前回の続きです
備忘録なので
リアルな描写があります
ご注意ください
あと数時間
何度も何度も時計を確認して
あと何時間?あと何分?
さっきからまだ3分しか経ってない
なんでなんだよぉ
あと少しで帰る帰る詐欺をする私
琴の目が一点を見つめる
その時間が多くなってきていた
とぉちゃんの帰宅まで
あと1時間
間に合わないかもしれない
この時すでに日付は変わり
午前1時半を過ぎていた
でもこの頑張りは
どうしてもとぉちゃんに伝えたい
仕事中のとぉちゃんの為に
口を開けて必死に生きる
琴の頑張りを残してあげたい
その為だけに残した動画は
まだとぉちゃんにも見せていない
小さく開けた口から見える舌は
ピンクより紫に近い
いてもたってもいられず
琴を横たえたまま
クッションごと抱きかかえて
玄関に続く扉の前で
立ってはウロウロと
まるで赤ちゃんをあやす様に
お願い神様
どうかどうかあと10分だけ待って
最期に抱っこさせてあげて
先住犬から順番に
帰宅後さわってあげるのが
うちのルール
玄関がガチャっていったら
かぁちゃんビュンッて急いで
とぉちゃんとこ連れてくからさ
1番に抱っこしてもらおうね
ガチャ
待ちに待った音がした
玄関でとぉちゃんに一言
もうこの子は限界だよ
頑張り屋さんの琴らしく
とぉちゃんが帰宅して30分近く
お別れの時間をくれた
苦しいだろうに
鳴き声1つ上げずに
目を見開いて何かを伝えようと必死だった
もう本当に頑張らなくていいのに
頑張っている琴
なんで?安心できない?
そしてふと私が気付く
私達は顔をしっかり見たいから
明るい電気の下で呼びかけたけど
この数ヶ月は
私が仮眠を取るために
夜8時には豆電球にして
わんこ達を寝かしつけていた
そっかそっか
明るいからダメなのか
いつも
ねんねの時間は暗くしてるもんね
そういって豆電球にしたら
薄明かりの中で
琴は体を大きく突っ張り
口を大きく最大に開けては閉じ
開けては閉じてを繰り返し
最期まで声を押し殺して
13年10ヶ月の犬生を走り抜けた
2022年5月27日
午前2時50分
琴 永眠
いつもの様に私のねんねだよ
という言葉に反応したのか
はたまた気高く凛とした琴だから
最期の顔なんて
ハッキリ見せたくなかったのか
いつかまた会えるから
その時に聞いてみよっかな
不足してるものもありますが
たくさんの想いに囲まれて
こっちゃんは幸せです
敢えて名前は控えさせていただきます
でもこの支えがあったからこそ
私は前に進めます
ただただ
感謝です
ありがとうございました
