27歳で精巣腫瘍という癌になり治療後社会復帰してから約2年半。最近、働くことの意味や働き方について考えています。

堀江貴文さんの「ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく」(2013年11月)を読んでみました。

ちょうどこれからの生き方について迷っていた時になんとなくタイトルに惹かれて買ってみたのですが、めちゃくちゃ良かった。今まで読んできた中でTOP3に入る本だと思います。

一回読んでみてすごくいいなと思い、もっと理解したいと思って2回目読みました。もっと理解して定着させるために更に読み込もうと思います。「この人から学んでみたい」と思うことは滅多にないのですが、今回はそう思いました。

今まで私は堀江さんについてあまり知らず、テレビなどから受ける印象で「金の亡者」のネガティブなイメージを持っていましたが、一変しました。

読んでみた感想を一言で言うと「堀江さんはアドラー心理学の体現者だ!」ということです。

アドラー心理学の教えを端的に言うと「人生とは連続する刹那の連続である」、「今ここを全力で生きよ」、「他者の課題と自分の課題を混同しない」、「人生とは常にシンプルなもので、人がそれを勝手にややこしくしてしまっている」というようなものです。

「嫌われる勇気」がアドラー心理学の理論編で「ゼロ」が実践編のような感じです。

確かに堀江さんの場合あれだけマスコミや会ったこともない人からバッシングされたりしていると、生きていく中でアドラーの言う「課題の分離」(自分の行動を選ぶのは自分の課題だが、それについて他人がどう思うかはその課題の他人の課題であって自分の課題ではない、逆も同様という考え方)をマスターする必要があったのかもしれません。YouTube番組で「他人の言うことを真に受けていたら僕なんか10回くらいは自殺している」と話されていましたし。

アドラー心理学について詳しくは岸見一郎先生とライターの古賀史健さんの共著、「嫌われる勇気」を読んでみて下さい。こちらも自分の人生の意義を考えてみたい方に是非お勧めしたい本です。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え/ダイヤモンド社

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(堀江さんの「ゼロ」も岸見一郎さんの「嫌われる勇気」も両法ともライターの古賀史健さんが書いているので似た内容になったのかなとも思ったのですが、11年前の堀江さんの著書「稼ぐが勝ち」を読んでみたのですが、堀江さんの思想は全く変わっていませんでした。「稼ぐが勝ち」というタイトルから想像されるような内容よりも、随分と人生の本質に迫る内容でした。売れるためにこのタイトルになったのでしょうけど、これが結構誤解を呼んでいると思います笑。)

私は特に癌をきっかけに自分の在り方や働き方を再考するようになったのですが、「ゼロ」は是非全ての方に読んでほしい本です。

書かれていることを抜粋していくと、

・(若い世代から転職や起業、アイデアの勝算などについて頻繁に質問を受けることについて)彼らの声を聞いていて感じるのは、みんな掛け算の答えを求めているということ。
でも、ここで確認しておきたいことがある。
人が新しい一歩を踏み出そうとするとき、次のステップに進もうとするとき、そのスタートラインにおいては誰もが等しくゼロなのだ。
つまり、「掛け算の答え」を求めているあなたはいま、「ゼロ」なのである。そして「ゼロ」になにを掛けたところでゼロのままだ。物事の出発点は「掛け算」ではなく必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。本当の成功はそこから始まるのだ。

・僕はマイナスになったわけではなく、人生にマイナスなんて存在しないのだ。失敗しても、たとえ全てを失っても、再びゼロというスタートラインに戻るだけ。…ゼロになることは、みんなが思っているほど怖いものではない。失敗して失うものなんて、たかが知れている。なによりも危険なのは、失うことを怖れるあまり一歩も前に踏み出せなくなることだ。これは経験者として、強く訴えておきたい。

・掛け算をめざさず、足し算から始めよう。

・ここから一緒にスタートを切り、一緒に新しい時代をつくっていくことができれば幸いである。大丈夫。あなたも僕も、未来は明るい。

・小さな成功体験の前には小さなチャレンジがある。そして小さなチャレンジとは、「ノリのよさ」から生まれる。

・例えばビジネスでも、転職したいとか、車内で新規事業を起こしたいとか、起業したいといった希望を持ちながらも、なかなか行動に移せない人がいる。そういう人は、僕が女の子にキョドっていたように、仕事や人生に怖気付いているのだ。仕事にキョドり、人生にキョドっているのだ。

・お金を「もらう」だけの仕事から、お金を「稼ぐ」仕事に変えていこう。儲けるために働くのではなく、お金から自由になるために働こう。

・やりがいとは、業種や職種によって規定されるものではない。そして「仕事をつくる」とはなにも新規事業を起ち上げることだけを指すのではない。能動的に取り組むプロセス自体が「仕事をつくる」ことなのだ。

・「できっこない」という心のフタさえ外してしまえば「やりたいこと」なんて湯水のようにあふれてくる。

・これからの時代を生きるあなたは「お金」ではなく、自らの「信用」に投資することが求められている。本当に困ったとき、人生の崖っぷちに追い込まれたとき、失敗してゼロに戻ったとき、あなたを救ってくれるのはお金ではなく信用なのだ。

・100人の人間と知り合って、100人すべてから信用されることはないだろう。あなたの努力や人間性にかかわらず、あなたを嫌う人は一定数いる。あなたの理解者となってくれるのは100人中10人程度かもしれない。でも、それでいいのだ。もしも100人中10人が理解してくれるのなら、1000人に会えば100人が理解してくれる。
万人から愛されようと自分の信念を曲げるのではなく、単純に分母を増やしていけばいいのだ。
信用の「ゼロからイチ」は、まず自分で自分を信じることから始まる。

・人はメシを食うために働くのではない。働くことは生きること。僕らは生を充実させるために働くのだ。

・責任が発生しないうちは、ほんとうの意味での自由も得られないのだ。

・考えることと働くことは、どちらも欠かせない車の両輪なのだ。

・苦しいからこそシンプルに考える。

・僕らは「自分の時間」を生きるのか、それとも「他人の時間」を生かされるのかを常に意識しておく必要がある。

・人生には「いま」しか存在しない。

・自分の本業なんて決める必要はない。

・情報を得ることは未来を知ることである。

・仕事もお金も喜びも、それを独り占めしたところで心は満たされない。みんなとシェアするからこそ、本当の幸せを実感できるのだ。

・あなた自身の「ゼロからイチ」を見せてほしい。僕がそうであるように、あなたもきっと「ゼロ」である。これからどうやって「イチ」を足していくのか。いや、その前にどうやって最初の一歩を踏み出すのだろうか。ヒッチハイクからはじめてみるか、飲み会の幹事からはじめてみるか、早速起業に動きはじめるか、進む方向やスピードはどうでもいい。とにかく、「ゼロ」のままの自分に見切りをつけ、一歩を踏み出すことだ。僕はあなたの人生に直接手を触れることはできない。決めるのはあなただ。自分の人生を動かすことができるのは、あなただけなのだ。


こうしたことが堀江さんの幼少の頃や初めてパソコンに興味を持った学生時代のこと、東大で感じたことや大学時代のヒッチハイクで得たこと、起業してから逮捕されるまでや離婚したことと離婚によってたった一人の息子に全く会えなくなってしまったこと、収監中に感じたことや将来についての想いなどがリアルに描かれています。

読み終わった後には「嫌われる勇気」を読み終わった後のような爽やかな興奮と感動があります。ライターの古賀さんの力量もかなり影響していると思います。堀江さんについての好き嫌いは分かれると思いますが、一旦それを横においておいて、働くことの意義について考えてみたい方は読んでみる価値のある一冊だと思います。

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく/ダイヤモンド社

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岸見一郎×古賀史健×堀江貴文さんの対談はこちら→ホリエモンが共感したアドラー心理学が教える現代サバイブ術

YouTube番組では見栄を取り払うこと(アドラー的に言えば他人の価値観で生きず自分の価値観で生きること)の大切さについて語られています。堀江貴文のQ&Avol.275 ~生活の為に稼ぐ!?~