ハン・ゴンジュ ~17歳の涙 <한공주> | 韓国映画ひくほどLOVE ~時々ぴょんて

<ヒューマン・クライム>

    監督:イ・スジン

    出演:チョン・ウヒ、チョン・インソン

 

 

切なくて。重くて。救いがないんだよね。

 

まぁ、元担任とその母親が唯一の救いと言えばそうなんだけど。親身になってどう、と言うより、元担任として責任を取って世話をしている、的なね。

母親の方も単に、自分は自分の道をいく、ってタイプの人だし。

勿論、いないよりマシだけど。

 

親父なんてクソだし。うちの親父と重なるわ。

私は中学くらいから精神面で完全に親を捨ててたし。信用もしてなかったけど。

彼女はやっぱり親を求めていて。それが悲しい。無条件に信用してしまうからね。それが彼女を窮地に追い込む事になるんだから。

仕方ないよ。十代だし、あんな恐ろしい目にあった後だし。親ぐらいしか頼れそうな人間は見当たらないんだもん。

なのに。親なんて全く頼りにならないと分かってしまう辛さ。。。私も経験済み。ゴンジュちゃん。その気持ちだけは良く分かる。

 

そして。。。加害者の親達。

鬼畜の親だからさ。鬼畜か!お前らも。。。と言いたいとこだけど。実は案外普通の親だったりするのが怖いところ。

 

友人の息子君が彼女ちゃんと揉めた事があって。客観的に見ると双方が悪い。。。特にどちらかと言えば息子君の方が悪い。

私は友人の話=たぶん息子君側に大分偏った話、を聞いてもそうなんだから、彼女ちゃん側の主張を聞いたらまた話は変わるでしょ。ヘタしたら、全面的に息子君が悪い可能性だってある。

でも。

友人は彼女ちゃんを責めるのよ。グチって言うより、どんだけ彼女がイケナイ子かを私に訴える訳よ。息子君を正当化する為にね。

その友達って、特別にクレーマー気質とか、おかしな子とか、そんなんじゃないからね。基本的に聡明で明るい人間ですよ。

そういう人でもさ、自分の息子の事となると何だか変な感じになっちゃう。

 

私は子供がいないので、倫理に反しようが人間性を捨てようが子供を守るって言う気持ちは分からないけれど。

例えばパニック映画で、主人公が仲間の命を守る為にどんどん周りを殺したりするでしょ?アクション映画では、関係の無い人間が本筋の裏でガンガン死んでたりさ。

 

そんな時、映画を観てる私達は既に主人公に感情移入をしているから、周りで死んでいく人間をたいして気にも留めてないんだよね。

平気で、最終的に生き残った主人公や仲間の姿に感動しちゃう。

そんな心理にも似ている気がするわ。

 

生きていると、知らず知らずに誰かを傷つけてしまう。

自分や家族や仲間を守る為に、知っていて傷つける場合もある。

自分には正義で。正当であったとしても。相手からすれば悪魔的行動であったり。

逆もまた真なり。

 

不条理で、悲しくて切なくて。心の持っていきようが見つからない重い題材。

でも実は、この映画の中で周りに渦巻く偽善や傍観という悪しき空気が、私達の生活の中でいつもそこに存在する日常である事に気付いた時。。。もっと切なくなって。涙が出た。

 

今日はちょっと、いつもとは違うトーンで語ってしまったけど。

それこそが多分、この映画の意味するところ。なんだと思うよ。