風水は有効かと問われれば、答えは”Yes”です。ただし前提条件はありますが..。
近年は風水ブームです。大手住宅メーカーでさえ風水をテーマとしたメニューを用意しています。
この風水と家相を絡ませる(本来風水と家相は別ものです)ことで、いろんなグッズを装飾したり
鬼門・裏鬼門などに工夫を施すことが多くなりました。また、テレビではスピリチュアルなタレン
トさんたちがある程度の市民権を得ている昨今、人々の注目を浴び続けている花形世界です。
私たちは、この風水の持つ力を決して否定しません。現代科学によって明らかとなった法則を
科学のなかった時代に長い時を経て見つけ精査し、実践することで効力を発揮してきたことは
紛れもない事実だからです。
しかしながら、風水がもたらす効力はあくまで補助的な要素であり、それだけで健全なる家庭が
出来上がるというものではありません。
企業ビル同士がこぞって風水の理を駆使し、競合相手を打ち負かし、我が利を優先しようと、
より攻撃的な目的に利用している現実を見るにつけ、風水が本来持つ自然の理とは程遠い人間同士
の醜いエゴイズムが渦巻いていることは残念でなりません。まるで風水を武器扱いしているかのようです。
また、神社仏閣に行けば己の幸せを願うために「宝くじが当たりますように」「あの人と別れさせ
てください」などと祈ることに、微塵の罪悪感さえ感じなくなっている現代社会は、風水でも占いでも、
たとえどんな理を使おうとも真の幸せはやってこないのです。
貧しくても裕福でも、そこに健全なる”人”がいなければ空虚な行いに過ぎないということです。
これが、私が訴える風水の前提条件であり絶対条件でもあります。
ところで、”QC活動(Quality Control )”をご存知でしょうか。
QC活動とは、それぞれの職場において、品質を適正に管理する活動のことです。
仕事の効率化、平準化等を現状把握することから具体的対策を練り上げていく極めて理知的な
活動です。このQC活動がもたらす効果は、職員の能力や創造性の発揮、仕事に対する充実感の
高揚などとともに、明るい職場づくりや業務能率の向上などが望めるとされています。
このQC活動と似通った手法は、生活の中でいくつもあります。
たとえば、高いところにある鍋を背伸びして取っていたのをシンク下に収納する。狭いスペース
でドアの開閉の際、頭をぶつけたりしていたところを、引き戸に変えるなど、数えばキリがない
ほどあります。
風水はこうした知恵が長年に渡り集積し洗練されてきた術です。QCも風水も時代の違いは
あれど、人が利便性や幸福を考える方法という意味においては似通った面があります。
QCも風水も、人が編み出した手法。しかし、肝心の”人”はどうでしょうか。
人がすべての基点に位置しながら、人の意義に注視せず物事は進みません。
風水は、自然のエネルギーを活かした環境づくりそのものです。
”黄色い財布を持てば金回りがよくなる”といったことは、まずあり得ないとお考えください。
風水でもっとも重要なことは、掃除が行き届いた家であるということ。そこには、人が
人として存在すべく弛まぬ努力が、大前提に必要なのだということ。
その努力は誰にでも実現できる意外と簡単なものなのです。
たとえば
”玄関の靴を揃える”
”庭先の手入れを怠らない”
”水周りを掃除する”
”挨拶を励行する”など、
どうせ家を建てるなら、家族みんなで真の幸せを掴みたいものですね。
素晴らしい家は、素晴らしい人を育て、そして自然の一部として世に貢献し続ける。
やはり人と家はワンセットなのです。