今、私は障害児の施設で働いている。


今までは重い病気を抱えている子もいたが

ほとんどが健常児と関わってきた。


私がやりたかった看護がここにあるような気がしている。


今私が関わっている子どもたちは


様々な事情を抱えながら


小さなころから両親と離れ

病院で生活し学校に通っている。


でも

彼らは本当に純粋で


嬉しいことには思いっきり笑い

嫌なことには思いっきり泣いて訴える。


話せる子は本当に些細なことに喜びを見つけ

報告してくれる。


働き始めて3週間。

名前を覚えてくれて、

朝行くと「待ってたよ!」「明日も来る?」と言ってくれる。



彼らはこれまでいくつもの大きな手術を受けたり

生命の危機をへてここにいる。


それがどんなにすごいことなのか。



私は自分も含め健常児が

お父さんお母さんの元で


普通に幼稚園(保育園)、小学校、中学校、高校に通い

大人になっていくよりも


ずっとずっと障害を抱え生まれてきて

必死に生きている障害児のほうが強いと思う。


誰しも1人では生きていけない。


障害児だから人の手を借りなきゃ生きていけない…

のではなく

普通に生きていたって

人の手は借りているのだから

同じこと。


だけど

そんな彼らに社会はあまりにも冷たく偏見も消えない。


自分に今何ができるのか。。。


今は自分の方がいっぱい考えさせられ

学ばせてもらうことの方が多いような気がする。


今在学中の彼らは卒業し

どんな大人になっていくのだろう。


私はその過程をどうお手伝いすることができるのだろう。


9月末までの契約の今の職場

それまでに何か自分の人生を変えるような

答えが得られるよう


真正面で彼らと関わって行きたいと思う。




どんなに辛くても季節は過ぎていく。

春にどん底だった修吾も夏を経て秋…



すこし前を向いた。

まだ今後どうするかも決めてなかったし

生活は相変わらずだったが


修吾も外に出てみようという気持ちになってきた。


美歩は3ヶ月の看護実習に入ろうとしていた。


忙しくなるこの機会に…修吾はバイトに出ることにした。



まだ沢山の人に会う気持ちにはなれなかった修吾は

派遣会社に登録し、農家のライン作業を希望した。

知らない人にアレコレと聞かれるのが怖かった。


しかし若い男性なので、

希望どおりにはならず、かなりの力仕事を回された。



砂糖袋や米袋の移動、


新しくオープンするホームセンターの店舗設営、


引っ越し、


トラック助手としての荷物の上げ下ろし、


かぼちゃの種とり


…いろんな境遇の人と出会った。



安い賃金で朝早くから夜遅くまで必死の力仕事。


みんな生活するために必死で働いている。



そんな人たちは修吾を

「かわいそう」とか「大変だね」という人はいなく


むしろ「未来のお医者様かぁ」と尊敬してくれたらしい。


その業界の方たちには医療業界のことはわからないので

他業種の人とこういうお仕事をしたのは

修吾にとっては本当にいい経験になったと思う。


美歩は修吾にいつも

「この経験は絶対に将来いい経験になると思うよ。」

と励まし


がんばってる修吾の姿を励みに美歩自身も実習を頑張った。



そうして数カ月が過ぎ



修吾は派遣の契約が終了し



美歩は実習が終了した。


いよいよ修吾の今後を話し合う時が来たようだった。

当時、看護学科3年生だった美歩も…また苦しんでいた。


当然修吾のことでも悩んでいた。

どうすれば彼を立ち直らせることができるのか。



21歳になったばかりの美歩には本当に重い重い課題で


髪の毛の左側にたくさんの白髪が生えた。


もう実家に帰ってもらって

私の負担を減らしてほしいとか

別れちゃおうか…と思わないわけではなかった。




でも修吾が自分を必要としていることはわかったし、


自分がいなくなることで、


修吾がどうなってしまうんだろうという不安もあった。




もちろん美歩も修吾を愛していたし必要としていた。


カンナのこともあり


修吾と結婚しなければという気持ちも強かった。





でもカンナのことを思い出してしまうのが辛くて


産科系の授業には一切出席できなかった。


(テストはちゃんと合格したので単位取れました)




道端を歩く妊婦さんも、


小さい子供をつれた人も憎くて憎くてしょうがなかった。




自分の背中の十字架が重くて重くて




でも、修吾と結婚してもう一度妊娠して、




今度こそ生まれてきてくれると信じ、

幸せに育てるんだ。


その気持ちだけが美歩を支えていた。





また、この頃飼っていた猫が


5匹の子猫を産んだ。


子猫たちの子育てをすることでいろいろなつらい思いも癒された。

修吾も子猫たちを見る目だけは本当に幸せそうだった。


今も我が家の家族のこの子たちは救世主だ。

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