こんにちは。
東京の認定講師スズキです
私は普段住宅FPとして「お家を買いたい!ローンはいくらまで借りたら大丈夫?」といったご相談にお応えするお仕事をしています
その際に「今のままでは●●●万円が上限ですが、がんばって節約して支出を削らなくても貯め方を工夫するだけで▲▲▲万円まで予算UPすることが可能ですよ!」といったケースも多々あります。
なかでも可処分所得を増やしつつ、老後のお金をしっかり貯められる「iDeCo」や「DC」は現役世代の強~い味方!私もよくご活用をオススメしているのですが、「収入がない専業主婦(夫)では、そもそも所得税も住民税も払ってないのだから意味ないのでは…?」なんて疑問の声も多くいただきます。
たしかに税負担を軽くする所得控除のメリットは得られません。だからといって活用しないのもモッタイナイのですよ
今回はそんなお話をまとめてみたいと思います
Q:なんで利用者が少ないの?
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そもそも「専業主婦(夫)でもiDeCoを利用できる」ということをご存知ない方が多い理由の一つが、以前は会社員や公務員会社員や公務員(厚生年金に加入している人)に扶養されている配偶者(国民年金の第3号被保険者)はiDeCoに加入できないとされていたからでした。
しかし2017年1月に「第3号被保険者=専業主婦(夫)も加入できる」と規制緩和されたことで、今では現役世代は原則誰でも確定拠出年金に入れるようになりました
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Q:掛け金はいくらまでできる?
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専業主婦(夫)の場合、iDeCoの掛金は月2万3000円まで枠があります。これ…実は企業年金のある会社員や公務員に認められている月1万2000円より大きいんですよ
ただしここで注意すべきは年収です。
専業主婦(夫)の中には、
①まったく働いていない(収入0)の方
②パートやアルバイトをしている方
がいらっしゃるかと思います。
②の方は、年収130万円が一つの目安ですが、収入が増えて課税所得に達すると社会保険の適用対象者となります。その場合、国民年金保険料または勤め先で厚生年金のいずれかを納めることになります。「第3号被保険者」からは外れてしまうため、iDeCoの掛金上限は月1万2000円に変更となるのでご注意ください。
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Q:専業主婦(夫)がiDeCoをしても節税メリットはないの?
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たしかに、専業主婦(夫)の場合は拠出段階での節税メリットはありません。しかしiDeCoの出口では、専業主婦(夫)であっても退職所得控除(一時金で受け取り)や公的年金等控除(年金で受け取り)が使えます
退職所得控除の枠は、iDeCoの掛金の拠出期間1年ごとに40万円です。そしてその非課税枠は、iDeCoの拠出期間または会社の勤続年数が20年超となると、1年あたり70万円にアップします。専業主婦の拠出上限額は年27.6万円(月2.3万円×12カ月)ですから、積み立てた掛金をそのまま受け取る場合には、退職所得控除の枠内に収まりますね。
さらにiDeCoの受け取り時に課税対象となるのは退職所得控除の超過分のみ&税金がかかるのはその超過分の半分ですし、40万円以上に増やせなかった年度の分の非課税枠は他の年度に積み立てた分に対して適用することもできます。
「拠出20年分の552万円の元本で、非課税枠が800万円」のように考えてみれば、たとえ拠出中の節税メリットがなかったとしても、出口のメリットをみただけでもお得に運用&老後資金準備ができる仕組みなのです
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Q:みんな家計から掛金を出しているの?
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これは私の考え方ですが…専業主婦(夫)だってそれは労働です。
たしかに専業主婦(夫)が行うiDeCoでは、掛金の実質的負担は世帯主の所得からということになるでしょう。世帯主に掛金を負担してもらいつつ、専業主婦(夫)である自分の名義で資産を積み上げていく状態ですね。そのことを少し後ろめたく感じられるお気持ちはわかります。
でも扶養者分も最終的な出口で非課税枠を活用できるということは、世帯として非課税枠を拡張できているというわけです。それは専業主婦(夫)であるあなたへ、家庭内での頑張りに対し「お疲れさま!」という意味での退職金控除ともいえるのではないのでしょうか
さらにちょっとネガティブな話ですが…退職金は離婚時において財産分与対象としにくい(受け取り額が確定していないため)財産です。そんな不確定な財産の分配でもめるくらいであれば、予め夫婦それぞれに退職金準備としてiDeCoを持つことはリスクヘッジとしても役立つのではないかと思います
もちろんiDeCoは60歳までの資金ロックがありますので、ご状況によっては不向きのご家庭もあります。でも「私は関係ないや~」のままでは意外とモッタイナイことをしているかも
ぜひ一度家計の収支を見直してみて、できそうかどうかご検討くださいね