長友ミラン狩り観戦ザック絶賛／セリエＡ

＜セリエＡ：チェゼーナ２－０ＡＣミラン＞◇１１日◇チェゼーナ

　【チェゼーナ（イタリア）＝波平千種通信員】チェゼーナの日本代表ＤＦ長友佑都（２４）が強豪ＡＣミラン戦に左サイドバックでフル出場し、大金星獲得に貢献した。セリエＡでは、９４年９月にジェノアＦＷカズ（現横浜ＦＣ）が初対戦して１７年目で、日本人選手のミラン戦初白星。視察に訪れた日本代表のザッケローニ監督からも絶賛され、あらためて存在を印象づけた。

　後半６分、パトの高速ドリブル突破に長友が立ちはだかった。ボールを長めに前に出して抜け出そうとした相手を見透かすように急反転し、相手とボールの間に体を入れた。いら立ったパトに肩で突き倒されたが、しっかりとファウルを奪い、ピンチの芽を摘んだ。

　試合前に監督から、試合中にも仲間から何度も「パトを見てくれ」と声をかけられた。１４年Ｗ杯のブラジル代表エース候補筆頭の武器はプレーのスピード。セリエＡの並み居るＤＦたちが振り切られる高速ドリブルとパスを、長友は素早く体を寄せ、パスコースに体を入れて完封した。１２日付の伊各紙も「最も難しい課題を与えられたが、パトに思い通りのプレーをさせないようにしていた」（コリエレ・デロ・スポルト）、「パトは一流選手の違いを出せなかった。むしろ、たびたび劣っていた」（ガゼッタ・デロ・スポルト）と長友の力を認めた。

　大金星に長友は興奮状態。「勝っちゃったよ。あのメンツに勝つなんてヤバイよね」とまくし立てた。パト対策には「今日は上がるのも控えめにした。パトは世界レベルの速さを持っている。ああいう選手と一緒にやれて一瞬一瞬がボクにとって価値のあるいい経験につながっていくんで、成長できると確信している」と大きな自信を手にした。

　セリエＡの洗礼も受けた。後半４０分、ペナルティーエリア内でＦＷインザギとボールを競り合った。体を寄せて肩を手でつかんだ瞬間、相手の体が力なく倒れた。判定はＰＫ。ＦＷイブラヒモビッチが外し、失点にはならなかったが、長友には課題として残った。「まあ、インザキもうまかった。しっかり反省して、運も味方につけて」と振り返り、経験を心に刻んだ。

　観戦した日本代表のザッケローニ監督は「長友のプレーは好きだ。よくやっていた」と絶賛した。それでも長友は「勝ったことはアピールになったと思うけど、ボクにはやるべきことがたくさんある。自分を見つめ直して成長したい」と話した。ドルトムントＭＦ香川がゴールを決めたことを聞くと「ホント？　すごい。アイツには負けてらんない」とライバル心を見せた。

　１２日に２４歳になった。「日本時間ではもう誕生日が来てるんで。最高の勝利で、これまで支えてくれた人に恩返しができたかな」。世界最高レベルのミランからの勝利が、自分自身と周囲への最高のプレゼントになった。

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