ささやかながら、オンライン古本店を運営している関係もあり、
本の保存について大変関心があります。

あっ、古本店をやってなくても、たぶん大変関心があったと思います。
本が大好きだから。

そんな本の保存について、少し。

リンク: 都立中央図書館資料保存.

東京都の都立中央図書館には、資料保全室というものがあります。
ホームページでその活動が紹介されています。

保存という事と、修理という事はかなり違うと思っているのですが、
かなり修理に比重を置いたページになっているのが気になるところです。

修理はえてしてオリジナルを損傷するものなので、しなくてすむなら、本当はしない方が良いと思っています。

さて、保存・保護のための容器・装備というPDF形式の資料へのリンクがページ内にあります。
カイルラッパーという保存容器が紹介されています。

中性~弱アルカリ性の紙ボードで作る、酸性紙にも配慮した賢い容器です。

その保存容器製作の途中に、「ボンドか両面テープで接着する。」
との記述があります。

ボンドとか両面テープは、ものによって酸性で、長い間に紙ボードを通じて、本に影響を及ぼす可能性があります。
ので、接着力は弱いですが、麩糊とかヤマト糊で接着したほうが良いと思います。。。

(もっというなら、接着という方法を使わないで組み立てられる保存容器のほうが良いです。



東京都写真美術館で1997年に発見された事例ですが、海外製の写真保存専用のダンボール箱に収納されていた小川一真撮影の写真乾板の一部の写真画像上に、ダンボールに利用されていた接着剤が影響したと思われる縞模様が乾板の写真
画像上に現れてしまいました。


カイルラッパーという保存容器はとても賢いです。
紙ボードの無駄があまり無く、簡単に作れるメリットは大きいです。

が、作るために接着が必要。そこがポイントです。
安全に接着するというのも、なかなか難しいものです。
接着が弱ければ、保存容器が壊れやすくなりますし、ボンドなどは塗った時に酸性を示していなくても、長い間にどう変質するかは誰にも分りません。ああ、困った。



なんだかんだ書きましたが、本の保存に、保存容器という発想は、とても正しいと思っています。
それをもっと勉強したいと思っている今日この頃です。


この記事を書くにあたって、有限会社 資料保存器材のホームページを参考とさせていただきました。