普段風邪をあまり引かないが、何故か毎年インフルエンザにかかる。
毎回彼は私に症状が出たと同時に実家へ帰り、治るまで帰ってはこない。
だから私はいつもフラフラする体を引きずりながら15分程歩いて病院へ向かい
帰宅後数日は部屋でひたすら横になる生活を送る。
痛みには強い方だと思うし、39度の熱があっても動けないなんてことはない。
だけどインフルエンザにはめっぽう弱く、テレビも見れない、動けなくなるしでいつも散々な目にあう。
そして今回はインフルエンザにかかるタイミングが物凄く悪かった。
買い出し前で食料がない‥‥‥
地方でウーバーイーツなんて来てはくれないし
仕方なく私は彼に買い出しを頼んだ。
仕事終わりにビニール袋二つを両手に持って帰って来てくれた彼。
うつしてはいけないからマスクをして、お礼を伝えるために寝室から顔だけだした。
彼はリビングの机に買ってきたものを置き
「またなんかあったら連絡して。俺トイレだけ寄って帰るわ。」
そういってすぐに姿を消した。
私も寝室の扉を閉めてベッドへ戻る。
シュッシュッシュッシュッ
シュッシュッシュッシュッ
物凄い回数のスプレーを噴射する音が聞こえて、また私は寝室の扉を少し開けた。
カーテンや布類にアルコールスプレーをかけまくっていたのだ。
ガッ!と私が少し開けている扉に手をかけ、私の顔面から上半身下半身にも大量にアルコールスプレーを噴射してきた。
私は目を瞑るのが精一杯だった。
そして寝室に入り、カーテンからベッド、空間にまで何十回とスプレーを噴射する。
「じゃ帰るよ」
そう言って嵐のように去って行った。
私のパジャマは濡れて着替えが必要な程だった。
すぐに帰るのにここまでする意味が私には理解ができなかったし、
濡れたパジャマを無言で着替えながら、なんだか涙が出てきそうなくらい悲しい気持ちになった。
こんなんなら玄関先に置いて帰って貰ってよかったよ。