暗黙知と形式知が、連続でありながらも形態において同一化できない独立した事態であるという特徴をもっているからにほかなりません。個々人の行為・経験から独得される暗黙知は、無限の多様性を内包しているといえます。言表不可能であるということは、量的な計測が不可能であるばかりか、言語的表現による拘束を受けないからです。したがって暗黙知から形式知への変換プロセスは「収敏化」の過程であるといえます。このプロセスには、 正当化社会化のプロセスが欠かせません。言表不可能な暗黙知という状態の知識は、個人的な知識であって、その状態では他者に伝達することができないからです。したがって、これを他者と共有していく過程は、事態を互いに認識し合うという正当化の前提であり、社会化のプロセスそのものなのです。その最も確実な方法は、ともに同じ経験、すなわち暗黙知を獲得したと同じ状況を再現し、体験から独得することです。しかし同じコンテクストを再現することは不可能であるばかりか暗黙知を他者が獲得したとしても、それが正しく獲得されているかどうかの確認は実践する以外に術がありません。
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