神田沙也加という奇跡④ | 「松田聖子」という奇跡

神田沙也加という奇跡④

前回の記事で、

 

「神田沙也加」は名実共に、

「唯一無二」の存在になったのです。

 

と書きましたが、個人的にはまだまだ全然不満です。

名実共に、の「実」に「名」が伴っていない。

実力不足ならぬ名声不足。

名声不足ていう言い方もいやらしいですが、もっともっと、多くの方と沙也加さんの素晴らしさを共有したい、という思いが強いです。

 

「アナと雪の女王」のアナは、確かに素晴らしかった。

でも、神田沙也加=アナ、ではない。

アナは、神田沙也加のほんの一部なんです。

「アナと雪の女王」の大ヒット以降、あまりにアナのイメージが強すぎて、それ以外の神田沙也加が世間的には隠れっちゃったような。

それがもったいなくて、もったいなくて、悔しくて。

だからこうして暑苦しく語っております。

 

 

ただ、沙也加さんの持つ引き出しがあまりに多すぎて、全ては語り尽くせないのが実際のところ。

とりあえず今回は、MUSICALOIDOとしての活動について。

 

要するに、沙也加さんによるボカロ曲のカバーです。

ミュージカル歌手とボーカロイドをくっつけたような言葉ですね。

『MUSICALOIDO#38』ということで、3枚のアルバムが発売されています。

私、この辺りの文化に疎くて、ボカロ曲なんてほとんど知りませんでした。

だからカバーというより、沙也加さんのオリジナル曲として聴いちゃっている感じですけども。

 

この場合の沙也加さん、歌手と言うより「歌い手」と言った方がいいのかな?

でも、もちろんただの歌い手ではありません。

よく「プロの犯行」っていうタグがついたりするけれど、沙也加さんの場合、ただ「歌が上手い」とか「声がいい」とかだけの話ではないので。

 

まずは聴いてみましょう。

『LUVORATORRRRRY!』という曲。

 

 

凄いです、圧倒されます・・・。

変幻自在、声色の変化が半端無いです。

可愛く歌っていたと思ったらカッコよくなったり、あえて無機質な感じで歌ったり。

そしてドスの利いた低音も。

「ハイ、ハイ」の所、痺れます。

これはミュージカルというより、声優としての技術でしょうか?

まさしくプロ中のプロ!

 

声優といえば、あの緒方恵美さんと『ロキ』を歌っています。

「新世紀エヴァンゲリオン」のシンジ君ですよ!

そう言えばこの曲、歌詞に「ATフィールド」って出てくるんですよね。

でもこの曲の緒方恵美さん、全然シンジ君じゃないです。

低音ボイスが渋すぎる。

そしてもちろん、沙也加さんもカッコいい!

 

 

は?

は?

は?

はあー?

はぁ・・・

 

この「は?」のニュアンスの違い、聴きました?

最高にカッコイイです。

まさかアナが・・・😅

こういう沙也加さんも、もっと多くの方に知っていただきたいです。

 

緒方恵美さんも、最初はミュージカルをやられていて、そこから声優になったみたいです。

共通のバックボーンがあるお二人、これもまさしくプロ中のプロです!

 

沙也加さんは七色の声を持っていますね。

そしてもちろん聖子さんも。

そこはやっぱり共通している。

でも、聖子さんの場合は、その楽曲に合った歌声をごく自然に選択して歌っているように思います。

無意識にそれができる人。

何せ「天才」ですから。

 

よく言うじゃないですか。

「松田聖子は松田聖子を演じている」って。

そんなわけないですよ。

聖子さんは演じられる人じゃない。

そしてぶりっ子でもない。

聖子さんは「素」の人だと思います。

要するに、「素がカワイイんだから仕方ないだろ、文句あるか!」って話で。

 

沙也加さんは違います。

沙也加さんは、意図的に声色を使い分け、演じることができる。

例えばこの歌唱。

 

YOASOBIの「夜を駆ける」のカバーです。

 

 

聴けばわかりますよね。

これは神田沙也加が歌っているのではありません。

あくまで、長瀬麻奈というアイドル歌手のキャラクターが歌っているのです。

 

「IDOLY PRIDE -アイドリープライド-」というアニメの中で、沙也加さんは伝説のソロ・アイドル、長瀬麻奈という役の声を担当していました。

さすがにこの歳になって、こういう感じのアニメを観るのはキツイので観てはおりませんが、「伝説のソロ・アイドル」という役が沙也加さんに回ってくるなんて、色々と感慨深いです。

 

*この作品に関して、元松田聖子親衛隊員であり沙也加さんのこともずっと応援してきた、すずめ17さんから、有難いご意見をいただきました。

 

ネタバレになるのであまり深くは触れませんが、最終回の演出や役柄と彼女の運命が重なり、涙を禁じ得ません。スマホゲーム運営会社は、業界の慣例を破り、今後もCVは神田沙也加のままとして代役を立てないことを宣言しました。ある意味、声優としての彼女の遺作になりますので、決して無理強いはいたしませんが、もしお時間が許すときがありましたら、ご視聴いただけると幸いです。

 

そうなんですね・・・。

それは、何と言う「運命の皮肉」。

ごめんなさい、気持ちが落ち着いたら、「IDOLY PRIDE -アイドリープライド-」、しっかり観ようと思います!!

 

その長瀬麻奈として、実際に歌っている映像がコチラ。

 

 

うん、沙也加さん、完璧なアイドルになっていますね!

ただ個人的には、「夜に駆ける」のカバーは、神田沙也加の歌声でも聴いてみたかったです。

 

でも、あるんですよ。

YOASOBIのAyaseさんがボカロPとして制作した曲のカバーが、『MUSICALOIDO#38』の彼方乃サヤ盤の方に。

『ラストリゾート』です。

何しろカッコイイので聴いてください。

 

 

うっひょ~、痺れる~っ!!

 

同じAyaseさんの曲でも、沙也加さんのスイッチ一つで全っ然違いますよね?

この振り幅の広さ。

要するにMUSICALOIDOは、ボーカリストとしての神田沙也加の才能を存分に味わえる企画なんです。

 

そしてこの曲で言えば、沙也加さんの「ダークサイド」が良く引き出されていると思います。

沙也加さんには、人を惹きつける明るさがありますね。

天真爛漫な笑顔、そう、アナを思い浮かべればわかるでしょう。

でもそれだけではない、ダークサイドの魅力も持っている。

 

ここがまた、聖子さんとは違う所ですね。

聖子さんは、徹底的に「ライトサイド」。

切なさや哀しみにまで、時に爽やかな風が吹きます。

それこそが唯一無二の魅力だと思います。

 

でも沙也加さんには明らかに2面性があって、そもそもTRUSTRICKだって、TRUST(信頼)とTRICK(騙す)を組み合わせた造語です。

この「MUSICALOIDO#38」も、此方乃サヤ盤と彼方乃サヤ盤がありますが、これも要するに2面性。

2面性とかダークサイドとか、もちろん人間性を揶揄しているわけではないです。

ただその魅力の中に「毒」も内包していて、それが表現や創作の中に垣間見えるのがまた、たまらないのです。

こういう沙也加さんも、世間的にはほとんど知られていないと思います。

例えば、サイコパスの役なんかを演じさせたら、どハマりしたかも。

 

2面性という意味では、ちょっとデリケートな話になりますが、沙也加さんは、「生」と「死」が共存しているような世界観を持っているような感じもあって・・・。

ボカロカバーにしても、TRUSTRICKの曲にしても、そういう匂いのする曲がたくさんあるんです。

この『ラストリゾート』が、彼方乃サヤ盤のみ、最終曲のボーナストラックとして収録されているのも、象徴的だと思います。

気分悪くされた方がいらっしゃったら申し訳ありません。

もちろん、だからと言って変な詮索をしているわけでは、もちろんありません。

 

ただ、「神田沙也加という物語」の記事の中で、

 

沙也加ちゃん

きっと君は

自分が創った物語の中で

生きているんだよね・・・。

 

と書いたのは、そういう意味です。

本当に悲しくて、絶対あってはならないことが起きてしまいましたが、せめて「生」と「死」が共存している世界の中で生きていてくれれば、という、妄想からの願いです。

 

 

話を音楽に戻しましょう。

 

以前娘に、「初音ミクのどこがいいんだか、さっぱりわからない」って言った事があります。

私、楽曲云々以前に、そもそも歌声至上主義者ですし。

(だから松田聖子と神田沙也加のファンなんですが)

 

そうしたら、娘にこう言われました。

「だってその方が、楽曲そのもので評価されるじゃん」

なるほど、目から鱗でした。

そうか、だから米津玄師さんは、以前ハチという名前でボカロPとして動画を投稿していたのですね。

そりゃ米津さんだったら、自分の歌声で歌った方が素敵な曲に聴こえるに決まっています。

でもそうじゃない、楽曲そのもを評価して欲しかったのか、それってカッコイイな、って(すみません、これは私の勝手な解釈です)。

つまり、ボカロの名曲って、そうやって楽曲そのもので評価された(もちろん映像含めそれだけではない部分もあると思いますが)中から残っていったものなんですね。

それをボーカリスト神田沙也加が、その能力を存分に発揮して「歌ってみて」くれるんですから、なんて贅沢。

 

だから、こんな可愛い曲を歌ったかと思えば(『どりーみんチュチュ』)、

 

 

こんなオシャレな曲も(『ジターバグ』)。

 

 

今回はYou Tubeに上がっているもので紹介させいただきましたが、他にも素晴らしいものがたくさんあるので、皆様にもこの3枚のアルバム、ぜひ聴いていただきたいと思います。

 

 

とりあえず今自分が一番好きなのは、『Good Morning, Polar Night』。

沙也加さんの透き通る歌声と、この曲の描く世界が完璧にマッチしていて、たまりません。

 

 

体調はどうだい 準備はいいかい 啼いた夜に別れをしよう

踏み出したその足が 夜を終わらせるから

どこまで行けるか答えも知らないまま

歩けるお前だからこそ 星あかりも映るだろう

泣いた夜も笑った夜も夢のようだったよ

さあ確かめに行こう 明日の方へ

Good Morning, Polar day

 

極寒の中、澄み切った空気の中で、自分の迷いや悩みが晴れ渡っていくようなこの曲、沙也加さんの歌声がまるでオーロラのように降り注いでくる感じで・・・。

 

そうそう、MUSICALOIDOとして3枚目のアルバムを発売する時に、記念オンラインライブということで、ボカロカバー生歌も披露してくれています!

 

 

いや~、素晴らしい!!

 

今となっては、本当に貴重な映像となってしましました。

ぜひぜひ、DVD/ブルーレイとして発売していただきたいです。