以前、父が市役所に爆弾を仕掛けるぞと電話して、警察から連絡があったことを書いた。たぶんその頃が最も凶暴性を発揮してた時期だと思う。
父はもともとクソまじめなところがあって、怒ったときは、田舎の粗暴な言葉で怒鳴られた。もちろん、田舎育ちの私には粗暴とは思わなかったけど。実際、子供の頃には怒鳴られたとしても、物理的な暴力を振るわれたことは無い。
外面はとっても紳士な人で、他人には、かなり腰の低い人に見えていたと思う。怒るのは家族に対してだけだった。父はスポーツマンだったので腕っぷしは強い筈、物理的な喧嘩なんかしたら大変なことになったと思う。
私には弟がいて、大人になってから、弟が帰省した時に父と大声て喧嘩したことがあるのを母から聞かされたことがある。弟は私と違ってスポーツマンで、サッカーで県の選抜チームメンバーとして声がかかったほどだった。そんな面倒臭そうなのはヤダって断るところは母と似てたけど。だから、殴り合いにでもなったら大変。まあ、そういうことはなかったようだけど。
もともと父のそうしたクソ真面目で時に怒鳴ったりするような気質が影響したのか。いや、認知症に共通しているんだよ、と医者は言って、凶暴性を抑える薬というのを処方してくれた。薬の名前は忘れたけど、医者は、そのうち治ったら止めるから、とも言ってたので、進行に伴って通る一般的な状態、なのかな。
まあ、それにしても、実力行使を伴わないところは父らしく、役所に電話して屁理屈攻撃した挙句、激昂して爆弾を仕掛けるぞ、なんてのは、認知症のなせる業か。
別に警察沙汰にしなくてもいいのにな、なんて思いつつ、私も警察に、偽計業務妨害で父を逮捕拘束してくださいよ、と言ったわけで。あいつら〜、って思われたな。
とにかく、薬は効いた。でも、なんか違和感を感じた。服薬は、包括支援課の方とかケアマネさん、ヘルパーさんが皆んなでチェックし、促してくれてたので、有り難かったけど。
帰郷して話をしていると、話題によっては、時々表情が怒ったような顔になりかかっているのに、言葉だけは落ち着いた文章が普通に出てくる、という、気味の悪い思いをしたことが何度かあった。
薬で凶暴性を抑えられる、というのはありがたかったけど。本来の、頭?心?の芯のところでは怒りたいのに、意識の表面が落ち着いているので結果的に出てこない。そんなふうに見えた。
これって正しいやり方なのかな、と、ちょっとだけ思ってしまった。。