忘れもしない10月3日。

父親の勤め先から一通のファックスが届いた。

「至急連絡されたし」

それを見ただけでなんとなく嫌な予感。

ていうか本人から連絡してこられず、家族に至急の要件なんてほとんど選択肢がない。

「倒れた」か「死んだ」か。

人間、ファックス1枚でこれだけの恐怖を与えられるものなんだなと心の片隅で感心しつつtelすると、案の定「脳梗塞」だった。

しかし救急搬送された病院に駆けつけると、本人は意外と元気。車椅子には載っていたが、普通に喋れるし応対もしっかりしている。

初期対応が良かったらしい。

だが脳のMRI画像にはクルミ大の梗塞が。医師曰く現状身体に大きな影響は出ていないが、場所が悪く、かつ頸動脈に大きな血栓がある為、危険な状態である事に変わりないらしく、即入院。


この判断は間違っていなかったと思っているし、実際に間違っていない。


四肢が麻痺する前に医者にかかることができれば、脳梗塞はそんなに怖くない。投薬治療と、必要ならばカテーテル手術で問題なく完治する病気だと思っていたし、実際ほとんどの脳梗塞罹患者は早期発見した場合、罹患前と同じくらいに回復して元通りの日常生活を送っている。

現代医学は発達している。手術の成功率も高い。


運が悪かったとも不平等とも思わない。


うちの父親もそうなるだろう、と根拠もなくそう思っていた。自分たちの場合も「ほとんど」の部類に入るだろう、と無意識に決めつけていた。

けど、そんなことはないんだ。

可能性のあることは誰の身にも平等に訪れる。

そして可能性があるということは、いつかは必ず起きるということ。


それがたまたまうちの父親だったというだけだ。