結婚生活は私に何の光ももたらさなかった。
彼女が嫌いというわけではない。
冷めた関係というわけでもない。
ただ何となく心にぽっかり空いた穴はそのまま残っていた。
妻には信仰告白をしていた。
何度かそれとなく聖書の話を持ちかけるも受け入れられるものではなかった。
神への信頼を失ってなお、問いかけ続けていた神への祈りも結婚生活を機に以前のように出来なくなった。
神との壁は独身時代より高くなった気がした。
妻への伝道は日に日に諦めの心に向かっていった。
…
一つだけ残された望みがあった。
子供が生まれれば何か希望を見いだせるかもしれない。
…
そして時は流れ、
妻の妊娠
長男の誕生
誕生したその小さな命は何よりも愛おしかった。
しかし光は見えなかった。
自分の命よりも大切なその命を前にして
私が見たのは希望ではなく
一人では到底抱えきれないほどの責任と
この汚れた世に産み出してしまったという後悔だった。
つづく