ぼくらは頂上を極めようとして日々奮闘しているかのようだが。


実際に山の頂上に登ってみるとわかるが、頂上に人は住めない。

なのに我々は山の中腹辺りでうろうろすることになる。思うように仕事ができないとか、人間関係が煩雑であるとか。

なかなか頂上にはたどり着けないものだ。





どっと疲れて1週間が終わる。


そういう時は谷に降りよう。


そこにはきれいな水が流れている。河畔を歩けば閑静な佇まいの小屋もあって、高齢な、しかし凛とした美しさのある女性がお茶をたてているのが見えるかもしれない。


子どもたちの遊び声も聞こえる。

広がった平野からは稲穂が見えるだろう。

そこには人間らしい生活がある。


ぼくらは、山と山の間にある谷でこそ暮らしていくことができるのだ。




谷は生きるための恵をみかえりもなく与えてくれる。

老子の言葉に「上徳如谷」という言葉があります。

谷のような無償の愛を、実現するように人は生きなければならない。


「谷」を「欠」くと「欲」になる。


漢字は良くできている。


疲れたら谷に降りよう!

そこで美味しい水を飲んでまた山に登ればいい。

何度でも挑戦すればいいと思う。