(毎度上書き更新予定。)只今  57首目

◯12/24 右に兄 左に弟 あやす冬

22時半、生後1ヶ月の次男が泣き始めた。1歳3ヶ月の長男は目が冴えて絶好調。次の日仕事の夫に気を遣いつつ、隣の部屋で2人の小さき宇宙人を見ている。次男はミルクを飲むと2時間くらいはげっぷや嘔吐と戦っている。出さないとミルクを吐いてしまうので、なかなか放ってはおけない。目をかっぴらき、口はへの字、鼻の穴を膨らませて嘔吐が間もない様子なので、こちらも今か今かと待ち構えている。究極の構ってちゃんな長男は、常に私の片腕を所望し、今ではなんとなく右手は長男、左手は次男専用となってしまっている。こんなに夜遅いので本当は長男を寝かしつけないといけないのだが、げっぷと嘔吐対応のため体育座りした太ももに次男を乗せてゆらゆらしているので無理である。両手は空いているが、長男は部屋を這いずり回っているので無理である。もう早い段階で、完璧(あるべき)育児は諦めている。眠たくなったら眠ればいいのである、今は。そう思って育児をする方が気が楽であるし、まだ小さき子たちにガミガミせずに笑顔でいられる。生活リズムはぼちぼち整えていけばいい。23時、今やっと次男が寝てくれたので、眠くて目をこする長男を膝に乗せることができた。しめしめ寝そうだと思ったら、次男が起きた。ちょっと早くないかね。今、長男がいいところなので、もうちょっと寝ててくださいよ。あー、次男ちゃんがぐずり始めた!……げっぷですか!!?長男は短時間で充電完了。さあ、今夜も長くなりそうだ。


◯11/9 無痛なんて存在しないと思う秋


無痛分娩というと、世間では痛みを伴わない楽な分娩と思われているように思う。私も実際そう思っていた。1人目は自然分娩の、記憶も消し飛ぶくらいの、(矛盾するが)トラウマになるくらいの壮絶な痛みを経験した。正直、なぜ女性だけが味わわなければならなのか、できることなら死ぬまで経験したくない本当に割りに合わない痛みだと感じた。2人目は絶対に無痛分娩で産もうと決めて、今回出産に臨んだ。出産を終えて感じたことは、誰が無痛分娩という名を広めたんだと憤りを感じるくらい無痛では無かったこと。百歩譲って和痛だろう。それでも今回、無痛分娩を選んで良かったと思えるのは、自然分娩を経験して、その壮絶な痛みと比較できるからマシに思えたのだ。最初から無痛分娩だと、「え、聞いてない聞いてない聞いてない」と思わず冷汗流して叫びたくなるような痛みに思ってしまうだろう。私の場合、子宮口が8㎝開くまで自力で陣痛を我慢しなければならなかった。痛みを例えると、柔道で畳をタップして冷汗流して降参せざるを得ないような痛みが続くのだ。柔道ではトントントンと叩けば痛みから解放されるが、分娩では3-5分おきに数十秒間もその痛みと闘わなければならないのだ。ベッドのタップでは足らず、声を上げなければならなくなるまで我慢し、そこから麻酔が入る。ベッドを叩かなくて良くなる程度に痛みが緩和されるが、それも束の間、お産は進み、胎児が下りてくる膣とおしりの壮絶な痛みに麻酔が追いつかず、またどうしようもない痛みが訪れる。もうダメだ……、と思う最後の最後で麻酔が入れられて、最後の分娩だけは救われたのである。無痛分娩は、最後だけよかった。無事に産まれて涙が出た。看護師や医者に感謝、感謝である。無痛分娩の感想を求められ、「麻酔が効かないときはどうなることかと思いましたけど、これなら3人目も産んでもいいかなと思えました」と言ったら、医者から「次は女の子だね」とにっこり言われた。第2子の分娩記録でした。



◯11/5 さつまいも1コじゃ足らんと息子泣く

食欲旺盛で食意地が張っているところがママ似の1歳1ヶ月の息子である。今までほぼ毎日、息子をベビーカーに乗せて支援施設に通っていた。往復1時間ほど歩くので良い運動になるし、息子は遊べるし、ママさんたちとも話せるし充実した毎日を送っていた。そんな中、35週目の妊婦健診で子宮口が開きかけていると診断され、最低あと2週間はもたせないといけないことから、息子と私は10月末から実家にお世話になることになった。家で息子と2人きりだと1日ママにべったりだが、実家だと祖父母や曽祖母が相手をしてくれて、息子の意識が適度に分散されるので本当にありがたい。夫にご飯を作れなくなるのが家を離れる唯一の気がかりだったが、仕事帰りに実家に寄ってくれてご飯を一緒に食べたり、週末は泊まって息子をお風呂に入れてくれたりうまいこと生活のリズムができてきている。今週末に37週目の妊婦健診がある。どれくらい大きくなっているか楽しみである。実家の近くに住もうと思って今の家に決めたわけではないが、結果として実家にかなり助けられており、息子にとっても良い刺激になっているし、息子がかすがいとなって今では実家とかなり良い関係を築くことができているし、今になって良かったなとつくづく思うのである。息子には感謝感謝である。


◯10/17木 1歳で 連夜夜泣きの 秋の夜

1歳で夜泣きが始まった。20時半に寝かしつけが成功した日でも、0時までに約4回ふぇ〜んとグズリ、0時から1時にかけて突然ギャーと、タイがピチピチと跳ねる様に全身を波打たせながらギャン泣きが始まる。昼間は1時間しか昼寝をさせず、支援センターでたっぷり遊ばせて、夕飯はたっぷり与え、お風呂でたっぷり身体を温め、温かい格好で真っ暗にして寝させているにも関わらず。他に何をすれば良いのだろうか。ネット検索では夜泣きの原因はわからず、2、3歳頃まで続くらしい。今は育休中だが、いずれ仕事復帰した時には寝不足になりそうな予感だ。最近夫には別室で寝てもらっているが、夜泣きの声は壁を超えて家中に響きわたっている。子どもが1歳で仕事復帰した友人は毎晩夜泣きに付き合っているのだろうか。本当にすごいと思う。とりあえず水分補給させて、抱き寄せ、子守唄を歌いながらしばらくトントンして寝かそうとしたが、全く寝そうにないので、ちょっと部屋を離れて気持ちを落ち着かせながらブログを打つわたし。ふぅ。おっと、泣き声が止んだぞ。ぼちぼち戻るか。


◯9/22日 梨を食む 息子とうとう 1歳に

息子が1歳になった。大きな病気や事故もなく、いろんな人に見守られ無事に1歳を迎えることができて感謝の気持ちでいっぱいだ。全然生える気配のなかった歯も下2本 上1本生え、一緒に梨や栗を食べられるようになった。昨晩は実家で夫、曽祖母、祖父母に見守られながら一升餅を担いだ。わけもわからず一升餅を包んだ風呂敷が肩にかけられ、お腹が空いて機嫌が悪かった息子の機嫌がさらに悪くなり、夫に抱きつきギャン泣きが止まらなくなってしまった。結局ハイハイだけで、つかまり歩きはできずに儀式終了。これもまた思い出である。今日は夫と息子と妊婦健診に行ってきた。とうとう30週目に入った。次男はお腹の中でよく動き、体重は1500gになっていた。今まで月1だった検診も次回から2週に1度になる。子育てをしながらの妊娠期間は1人目に比べてとても短く感じる。次の検診日もあっという間にきてしまうのだろう。


◯9/14土 些細なことをツッコミたくなる秋

暑さも和らいで正常な思考力が戻ってくる秋。だからこそ、ふと日常のとりとめのない些細なことについて考えてしまい、時には心の中で「なんでやねん」とつっこんでしまうのである。夫は寿司や刺身が好きで回転寿司に行きたがる。行くのは良いのだが、行ったら行ったで最初に必ずカッパ巻きや納豆巻きを頼み、容量の小さい夫の胃はかなりの割合で満たされてしまうのである。安上がりで良いではないかと思われるかもしれない。でも、回転寿司でのカッパや納豆巻きと寿司の値段は同じなのである。私は心の中で、「カッパや納豆は家で食べられるではないか!食べたければいつでも作るのに!寿司をもっと食べればいいのに!」と思ってしまうのである。ポテトや茶碗蒸し、大学芋などサイドメニューで腹を満たす私が言うべきことではないのかもしれないが。サイドメニューは家庭で気軽に作れるものではないし、私は夫ほど寿司好きだと公言してはいない。今夜も夫と息子と回転寿司へ行く。夫が帰宅する前にカッパ巻きと納豆巻きでも作っておこうか。(笑)今夜も息子と仲良くカッパと納豆巻きを幸せそうに頬張るのであろう。


◯9/11水 自我が芽生えた赤子と秋の嵐

台風15号が関東を襲った。私の住む市も1万件停電している。施設にいくと生後1ヶ月満たない子と母親が避難し、助産師が液体ミルクを紙コップで飲ませる方法をレクチャーしていた。連日の猛暑、早く電気が回復してほしいと祈るばかりだ。うちは停電にはならなかったが、11ヶ月の息子の自我の嵐がきている。昼寝をしていた息子が空腹で起き、離乳食をあげようとしたらすごい形相で泣き始めた。怒髪天を突く勢いで髪を逆立て真っ赤になって海老のように身体を波打たせ、ロックンローラーよろしく頭を上下に振り乱し畳に叩きつけている。初めて見る息子の姿になすすべなく、叱るのも違うので少し離れて「11ヶ月 自我」でネットサーフィンして対応のヒントを探した。少し気持ちが落ち着いてきたところで、アプローチを変えてお魚スナックを与えてみたら泣き止み、1袋食べたところで機嫌が良くなったのでそのまま離乳食を与えてみたらペロリと食べてくれた。機嫌が良くなりホッとしている。これから冷静に子どもの自我と向き合っていけるように、頑張ろう。


◯8/20火 汗疹でき 痒い息子と あせるママ

生後11ヶ月、早いものであと1ヶ月で1歳だ。首から肩や胸、顔、背中に広がっていた汗疹も、毎日数分おきに執念深く赤ちゃん用液体ムヒを塗り続けていたのが功を奏し完治し、病院へ行かなくて済んだ。息子が動かないうちは1日1日が長く感じられたこともあったが、好きなところに動き回り目が離せなくなり、感情表現も豊かになると可愛さが増し、1日がグッと短く感じられるようになった。離乳食も毎食、大人の大盛り一杯食べる。床に落ちてしまったご飯粒も1粒ずつ器用に指で拾い口に運ぶ。気づいたら、赤ちゃん煎餅を自分の手から食べられるようになっている。両手を上下させてリズムに乗ったり拍手をしたり、マネした動きも少しずつできるようになってきている。絵本にも興味を示し、読み聞かせればちゃんと聞いている。成長めまぐるしいが、これからどんどん成長するスピードが上がってくるだろう。ママとしてその成長に余裕をもって対応できるように、自分も日々勉強し成長していかねばと思う今日この頃だ。


○7/24水 育児とは関係無いこと悩む夏


そういえば休暇に入ってからほぼ毎日、あまり気持ち良くない内容の夢ばかり見ていた。どれだけ自分がそれに囚われているんだと呆れるくらいに。いつも寝起きは気持ちが沈み、時間が経つとともに内容を忘れて普段の自分を取り戻していた。今朝もまた同じような夢を見たのだが、今日だけはそれに対する気持ちがいつもと違った。どうすれば夢の中で自分が面している状況が良くなるか、アイデアが次から次へと思い浮かび上がってくるのだ。それをひたすら携帯にメモした。そうすると自然と気持ちが前向きになり、不思議とふつふつ勇気が湧いてくるのだ。逃げずに解決しようとしている自分がいる。夢を見始めて約1年、気付かぬうちに自分は変わっていた。今日だけか?いやいや。しばらく様子を見てみようか。



○7/7日 梅雨の朝タオルケットが離せない

7月だというのに梅雨がまだ続いている。そう思うのは、昨年は空梅雨で雨が降った記憶がないからだ。雨の日は肌寒い。特に朝と夜は半袖で過ごすには風邪を引くと思うくらいだ。たまに暑い日もあったので、毛布を片しタオルケットを出したのだが、雨の日は自然とツタンカーメンのように顎から足先まですっぽりと身体を包み込んでしまう。人間に本来備わった防御本能とでもいおうか。生後9ヶ月の息子はこんな日でさえ、気づいたらタオルケットを蹴り飛ばし大の字で寝ている。寒いという意識がないのか。いやいや、大人が気をつけなければまた風邪をひいてしまう。せめてお腹だけは冷やさないように注意しよう。梅雨の朝は暗い。日が出ないので油断したら、いつもより1時間ほど遅く目が覚める。平日は4時、休日でも6時には目覚める夫もまだ目覚めそうにない。ブログを打ちながら、おかげでゆっくり過ごせる休日もいいかもと思えた梅雨の朝だった。


○6/3月 免疫がとうとう無くなる梅雨の夜

一昨日から8ヶ月半になる息子が咳をしだした。最近暑かったり涼しかったりしたので風邪をひいたのかなと軽く考えていたが、なかなか咳が治らず、身体も熱くゼーゼー苦しそうな上にミルクもいつもの半分しか飲めなかったので、夫が病院に連れて行った方がいいと言い出した。熱を計るとなんと38.9度、着の身着のまますぐ車を出して近くの救急へ駆け込んだ。症状は急性気管支炎。すぐに入院しないといけないと言われ、今、成田日赤の小児科病棟で息子に付き添い入院している。昨晩は息子がずっと苦しそうにしていて眠れなかった。半日経った今は熱も37度台に下がりミルクも普段どおり飲めるようになった。8ヶ月になると免疫力が一気に低下すると聞いてはいたが……。これから気をつけねばならないなと思う、男の子をもつ新米ママである。


○5/30木 ぎゃんぎゃんと泣く子にスイカを
                ふくませる

キュウリ、トマト、スイカが美味しい季節になった。これらがあるだけで夏の訪れを実感できる。以前、子には3歳になるまで果物を与えないと決め込んでいたが気づけばそのルールも自然消滅している。不思議なもので、絶対こうしてやるぞと心に決めているルールも時が経つとどうでもよくなっていることがある。そんなので、今自分なりに考えている子育てルールをまとめてみたいと思う。①命の危険と人を傷つける言動以外は基本的に叱らない。※やりたいことを妨げない。②読書と勉強は強制しない。※楽しむ姿を見せる。一緒にやる。③とことん喜怒哀楽を共有する。……あれ、こんなもんか(笑)。子の将来の選択肢を広げてあげたい気持ちが根っこにある。時間が経って見返して、あ〜こんなこと考えていたんだと思う日がきっとくるのだろう。


◯5/28火 俳句より短歌作りに励む夏

俳句に熱を入れてた頃「市政だより」に何度が応募してみたが全く選ばれず、短歌を作り始めて同じく応募してみると毎回掲載されるようになり、選者からもお褒めの言葉や激励のようなコメントがあるとつい良い気になって、今では俳句よりも短歌作りに精を出すようになってしまった。俳句は短歌よりも難しく感じる。季語には気をつかうし、(短歌より)14音少なく推敲を重ねるので時間がかかることを思うと短歌の方が気楽に作れる。それに「市政だより」に掲載されると認められているようで嬉しい。気づけばブログも俳句よりも短歌の方を頻繁に更新している。短歌は好きだが俳句の勉強も頑張りたいので、これからもぼちぼち更新していきたい。


◯4/7日 春風や息子初めて寝返りす

生後6ヶ月半にして息子が初めて寝返りを打った。朝、新聞を読んでいる夫が「あれ、ひっくり返っているよ」と言い、寝ぼけ眼の私は最初「ふ〜ん?」と受け流してしまった。しばらくすると息子がぐずり出し、夫が仰向けにしてあげるとまたコロンと寝返りを打ち、上半身を両腕でしっかり支えてキャーキャー叫び始めた。2回目の寝返りは隣でしっかり見ていた私は、すっかり目が覚め、「寝返り記念日だあ〜!」と半ば興奮気味に叫んでしまった。続けて夫が「今日は大安だよ!」と言ってきた。大安…?だから何だっけ??と心の片隅で思いながら手探りで携帯を探すも見つからず、3回目の寝返りをするかと思っていたらせず、そのままコロンと横になりぐっすり眠ってしまった息子を前にだんだんと冷静になっていく夫と私であった。


○4/4木 祖母が目を細め見るのは花の雲

母と91歳の祖母と6ヶ月の息子と私の3世代で花見に行ってきた。足が悪い祖母を、満開の桜が見られるのは今日が最後だよと説得し、ちょっとした飲み物とお菓子を用意して車で出かけた。家の近くにある川は「花見川」という名がついているだけに、川沿いにずらっと満開の桜と菜の花が咲き乱れている。合間合間に山桜の濃いピンクが良い味を出し、川面にはちらほら花筏も見られる。車中から外を眺める祖母が「桜がきれいだね〜」と目を細めている。祖母が外出したのは何ヶ月ぶりだろう。あと何回祖母と一緒に花見ができるだろうか。ちょっと強引だったが、一緒に花見ができて良かったと思っている。


◯2/6水 咳(しわぶき)に鼻びしびしの息子かな

生後4ヶ月半、風邪をひかないように細心の注意をはらってきたが、とうとう息子が風邪をひいてしまった。熱はないが鼻水ずるずるでゴホンゴホンと咳が出ている。鼻の奥からぐ〜ぐ〜と鈍い音が出ている。赤ちゃんの風邪は初めてのことなのでネットで調べてみると、とにかく部屋の湿度を保ったりこまめに水分補給をしたりすると良いらしい。今できることをやってみて、それでも症状が酷くなるようなら病院へ行こう。一歩外へ出ればインフルエンザが流行っているので、あまり出たくはないのだが……。ミルクは毎回180ml飲み、胃の調子は良いのでひとまず安心。最近、両手をよくしゃぶるので、手の消毒をこまめにする。これ以上ひどくならないように、家でできることを考え実行する新米ママである。


◯1/7月 ややしゃぶるこぶしが光る冬日かな

生後3ヶ月半、動くものを目で追うようになり近藤勇のように豪快にこぶしをしゃぶりあやせばキャッキャと声をあげて笑うようになった。首ももうすぐすわりそうだ。ミルクの時間以外に白湯を飲んでくれていたが、今では泣いて受けつけず、違いがわかる男になってしまった。できることが増え知恵がつくのは成長が感じられ嬉しい。私は4日に実家から帰った後、38度の熱と激しい腹痛下痢に見舞われ今日やっと息子を抱っこできるまで回復することができた。気づけば今日は七草粥の日。胃を休める日があることが有難いのはいつの時代も変わらないのだなあ。


◯12/19水 葛湯飲み温かくしてややを抱く

今日はわりかし暖かい日であるが、陽射しがある外に比べて家の中は寒い。部屋を暖かくしても冷え性である私の手足は保冷剤のように冷たい。身体の中から温かくなりたいと思い葛湯を飲む。とろとろの湯が喉に心地よく流れていく。身体の内側からほかほかしてきた。熱い湯呑みを持ったおかげで手も温かくなった。全身ほかほかした状態で我が子を抱いてみる。まだミルクしか飲めない息子は葛湯を飲んだわけでもないのに温泉に入った後のように顔が上気しホワホワ温かい。息子が風邪をひかないように、まずは親が免疫をつけて体調管理を気をつけねばと思った。


◯12/7金 着膨れの息子と朝市感謝祭

プレバトを見ると俳句を作りたくなる。日曜日に2ヶ月半の息子と夫と3人で朝市感謝祭へ行ってきた。毎年この時期にあり、豚汁と漬物の無料配布されるのでとても楽しみにしているのだ。息子に厚着をさせてベビーカーに乗せ7時に出発する。早く出るのはもちろん豚汁の最前列に並ぶためだ。寒風吹きすさぶ中、熱い豚汁を啜る瞬間は最高である。食べ終わった後は1袋100円の冬野菜をたくさん買って帰る。感謝祭は年に1度だが、朝市は毎週開催される。お財布にも優しく楽しい朝市は節約家の私の心を満たしてくれる。


◯11/16金 小春日や鏡に光るシミ無数

自虐的な句だ。小林製薬のシミ俳句キャンペーンに応募してみた。夏井いつきさんが選者だというので応募してみる気になった。産後は息子に向き合うばかりで自分の顔面と向き合ってこなかったが、いざ鏡でしみじみ眺めてみると、こんなにあったっけと思うくらい両頬に薄くて小さいシミが散らばっている。シミの配置はまるでアニメの赤毛のアンのようだ。ネットで調べると、産後はホルモンバランスが崩れるせいでシミが増えるという。これ以上シミを増やさない努力をしなければと焦る、28最後の秋であった。


◯11/14水 冬ぬくし赤児の寝息に腰浮かす

子どもはミルクを飲んでもすぐには寝ず、寝かしつけが必要だ。息子はミルクを飲んで寝付くまで1時間くらいかかる。寝てから次のミルクまで3時間あるが、眠りが浅いので毎回1〜2時間で目を覚ましてしまう。その度にぐずるので抱っこしてまた寝かしつける。腕の中で完全に寝てからそっと布団に寝かせて、音ひとつ立てないように細心の注意を払いながら腰を浮かせる。息子が寝てる間に仮眠を取ったり家事したり、ひと息ついていそいそとやりたいことをしたりする。こんな生活でもまだ自分の時間がもてているのは幸せなことである。


◯11/6火 紅葉より小さき息子の手の紅し

生後1ヶ月半が経ち、息子はずっと閉じたままだった手をゆっくりと開いたり閉じたりするようになった。開かれた手は信じられないくらい小さく、温かくて、紅葉のようにほんのり赤らんでいる。足も小さくて可愛い。大きさはちょうど私の手の親指くらいだ。ミルク時は両足の親指が立っていて、泣くときは親指だけを器用に痙攣させている。勝手に身体が反応して動いてしまう反射は今しか見られないと思うと、逐一動画で記録を取っておきたくなってしまう。携帯にはどんどん写真や動画が溜まっていく。撮りっぱなしが多いのでそろそろ整理せねばならない。


◯10/29月 我が子より重し 御祝いの新米

先日1ヶ月検診に行ってきた。体重は3308gになり、夫の友人から届いた出産祝いの新米5kgより軽いが、生まれた時より1kgほど増えていたのでホッとした。もう外気浴してもいいし沐浴も卒業していいのだが、夜泣きで昼夜逆転生活になり首もまだ据わってないので、もう少し先でいいかなと思っている。出かけることができないので出産祝いに新米は本当に有り難かった。さっそく炊いてみると、立ち上る湯気と艶があり早く食べてと言わんばかりに粒立つ様に心満たされ、一瞬だけ寝不足だということを忘れさせてくれた。


◯10/18木 白目向く 寝姿パパ似 秋の夜

出産して早くも29日目。ネットで調べてみると産後28日までが新生児で、それ以降は乳児になるらしい。里帰りせず、今日までひたすら息子と向き合い育児奮闘してきた。オムツ替えの最中にオシッコやウンチをかけられ、夜中に原因のわからないギャン泣きが何時間も続くなどいろいろあったが、ふとした瞬間に見せる息子の天使のような微笑みが、大変だと思う気持ちを吹き飛ばしてしまうのだ。白目をむいて寝る姿は夫そのものだが、どんな姿でも可愛く思えてしまうのが不思議である。


◯9/20木 秋の昼 母の叫びと 産声と

36週1dで陣痛がきて入院することになった。子どもが小さいため陣痛抑制点滴で2週間はもたせましょうということだったが…。入院5日目にして抑制剤よりも陣痛の威力が勝り、とうとう陣痛室へ移動することになった。陣痛が止まらず早く産んでしまいたいという気持ちが芽生え、股関節運動を2時間程続けたら、子宮口が6㎝開いた。陣痛抑制点滴を外してもらい、さらに股関節運動を続けたら1時間で9㎝まで開き、あとは破水待ちとなった。しかし、破水までが長かった…。この時、次は無痛分娩にしようと決心した。14:58に無事、第一子男児を出産。2250gであった。


◯9/16日 産気づく要因はあの秋刀魚かな

妊娠36週目。実家で秋刀魚の塩焼きを堪能したその日の夜に陣痛がきた。夫は父と酒を飲み交わしていたので家に残し、産声タクシーで1人病院に向かう。診察の結果、お腹の子はまだ2100gしかないので点滴で2週間もたせましょうということになった。点滴のおかげで耐え難い陣痛が緩和されたのは幸いだった。陣痛が続けばそのまま出産体勢らしいが、今のところ落ち着いている。食べた分だけ子どもの体重も増えると思っていたが、看護師に聞くとそうではないらしい。せめてあの秋刀魚の脂肪と栄養分は子どもにいってほしいと願うばかりである。


◯9/7金 腹の子のしゃっくり繁し秋の宵

妊娠9ヶ月、34週目も終盤なり。胎児の体重も2000gほどになり体が大きくなるにつれて胎動が減り、代わりに呼吸の練習ともいわれるしゃっくりを頻繁に感じるようになってきた。定期検診で見る映像では、しきりに指しゃぶりしたり口をもごもごさせたりしている。赤ちゃんが出てくる準備を頑張っているのだから、私も出産まであと少し頑張れるのである。それにしても9月だというのに一向に涼しくならない。そろそろ散歩でもして運動して体力つけにゃと焦り始めている。


◯7/31火 集会で話すイメトレ 夏の夜

 午前1時、療休中でこのまま産育休に入るので当分人前で話をする機会はないのだが、気づいたらなぜだか布団の中で全校集会で話すイメトレをしていた。日本語について5-10分くらいの話を3回もシュミレーションしていた。なぜ今こんなことを考えてしまっているのか。考えておけば、いざ求められた時に話せるだろうという深層心理が働いているのか。お腹の子も目が覚めてしまったようだ。イメトレのおかげで脳が半分興奮状態なので、あと数時間は眠れなさそうだ。


◯5/21月 夏めくや 羊水泳ぐ 我が子かな

ゼンチタイバン…。妊娠19週目にして2度目の入院なり。安定期に入ったといっても決して侮れない。子宮口の上に胎盤が被さっているという。お腹が大きくなるにつれて改善されることもあるそうだが、その確率は五分五分らしい。流れる寸前だった受精卵が必死に子宮口にしがみついたのだろう、きっと粘り強く最後まで諦めない子に育つであろう。夏めく大部屋に母1人子1人、羊水という名のプールを気持ちよさそうに泳ぐ我が子。どんな方法であれ、無事に生まれてきますように。


◯4/25水 囀の より激しくなる 昼間かな

朝はチュン…チュン…、昼間になるとチュンチュンチュンチュン。寝床から絶え間ない囀が聞こえ、そろそろ昼食にしようかと起き上がる。退院してから結局療休を取ることになり早1週間、食事とトイレ以外は横になる日々が続いている。働く時は気づかなかったけれど、ちょっと座ったり立ったりするだけでも出血につながり、お腹の張りも感じられ、今更ながらよくこれで働いていたなと思っている。妊婦でありながら働く先輩もいたので、なぜ自分だけがという気持ちもあったが、今では何事もなく無事に元気な子どもが生まれてくるように祈りながら、ひたすら安静に過ごしている。早く安定期よ、来い。


◯4/10火 シャボン玉の 如き腹の子 無事育て

子宮口よ、早く閉まれ。13周目にして切迫流産と診断されて昨日から入院している。身体に気を遣って仕事をしていたつもりだったけれど、こんなにも簡単に流産の危機が訪れるなんて思ってもみなかった。幸い腹の子は元気で安心したが、1週間単位で入院し、絶対安静にしなければならないという。まだ13周かと思うと、出産までの長さに途方に暮れてしまう。復帰してからの働き方を改めなければならない。これ以上職場に迷惑はかけられない、かといって無理もできない。働く妊婦の大変さを病床でひしひしと感じている。


◯4/7土 春菊の 茹で汁に味噌 旬の味

春菊が美味しい季節になりました。我が家では春菊を余すことなく堪能すべく、葉っぱは和え物にして、茹で汁は味噌を溶かして具材を入れ、春菊風味の味噌汁として美味しくいただきます。春菊は茹ですぎると苦味が増すので、沸騰したお湯にまず茎を20秒間茹で、葉っぱは30秒ほど茹でて上げてしまいます。冷水でしめて、少量の塩昆布で和えると簡単ですが本当に美味しいのです。この調理法は親切なご近所さんが教えてくれました♪


◯3/17土 春嵐 子らの姿勢を 正しゆく

怒濤の3月です。卒業式が終わり、1.2年生の授業も来週で最後を迎え、来年度に向けての準備が始まります。子どもたちも最高学年になったり、新入生が入ってきて先輩になったりとワンランク上のステージへ上がる気持ちの準備をするときです。春嵐が授業中にあらゆる窓に体当たりして、大きな音を出しながら春の訪れを告げています。そして、子どもたちの丸まった背中を一人残らず正して去っていきました。もうすぐ新年度です。


◯2/17土 春の朝 胎嚢が見え 鼓動見え

2週間前に妊娠できる身体なのか子宮に病気がないかを調べてもらい、今朝その結果を聞きに行ってきました。結果は陰性。子宮に病気がないことがわかりホッとしていたら、検査薬が陽性なので様子を見てみましょうと検査台に回され、胎嚢と心臓が見えます、6周目です、予定日は10月ですと言われました。化学流産してから生理不順続きで、焦らず気長にいこうと決めた矢先のこの青天霹靂な結果に驚きましたが、安定期まではまだまだ安心できないので、いろんなことに気をつけて生活していこうと心に決めた今日この頃でした。


◯2/10土 梅林で 開花ぽつぽつ 偕楽園

日帰りで筑波山と偕楽園、水戸徳川ミュージアム、鹿島神宮へ行ってきました。筑波山は蝦蟇の油で有名なところで、筑波山神社では蝦蟇の油を守る会の方々による迫真の演劇が無料で見られます。偕楽園の有名な梅林はまだ一分咲きで、2月中旬〜3月が見頃だそうです。徳川ミュージアムは今、刀剣の特別展示をやっています。刀剣女子必見です。鹿島神宮の境内は、広すぎます。有名な池があるところでは鮎の串焼きや御手洗団子、甘酒などが味わえるのもまた乙です。珍しいポケモン目当てで来ている観光客も多かったです。


◯2/3土 豆まいて落花生の香こうばしく

夫からその事実を聞かされて驚きました。私はてっきり節分の豆はどこも大豆だと思っていたので、落花生を殻付きのまま投げる光景はなんだか不思議な感じがしました。大豆よりも表面積があるので、本気で投げられてもそこまで痛くはないでしょう。投げた後はきっと大豆より回収しやすいでしょう。そして、気づかないうちに黙々と歳の数以上食べてしまうのでしょう。そういえば落花生が有名なここ千葉県ではなぜ節分にそれを使わないのでしょう。もしかしたら使っている家庭もあるのかしらと思いを馳せながら、南南東を向いて恵方巻きにかぶりつきました。


◯1/13土 冬晴や シネマに続く エレベーター

夫と上映中の「鎌倉ものがたり」を見てきた。職場でもひそかに話題になっていた。道徳の授業で先輩が「情けは人のためならず」という言葉の説明にこの映画の話をしたのが、見に行く決め手となった。朝の9時、雲ひとつない晴天である。ガラス張りのエレベーターが期待を膨らませながら上昇していく。人と人ならざるものが共に暮らす古都・鎌倉を舞台に、黄泉の国に連れ去られた妻を作家の夫が命をかけて取り戻しに行くという夫婦愛を描いたものがたり。久々に、心から映画館で見られてよかったと思う作品だった。


◯1/7日 人の日の 舌なめらかに 黒霧島

七草粥を食べた後、鹿児島出身の夫と黒霧島を飲みながら大河ドラマ「西郷どん」を見ました。正月に行ってきた仙巌園が映り、脚本と豪華キャストに感動し、今回こそ全部見よう、録画はDVDに残そうなどと半ば興奮気味の1時間でした。酔いが回り、将来の子どもは島津斉彬の「彬」や西郷隆盛の「隆」かな、などと妻の妄想は炸裂。夫は苦笑い。お湯割りにした焼酎は完全に冷めてしまいましたが、さすがは黒霧、その舌ざわりのなめらかさは健在なのでした。


◯1/3水 冬牡丹 仙巌園の 立役者

明けましておめでとうございます。大晦日は鹿児島にある夫の実家で過ごし、1,2日は指宿で砂蒸し風呂を体験し、3日は島津家の別邸、仙巌園へ行ってきました。幸い、空が青々として空気も澄み、庭園から桜島がくっきりときれいに見えたので、携帯カメラのシャッターを何度も押してしまいました。庭には色とりどりの冬牡丹のつがいが藁囲いの下にお行儀よくおり、仙巌園に上品さと華やかさをもたらしてくれています。


◯12/15金 冬の夜にシネマ 満席と静寂

今日はスターウォーズ最新作の公開初日とあって、夜9時にもかかわらずイオンシネマのフロアは期待と興奮でそわそわした客で満たされていた。夫といの一番に会場入りし、映画の広告が終わると同時にキャラメルポップコーンを食べ終えた。とらわれるものがないと、どっぷり映画の世界に浸れるものだ。見終えた後はエレベーターが待てない客の流れに乗り、むんむんと興奮冷めやらぬ熱気に満ちた非常階段を、夫と感想を語り合いながら降りていった。


◯11/17金 薄味の 実家で食べる おでんかな

夫が飲み会でいないので、実家でご飯を食べることになった。わが食卓は日頃から何もかも市販のものに頼っているので味付けが濃くなりがちだ。実家では母が鰹節や昆布などで最初から丁寧に出汁をとっている。調味料も自然食品しか使わない徹底ぶり。おでんも具によっては昨晩から出汁につけこんでいるというので、味のしみこみ具合が全然違う。美味しい。実家にいたころには味が薄いと文句たれてた娘だったが、その良さがやっとわかる年頃になったようだ。


◯11/12日 大根のマサラ炒めラッシーのすすむ

インスタ映えしそうだなと、インスタグラムをやってもないのに目の前にある色鮮やかなカレーを見て思う。チキンかベジかと聞かれてダイエット中なのでベジを頼んだが、食べたいメニューが他にもあったので、夫と3人分のメニューを注文し、そのうち2人分を私が完食した。1人分多く注文したからか、インド人店員が笑顔でマンゴーラッシーをサービスしてくれた。また来ようと思った。店頭にはインドのお菓子ラドゥー(映画「マダム イン ニューヨーク」に出てくる)があったのでつい買ってしまった。新橋にある南インド料理店「ナンディニ 虎ノ門店」


◯ 10/21土  待望の 命流れし そぞろ寒

数日前に妊娠検査薬で陽性反応が出た。夫と喜びを分かち合ったのも束の間、早朝に不正出血があり、婦人科に駆け込むと化学流産と診断された。昨晩、長風呂したのがいけなかったのか……原因は何だろうかと思い巡らす帰り道。よりによって大雨。黒い水玉模様の傘が雨を含んでずっしり重くなり、雨のせいで水玉が消え黒一色になる。電車の窓の隙間から吹いてくる風が冷たい。


◯ 9/9土 体育祭 母が届けし桃五切れ

一週間ぶりに詠む。今日は中学校の体育祭。子どもたちの成長ぶりや活躍を見ようと、親、親戚、卒業生、小学校の元担任の先生など多くの人がグラウンドに集まった。午前中の競技が終わると、お母さんが教室まで子どもにお弁当を届けにきた。「今日のデザートは桃よ。」開けてみると5切れも入っている。子どもは、嬉しさに午前の疲れも一気に吹っ飛んだ様子。周りの子どもは、甘い匂いを湛えた白桃に心を奪われている。


◯ 9/2土 ライン上の 雑草抜く子ら 秋の雨

毎日詠むぞと決めていた俳句も新学期が始まり忙しなく過ごしていると、気付けば最後に詠んだ日から4日も経っていた。中学校では来週に体育祭がある。今日は校庭の雑草抜きとテント張りを、有志の生徒、職員、保護者で行った。小雨が降り、時おり冷たい風が吹く中、3時間黙々と雑草を抜いた。片っ端から雑草を引っこ抜いていき、モグラが通った後のように盛り上がった土を足で踏んで平らにしていく。その上に野球部の少年たちが白いラインを引いて行く。一連の活動を通して、子どもたちの体育祭への意識が少し芽生えてきたのであった。


◯ 8/29火 闇夜より 網戸めがけて 金亀子

夜、部屋の明かりをつけていると、網戸の外で金亀子がブーンブーンと重たい音を立てて飛んでいる。近づいたり遠くなったり。時折、明かりを求めて網戸に体当たりしては、部屋に入れないと諦めて遠ざかり、また体当たりを繰り返す。強引な金亀子。力強い金亀子の飛ぶ音を聞きながら、夏を感じるのもまた乙である。


◯ 8/27日 梨香る 旧友に会いに 墓参り

毎年、高校時代の友人と旧友の墓参りにきている。今年で9年目だ。お墓は駅から少し離れたところにあり、周りは梨園に囲まれていることから「梨香の郷」と呼ばれている。高校時代は、今は亡き旧友と学校帰りに、よく直売所で幸水を試食して、家族に買って帰ったものだ。梨の時期になると、ほのかに甘い香りと共に旧友との思い出が蘇る。来年もまた、会いに行くよ。


◯ 8/26土 決勝戦「一本」の声と蜩(ひぐらし)と

今日は柔道の大会でした。朝から夕方まで体育館に敷き詰められた畳の上で熱い戦いが繰り広げられました。団体戦の決勝戦ともなると、両者の実力が拮抗しているので、一回一回の試合は手に汗を握ります。両者譲らず、大将戦で勝者が決まるというときに、時間内に決まらずゴールデンスコアに突入。どちらかが勝つまで続く、体力勝負。組手争いや足の引っ掛けあいの応酬の最中、体力の限界に達してしまった相手の一瞬の隙をついて内股が決まりました。間髪を容れず、審判の「一本」の声が響き渡り、蜩の鳴く声と共に試合と熱い夏の終わりを告げました。


◯ 8/24木 大南瓜 台所の絵と なりにけり

直売所の一角に、大小様々な大きさの南瓜が置かれていた。どれも安かったので、形が整い、少しオレンジがかった小さいクッションほどの大きさの南瓜を購入した。冷蔵庫に入れるには少し大きすぎたので、林檎や梨、バナナ、グレープフルーツと同じ場所に置くことにした。違和感がないどころか、絵になっている。買って一週間以上経つが、台所に南瓜がある風景がしっくりと馴染んでしまった。


◯ 8/23水 天の川と 平行する道 ドライブす

気晴らしに夜のドライブ。ラジオを流し、窓を全開にして夜風を感じながら車を気ままに走らせる。ふと目線を雲ひとつない夜空へ移すと、天の川が、走る道に平行して続いている。道路には自分以外に車はない。それに反して、天の川は星々で大渋滞を起こしているが、その輝きは流れるようだ。天の川に沿って走るのは気持ちいい。……さて、どこで折り返そうかな。


◯ 8/22火 赤蜻蛉 教室に子も なかりけり

正岡子規さんの「赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり」を参考にしました。夏休みも後半、子どもがいない教室に入り、籠もった空気を入れ替えようと窓を開けると、待ってましたと言わんばかりに赤蜻蛉がスーッと教室に入ってきました。薄焦げ茶色の教室の上空を、ぐるぐる飛び回り続ける赤蜻蛉。秋はもうそこまできてますよと告げんばかりに。子どもがいても絵になりそうだ。換気が終わり秋の気配を十分に感じた後、赤蜻蛉を外に逃がしてから施錠し、教室を後にしました。


◯ 8/21月 真桑瓜の 漬物に夫 舌鼓

地元では、毎週日曜日の早朝に市役所の駐車場で朝市が開催されている。地元の農家の方々が白い軽自動車のトランクを全開にして、その前に野菜や果物などを並べて販売している。新鮮で、スーパーより安く野菜が手に入るので、毎週夫と眠たい目をこすりながら大袋を持って買いに行っている。真桑瓜の漬物の試食があり、つまんでみると、果肉が赤ちゃんのほっぺたのように柔らかく、舌の上でほろほろととろけ出す感覚が新鮮で即買いしてしまった。帰宅して、真桑瓜の漬物を切って食卓に出すと、夫が気に入ったようで、ぺろりと全部食べてしまった。


◯ 8/20日 午後の蝉 BGMに 家読書

日曜の午後。仕事から離れ、自分の時間が持てる至福の時。喫茶店で心地よいBGMが流れる中、備え付けのソファに座り珈琲を啜りながら読書するのもいいですが、今日は外に出るのが億劫になるほど暑い日でした。リビングのクーラーをつけて部屋を涼やかにして、温かい紅茶なんか用意して、ソファに深く座って、窓ガラス越しのくぐもった蝉の鳴く声を聞き流しながらの読書。これもまた、いい。ああ、最高のひととき。


◯ 8/19土 花火音 いつもより早い 杖つく音

今日は地元の夏祭り。毎年4万人もの人が集まるそうですが、祭には行かず家の2階から夫と一緒に花火を眺めました。花火を眺めていると、カツンカツンカツンと早いテンポで杖をつく音が聞こえてきました。2件隣に住んでいる90歳のおばあちゃんが花火を見ようと、ほぼ直角に曲がった腰を片手で抑えながらスパスパと歩き、家の前を通り過ぎていくではないですか。家の中で満足していた私たちでしたが、近くで見たいという好奇心旺盛さがおばあちゃんを元気に若々しくさせているんだなと思いました。


◯ 8/18金  西瓜(にしうり)や 職員 三十五六人

正岡子規さんの「鯛鮨や一門三十五六人」という一句からヒントを得ました。職員がこの句とちょうど同じくらいいるので「ぴったりや!」と思いました。職場がスイカの名産地にあり、この時期はたくさんのスイカが届きます。用務員さんが大玉のスイカを一口サイズに切り、大皿に盛って職員室まで持ってきてくれました。水々しく、甘い汁で潤ったスイカの山に自然と人が集まり始めました。爪楊枝でぷすっと挿して口に入れるとじゅわっと甘みが広がり、皆々しばらく夏の味に酔いしれていました。