妻は、政経ネタの話題になると、あれこれ言わずにバッサリ切って捨てるのが得意だった。なんか、TVに出てくる専門家の話をだまって聞いていて、終わってから、頭悪いんじゃない?かくかくしかじかなんだから、こうでしょ。議論の余地無いんだけど。みたいな。
なるほど~、確かにね。と感心する半面、こういうストレートでシンプルな発想は暴走すると怖いなー、なんて思うこともあった。トランプさんの強弁のような、でも、もっとロジカルで。
今日TVを見てたら、牛肉の値段が上がるとか? チラ見で理由はちゃんと把握してないけど、たぶんコロナがどうのこうのなんだろうな。それで、○○総合研究所だかなんだか、よくあるシンクタンクの専門家がコメントしていて、曰く、日本は食肉を海外に頼りすぎてきた、もっと国内産を伸ばす努力をすべきだ、とか。
農水省のサイトになんだかんだ書いてあるけど、掲載されているPDFのレポートに詳しく書いてあるので、見てみたら、こんな記述がある。
食料自給率については、畜産物において、飼料自給率を反映して計算しています・・・(中略)・・・国産畜産物の生産量で計算された食料自 給率よりも低く算出されています。・・・(中略)・・・(畜産業者の出荷が見えずらい)ため、平成29年度の食料自給率の公表から、飼料自給率を反映しない数値も参考値として示しています
もともと農水省の計算方式だと、H30年の畜産物の自給率は、15%。国内業者に気を使ったという数字が、62%。
違い過ぎる。
農水省は結構真面目に計算してるのに、国内の生産者、つまり政治家がうるさいから、62%っていう数字も出したわけか。でも、意地があるらしく、それは参考値だ、と言っている。めずらしいね、役所でちゃんと足元を見て物を言おうとしてるなんて。っていうか、そうじゃないと困る。
○○総研の人の言う、伸ばすべき自給率って、後者だね。どう考えても。牛肉を輸入しないで国内生産を増やせばいい、としか言ってないから。
農水省が問題にしているのは、牛のエサ、は輸入に頼っている、というところで。それを差っ引くので、15%になっている。つまり、日本はもう自給云々を議論できるレベルになくて、本当の国産牛は、希少な高級品でしかないというわけ。
こんなことを農水省のサイトからPDFをダウンロードして眺めて、ふーん、とかいうのは仕事で取引先と会話する時のウンチクというかネタになるからなんだけど、我ながら、バカみたいだな、と思ってしまった。だって、妻は、そんなもの調べなくても、本質的な話で論破してたもの。
日本は、エネルギー資源が無いんだから、食料自給なんて無理に決まってるでしょ。だって、ビニールハウスのビニールって、それに、暖房も石油でしょ?肥料は?運んでくるトラックの燃料も石油でしょ?冷蔵庫の電気は? だからあ、江戸時代に戻らない限り、食料の自給率っていう議論に意味なんか無いんだけど?それより他の国と仲良くやってうまく分業しないといけないんじゃないのかなあ。
とか。。
なんか、昨日の夜、ニュースで東京の感染者が100人超えてどうのっていうので、今日はちゃんとニュース見てみるかとか思ってたんだけど。結局TVを上の空で聞きながら仕事してた。食料自給率、のセリフが聞こえて、はたと手を止めたんだけど。。
妻のセリフが思い出されて、なんだかなー、な夜になってしまいました。