大学病院での検査入院はこのようにオキシコンチンやレスキューのオキノームで痛みを緩和しながら検査を受けていくというものだった。

(オキシコンチンは錠剤でオキノームは散剤、散剤であるオキノームの方が即効性があるため痛みがひどくなった時にレスキューとして使用していた。)

これらのオピオイド鎮痛薬についてわかりやすくまとめられているサイトがあった。一例としてこちらのサイトhttp://www.okusuri110.com/dwm/sen/sen81/sen8119002.htmlであるが、他にも「オキシコンチン」「オキノーム」などの商品名や薬品名「オキシコドン」で検索すればすぐに出てくるので参考にしてみてほしい。

では検査の内容はどのようなものだったのか。

早速先生が様々な検査の予約を入れてくれていた。

この検査入院から精巣腫瘍と診断されるまでおよそ2週間だったのだが、その間に受けた検査は上部内視鏡検査(食道、胃、十二指腸に病気があるかどうかを調べる、いわゆる胃カメラ)、下部消化器官内視鏡検査(肛門から内視鏡を挿れて直腸、結腸に病気があるかどうかを調べる検査)、PET検査、針生検(CTガイド下生検術)、MRI、CT、エコーなどがあった。

他にも日常的に早朝に行われる血液検査があった。

入院初日の2012年9月24日は入院手続きや主治医からの説明だけで1日が終わったように記憶している。

25日には、後に受けることになるCTを利用しての針生検についての説明が主治医のGT先生とは違うF先生から説明がありその同意書にサインをした。

それから26日には何もできることがなく、27日にPET検査を受けた。PET検査を受けるには手続上一旦退院したことにしないといけないらしく、実際は入院していたが形だけ退院してまた入院することになった。

PETとはPosiron Emission Tomography(陽電子放射断撮影)の略で、特殊な検査薬を人体に点滴で投与してがんに印をつけて、それをPETスキャナーというCTの装置と似たような大きなドーナツ状の機械に体を通して全身の断面を撮影されていく。

癌の早期発見のためがん細胞にFDGという特殊な検査薬で「がん細胞に目印をつける」というのがPET検査の特徴である。

まず普通のCT検査と同様問診票などの記入があり、検査前4~5時間くらいは絶食である。

PET検査室に行きFDGというブドウ糖に似た薬剤の注射を受け、FDGが全身に行きわたるのを待つため30分~1時間ほど椅子に座って安静にしていた。(ペットボトルの水も飲んだかな?)

PETスキャナーの中にいたのは20から30分くらいである。検査を受けていた感覚としてはMRIの検査を受けていた時と同じようなものである。

自分が台の上に寝転がって、ドーナツ状の機械の縁の中に入っていく。そして自分の体の周りで目には見えないが機械がウィンウィンと静かな音を立てて動いている。

これは自体は特にこれといった負担を感じる検査ではなかった。

下のサイトにPET検査について詳しい記述があるので参考にしてほしい。

PET検査とは?基礎知識&治療説明PET検査ネット

精神的に大変だったのが翌日28日に受けたCTガイド生検術(針生検)だ。

CTガイド生検術とは、私の腹部に大きな腫瘍が左右2つあったので、CTで針の進み具合を確認しながら私の背中に針を刺してそれを腫瘍の部分まで進めて腫瘍の組織を採取するという検査だ。

CTガイド下生検についてはこの岩手県立中部病院のサイトの記述がわかりやすい。

この針生検は本当に苦しかった。

まず、検査中1時間ほどとその後も3時間ほど安静にしておかないといけずトイレに行けなくなるため「おしっこの管」と呼ばれる尿道カテーテルなるものをつけないといけなかった。

要は陰茎の先から膀胱まで届く管を挿れられるわけである。

尿道カテーテルの挿入は痛いのかどうか。

初回は、痛かった。挿入したのが新人の看護師さんで教官についてもらいながらの措置だった。怖そうな教官でかなり怯えていたようだった。別に責めないし自分が就職したころを思い出す光景だったが感覚的には痛かった。
ちなみにこの時は生検と安静時間が終わってからこのカテーテルを抜いた後、初めて小便をする時もかなり痛かった。

声を上げてしまうほどの激痛だった。

しかし、この後数回この尿道カテーテルを挿入される機械があったがその時はこの時の経験から覚悟していたがそれほど痛くはなかった。

挿入する人の技術によるのだと思う。


さて、こうして尿道カテーテルとそれにつながる尿の袋を引っさげてCT検査室に向かった。この時も確か検査前は4時間くらいは絶食だったはずだ。

検査室に入ると数人の検査技師や医師と思われる方がいた。

私はCTの検査台に登ってうつ伏せになった。ゆっくりと針を刺していく危険な検査なので体が動かないようCT台に体を固定された。

身体の動きが全く取れない状態で背中の腰に近い部分に針を2箇所同時に刺していくのだ。ものすごい恐怖感である。


CTの中に身体が入り、まず麻酔の注射を打たれる。当然麻酔は痛い。

麻酔を打って、それが効くのを少し待って針を刺していって、深いところに来たら更に麻酔を足してということを数回繰り返したのだと思う。

身体は緊張でこわばり汗が出てくる。自分では顔を動かすこともほとんどできなかったのでどうなっているか見えない。

背中にちくっとした痛みが走る。何回か針を進めることを繰り返してようやく腫瘍に到達し腫瘍の細胞を採取することができたようだ。

針を抜かれ、私は止血などのため身体を動かすことができなかったのでうつ伏せになったままストレッチャーに乗せられ病室まで戻った。

どれくらいの時間だったのかわからない。説明では1時間程度ということだったが私の感覚では2時間にも3時間にも感じた長い時間だった。

病室に戻ってからも、血管損傷による出血のリスクを回避するため2時間程度うつ伏せのまま動かず安静にしている必要があった。私は全く身体を動かさなかった。

針を刺された箇所については病室に帰ってきてからは触らなければ特に痛みは感じなかった。

水も飲めるようになり医師により安静解除を行ってもらって自分で歩けるようになった。ここでちょうど午後3時でようやくご飯を食べれるようになった。

針生検は本当に激しい検査だった。今振り返っても二度と体験したくないことの一つである。

ちなみにこの時、この針生検で腫瘍の細胞を採取できなかった場合、さらなる検査のために開腹手術をして腫瘍の細胞を採取する可能性があることを予め伝えられていた。

私は入院前「どんなことがあっても受け入れる」と覚悟を決めていたつもりだったが、その覚悟が崩れ去るのは早かった。すっかり参ってしまった。

何も知らなかったからそう思えただけであったことを痛感していた。

こうして私の入院第一週目は終わった。

ちなみにこの2012年9月24日(月)から28日(金)までの間の腰の痛みのコントロールはどうだったのか。

自立歩行はできていたが、腰の痛みがひどい時は車椅子を使用することを許可されていた。実際にはまだこの時は使ってはいなかったが歩行器は使っていた。

食事をしている時も痛みのあまりずっと同じ姿勢でいることができず、起き上がって少し食べ、痛みがひどくなってきたら横になって落ち着いたらまた起き上がって少し食べ、というような状態だった。

やはり夜中になっても痛みで目が覚めレスキューのオキノーム散2.5mgを午前3時や昼間も痛くなった時に服用している。

PETや生検などの検査の時には、検査時間中腫瘍からくる腰の痛みを堪えて静止しておけるかどうかが気がかりだった。PET検査の時にはFDGが全身に行き渡るのを待っている1時間ほどの間に痛みが酷くなってしまうのではないかという恐れがあったため、指定の時間にオキノーム2包をPET室へ持ってきてもらうよう依頼していた。


つづく