吉岡秀隆さんは寅さんのオーディションの最終選考で演技の上手な人たちを押さえて選ばれた。選んだのは山田洋次監督だった。
その山田洋次監督は、渥美さんや健さんとの出会いが運命的であったように、吉岡くんとの出会いも運命的なものであったと、今になってしみじみ思う。と、おっしゃって、次のように話された。
彼はずっと悩んでいるのではないかな。今も悩んでいるのではないかなそれが吉岡くんだと思う。疑問を持ち続けるということが彼の素晴らしいところなんだと思う。
彼の俳優としての道を開いてきたのは山田監督だった。
中でも印象的だったのは、寅さんで40年近く親子の役を演じた倍賞千恵子さんの言葉だった。
「ちゃんと地べたに立つ方法を母親から教えてもらっているんでしょう。
人の心はちゃんと自分の心で受け止めて人に接しなければならない。
きっとお母さんは吉岡さんのことをよく見ていて、どのように育てたら彼のためいいいのかということをよく考えて育ててきているのでしょうね。
それを秀の方も全身で、心の芯で受け止めて、また心の芯で返したのでしょう。
だから、彼はどこか暖かいのよ。
その辺が、彼は
そんじょそこらにいない俳優さんなんでしょうね。」
結局、必要とされていたのは人間力で
「人の心はちゃんと自分の心で受け止めて人に接しなければならない。」
という言葉に集約されるんだと思う。
国民的映画という言い方が許されるならば、寅さんという映画の作り手は俳優のみならずスタッフの隅々までその心が行き届いていたのだと思う。演技のうまい下手ではなかったんだな~
NHK+ でやっています。オンデマンドでも見ることが出来るかもです。
ちなみに、
彼のお父さんは東映の大道具の、美術かな?の責任者として映画を半世紀支えてきました。お母さんは衣装を担当していてそこでであったのですね。
彼のおばさんはタカラジェンヌであった。そうして、おじさんは、京都大学の医学部に入って医者を志していた。
しかし、二人とも夢半ばでこの世を去っている。
おばさんは結核で、おじさんは戦争で。
ぼくは、Dr.コトーの映画はそういう人たちの思いで出来上がっているように思えてならない。
ではまた。