みなさんこんばんは🌇自粛期間中から半年ほど続いていたブルックナー・ブームがここにきて途絶えようとしていますが、10月21日ついにタワーレコードからヨッフム1回目の交響曲全集の完結とされる交響曲第7〜9番他がSACDハイブリッド盤で蘇ります。本日はそんなヨッフムの晩年に録音されたブルックナーの交響曲第8番を取り上げます。晩年に録音されたブルックナーはあまり評価が良くないとされていますが、本当にそうなのか?NHKホールにてバンベルク交響楽団とライヴ録音されたものをみていきたいと思います。
「オイゲン・ヨッフム指揮/バンベルク交響楽団」
ブルックナー作曲:
交響曲第8番
ヨッフムによるライヴ録音のブルックナーは以前より取り上げていたが、バンベルク響との交響曲第8番はまだ取り上げていなかった。NHKホールにて演奏された今回の演奏はヨッフム晩年時のものである。ヨッフム晩年の録音はあまり評価されていないのだが、聴かず嫌いも良くないということと本当にそうなのかという点を調べるためにも購入し、試聴しているのだが正直言って聴いた時の衝撃は非常に大きいものだった。
ヨッフムの1回目、2回目それぞれの交響曲全集にはたしかに見劣りしてしまうのだが、音質も演奏面も素晴らしい仕上がりだった。
まず第1楽章、冒頭からその空間に引きずり込まれる。今回のCDはライヴ録音ということなのだろうかダイナミクスの幅は広そうに聴こえるものの、ミックスの問題か頂点が抜けて聴こえるためその点だけ少々気になる。しかし演奏上は高水準の仕上がりをみせている。ブルックナーを数多くのオーケストラとともに演奏してきたヨッフムだからこそなしえた技が多く見受けられる。続く第2楽章、スケルツォ楽章であるこの楽章、非常にシンプルな構成のため理解しやすいし聴きやすい。多くの人々がブルックナーを聴くとしつこい印象を受けるようだが、今回の演奏はそういったしつこいと思われる箇所は感じられなかった。オーケストラのバランスも良く強弱もはっきりとしている。何よりブレがない。ブルックナーの交響曲は大抵ライヴ録音が名盤にあがることが多いのだが、その理由がよくわかる楽章だった。第3楽章、この曲屈指の美しさを誇る楽章。聴いているだけで天に召されるようなもので、広大な美を奏でる弦楽器と歌う木管楽器。この組み合わせにかなうものなどいないだろうとバンベルク響の演奏を聴いて思わされる。第4楽章、冒頭は有名なファンファーレから始まり長かったこの曲の終楽章が始まる。いつ聴いてもこのファンファーレはカッコいい。バンベルク響の重厚的なサウンドかつブレのない演奏でさらに素晴らしい曲になっている。
ヨッフムのブルックナーはブルックナーを知る上では必ず聴く必要がある演奏。近々タワレコ限定で1回目の全集最後を彩る7〜9番までの演奏がSACDハイブリッド盤として戻ってくる。これはもちろん購入して損はないだろうし、今回の演奏や晩年最後の来日での交響曲第7番も購入して損はないはずだ。ヨッフム晩年のブルックナーは評価があまり良くないが、ブルックナーを極めた人物だからこそ表現できる音を堪能できるので気になる方はぜひ購入していただきたい。