30日、東京・目黒のめぐろパーシモンホールにて行われた、ぱんだウインドオーケストラの公演にお邪魔しました。同団がパーシモンホールでコンサートを行うのは2022年以来2年ぶりだそうです。オープニングのトークで、ぱんだウインドオーケストラコンサートマスターの上野耕平さん(サクソフォン奏者)が「(めぐろパーシモンホールに)帰って参りました」と発言し、ボルテージを上げていたところが面白かったものです。

 

「ブラスで輝け、未来に羽ばたけ!」というサブタイトルが付された今回のコンサート(指揮:水戸博之さん)では、

 

・前久保諒:Welcome to PANDA!

・G.ホルスト:ハマースミス 吹奏楽のための前奏曲とスケルツォop.52

・アイルランド民謡(芳賀傑編曲):ダニー・ボーイ

・P.スパーク:マンハッタン トランペットと吹奏楽のための(トランペット:児玉隼人さん)

・A.リード:音楽祭のプレリュード(目黒区立第一中学校、東山中学校、目黒中央中学校と共演)

・宮川彬良:僕らのインベンション(目黒区立第七中学校、第八中学校、第九中学校と共演)

・A.リード:エル・カミーノ・レアル

・L.S.アラルコン:ドゥエンデ 吹奏楽のための4つの前奏曲

 

といった曲目が演奏されました。

 

"Welcome to PANDA!"は、指揮者と金管楽器群、打楽器群が先に入場。ファンファーレが鳴り響く中で他の団員も入場し、そのまま曲の演奏に入るといった趣向の演奏。コンサート最初のおなじみである、団員が入場してコンサートマスターの合図によりチューニングをするといった光景が見られなかったため、クラシック・コンサートに行き慣れている人ほど驚いたことでしょうね。

 

「ダニー・ボーイ」は芳賀さんによる最新アレンジによる演奏。主題をパラフレーズした旋律も織り交ぜていた点や、サクソフォン・アンサンブルによるジャズ風あるいはブルース風に感じられる冒頭部分が印象的でした。「ブルーノートを使っているのでは」と感じたのは、筆者だけでしょうか?

 

「マンハッタン」でソリストを務めた児玉隼人さんは、柔らかいサウンドや色彩感豊かな表現力が魅力的でした。ソリスト・アンコールで披露された、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」では、複数の弱音器(ミュート)をうまく使い、曲の世界をホールいっぱいに響き渡らせていました。

 

「音楽祭のプレリュード」や「僕らのインベンション」でステージに立った中学校の吹奏楽部員は、貴重な経験を味わうと共に、思い出深い1日になったことと思います。特に、ノリやリズムにうまくハマると面白いが、ハマるまでが難しい「僕らのインベンション」に挑んだ第七、第八、第九の3中学校の皆さんは、日頃の頑張りが実を結んで楽しい音楽を奏でることができ、達成感でいっぱいのことでしょうね。

 

「エル・カミーノ・レアル」は、上野さんがトーク内で「興奮感の高まる音楽」である点をアピールしていたとおり、エキサイティングな演奏でした。リズムづくりに重要な役割を担うカスタネットの好演も効いて、フィナーレでは団員全員が熱くなっていた様子が伝わってきました。パーシモンホールでは少々鳴らしすぎに感じられる箇所もありましたが、曲に込められた思いが前面に押し出されている演奏だったので、興味深く楽しみました。