日に日に父の体力がなくなっていくのを感じる…
考え込んでるような表情をしていることも多いし、
日中寝ていることが多くなってきた。
夜眠れているか聞いたら、おう、と返事をした。


今日は婿殿が帰る日。
午前中は娘と親子で散歩へ行った後、
父も外に出ていたので私たち家族と父の4人で散歩した。
堀に亀がいるからと探しに行った父を追いかけたのだ。
孫に見せてあげようと思ったのか、
きついだろうに歩いていった。

ゆっくり話しながら歩いて、
写真も撮ったりしていい時間を過ごした。

昼間にウロウロしている父を見て、
近所の人たちは何か思わないかと思ったけど、
まぁ、そのうちわかることだからいいか。


散歩から帰ると、婿殿が出発する時間だ。
「大変だろうけど、頑張ってください」と言うと、
『はい。どうもありがとうございました。
もうまな板の上の鯉です』と笑って答えていた。
とても頼りになった婿殿。
病院選びだけでも大変だった。
でも居てくれたおかげで安全な治療を受けられそうだ。
感謝しても仕切れない。
婿殿は「自分にとっても家族なんだから」と言ってくれて
ほんとに嬉しかった。
結婚してほんとによかったと思った。


婿殿が帰ったあとは父も家族、親戚も寂しい気持ちになった。
どれだけ心が支えられていたんだろうか。
でも、しばらくは私たちで頑張っていかなければならない。
負けないぞ!!

しばらくして、婿殿から電話が来た。
大学病院の偉い先生が話し合ってくれたようで、
どういう治療法がいいのかというのを聞いた。
それは、人工肛門が必要になるかもしれないという話しだった。
ガンセンターの医師はどういう方法を選ぶのかはわからないが参考になる。
父に話したら「人工肛門をつけるぐらいなら死んだ方がマシ」だって。
そうだよね。
最初は受け入れられないのは予想通り。
誰だって不安になる。
でも、生きていくうえでそれが最善の処置であるなら仕方ない。
父を不安にさせたかもしれないけど、
方法のひとつとして知っておいてもらうのもいいのではないかと思った。


癌になったというと、どうにかして治したいという気持ちが強くなる。
厳しいと言われても、なんとかならにものか、
何かいい方法はないものだろうかと考えるし、
方法があればすがりたくなる。
その方法のひとつに自然療法がある。
私がマクロビオティックを少し学んだので、先生に相談してみた。
翌日に返事をいただいたが、本腰を入れてやらないと治らないので、
それぐらいの気持ちが必要なこと、
本人のやる気が一番大事であることが重要だそうだ。
文章では伝えきれないので、直接学びにきてもらうことがいいと。
そうだよね。
中途半端じゃ意味ないだろうし・・・
でもやれることはやりたい。
とりあえず、入院中はできないだろうから、
今度自宅に戻った時にお手当ての本を持ってきて、
びわの葉とかも手に入れられないか探して、
できることをやろう。


日ごとに倦怠感が増していき、
いまはまだ、ただ家に居るだけの状態。
本人も家族もとりあえず入院したほうが気持ちが楽になる。
父は早く切ってもらいたい、そのほうがスッキリすると言っている。
今朝は、伯母に「もう長くないだろう」と言ったそう。
何もしない日はいろいろ考えて不安が増すばかりだ。
いまはただ、4日を無事に迎えていい治療を提供してもらえるのを
待つだけだ。
病気が発覚してまだ1週間。
長い・・・長かった・・・


1週間経って、今日私は初めて涙を流さなかった。
出るのをぐっと我慢した。