B面から語る松田聖子⑮『蒼いフォトグラフ』
もう皆様ご存知だと思いますが、まずはこの話題から
幾多りら(ikura)さん、言うまでもなく、今人気絶頂、YOASOBIのボーカルの方です。
それにしてもいい声ですね~。
そしてこの記事内にある『SWEET MEMORIES』のカバーも素晴らしい!
私幾多さんの声好きです。
最近めざましテレビのOP曲も歌ってますね、とても爽やかな歌声で、夜だけじゃなくて朝にも似合ってます(笑)
きっと聖子ファンの方は、この歌声を好きな方、多いんじゃないかな~。
共通しているのは、歌声の「透明感」。
透明感と言えば、ZARDの坂井泉水さんを思い出します。
*9Kさん、ありがとうございます。
聴いていて、本当に心地良いですね
では今挙げた皆さんと、聖子さんとの違いは何でしょう?
決してディスるわけではありませんからね、繰り返しますが、基本的に私、透明感のある歌声は好きなんです。
ただこのブログは松田聖子ファンブログなので、「松田聖子」という奇跡の存在が持つオリジナリティについて、語り尽くすのが使命だと思っておりまして
誤解を恐れずに言えば、透明感のある歌声って、反面、のっぺりとした印象を伴う部分があると思います。
抑揚がないというか、メリハリに欠けるというか。
つまりは、感情の起伏がわかりづらいというか、「歌声の表情」が見えづらいというか。
味付けでいうと薄味。
その分、安定した歌唱になるし、安心して聴ける。
(幾田さんのスイメモ、もし生歌で歌ってもこの音源とそんなに変わらないでしょうね😊紅白での生歌も素晴らしかったですし)
しつこくないから、その味に飽きない。
聴いていて心地良い。
そのまた反対に、思いっきり感情を込めた歌唱は、感動も伝わりやすいけど、味が濃すぎてしつこく感じてしまう側面も、あるでしょう。
聖子さんの場合、基本薄味なんだけど、同時にダシがしっかり効いているので、無理に濃い味付けにする必要が無い。
というか、ごく自然に感情が歌声に乗ってくる。
何てったって、デビュー当時のあの太い歌声、あの歌声そのものに内包された感情の量は、尋常ではないので。
果物を一口かじったら、口の中に果汁がブワッと溢れて広がってくるような、あの歌声。
その果汁には、「甘さ」「酸っぱさ」「ほろ苦さ」「切なさ」「嬉しさ」「哀しさ」、色んな味覚が凝縮されているように、私は感じます。
その膨大な量の感情が内包された歌声が、月日と共にどんどん洗練されていく。
その過程の中で、それぞれの時期の松田聖子の歌声が、それぞれに輝いていく。
聖子さんの場合、そういう下地があった上で醸成された「透明感」なので、同じ透明感という言葉でも、やっぱり違う。
聖子さんの透明感のある歌声は、基本的に爽やかであっさりしているんだけれども、同時にその歌声に込められた感情も、スーッと聴き手の心に響いてくるんです。
それともう一つ。
先程、透明感のある歌声は歌唱が安定する傾向があるように書きましたが、聖子さんの歌唱には若干ですが不安定な部分があって、でもその微妙な「歌声の揺らぎ」が、イコール「感情の揺らぎ」のように感じられて、結果、それが見事に「歌声の表情」になっている。
表情が豊かな人って魅力的ですよね。
例えば、前回の記事に添付した夜ヒットの『SWEET MEMORIES』、聖子さんの「歌声の表情」がビンビン伝わってきて、たまらないのです。
これは練習や努力ではどうしようもない、天性のものでしょう。
今回の記事のB面曲、『蒼いフォトグラフ』のA面は、もう言うまでもありません、『瞳はダイアモンド』です。
この曲も、『ガラスの林檎』同様死ぬほど好きな曲です。
*LULLABY 80'sさん、ありがとうございます。
♪幾千粒の雨の矢たち♪と同様に、まさしく天空から降り注いでくるような透明感ある歌声、そして自然と溢れ出てくる感情、何もかもが素晴らしい
・・・いかん、軽めの話題のはずが、つい熱く語ってしまいました
このアルバム、何てったって松本隆さんのトリビュートアルバムですから、どんなに少なく見積もっても、後2~3曲は聖子さんの曲があっても良いと勝手に思っています(笑)
人気アーティストの方がカバーする事自体楽しみですし、その余波で松田聖子への関心が高まってくれれば最高です。
そしてまた、他の方の松田聖子カバーを聴く事で、松田聖子という存在のオリジナリティがあぶれ出されてくるのを発見できるこの楽しさ、堪能したいです。
*ここからはパラレル世界での妄想記事で、事実とは異なりますのでご注意ください(笑)
今、記事書きながら自分一人で盛り上がってますが、大丈夫かな~?
「振り向けば・・・一人」
なんて事のないよう、皆さん付いてきてくださったら嬉しいです(笑)
さあ、B面で語る松田聖子、今回は『蒼いフォトグラフ』です。
まずは妄想から(笑)
衝撃の松田聖子緊急記者会見から一夜明けた日本列島は、TV・新聞から学校や会社、家庭でも、この話題で持ち切りとなった。
会見では詳細は発表されなかったが、英語歌詞の入った『SWEET MEMORIES』や、洋楽カバーアルバム『Look back,Seiko』が発売されたのは、全米進出への布石だったのか、と納得した人も多かった。
ただし、パラレル聖子の国内活動休業を惜しむ声が多かったのはもちろん、全米進出という点においては批判的、懐疑的な声も多かった。
「あのピンクレディーもアメリカ進出は失敗している。きっと松田聖子も上手くはいかないだろう」
もし、このパラレル世界の出来事が1983年に現実に起きていたとしたら、きっと私も同じような感想だったと思います。
*もちろん、1990年代以降のリアル聖子さんは、実際に全米進出をしたわけですが、それに対する思いはひとまず置いといて・・・。
余談になりますが、私も含めて当時を知っている人の多くは、ピンクレディーはアメリカに行ったけど上手くいかなかった、っていうイメージがあると思います。
でも実際はそうじゃなかったみたいなんです。
アメリカ進出の経緯については一般に知られていないが、多くのファンを得て、米3大ネットワークのNBCで主演の冠番組を獲得するなど、当時の外国人デュオとしては成功を収めた。しかしながら、よりセックスアピールを前面に出したスタイルであったため、国内でのイメージを損なう恐れがあるとの判断から日本ではほとんど報道されなかった。
(Wikipediaより)
調べてみたら、ピンクレディーの全米デビューシングル「Kiss In The Dark」って、ビルボード総合37位になっているんですね。
これ、相当凄い事だと思います
*Y TAKAHIROさん、ありがとうございます。
さらに全米3大ネットワークの一つNBCでゴールデンタイム冠番組を持って、しかも高視聴率だった、なんて話も全然知りませんでした。
そして、こんな興味深い記事を見つけました
この記事の中で書かれている通り、「UFO」🛸、これ確かにアメリカ人にウケそうな曲じゃないですか。
ピンクレディーが、もし日本語で「UFO」を歌ってプロモーションしていたら・・・。
じゃあ、パラレル聖子の場合は?
しおきゅうPの全米進出構想はどんなものなのか・・・?
はい、ここからが本題
『蒼いフォトグラフ』。
大好きな曲です。
聖子さんのB面曲の中で、一番好きな曲かもしれません。
まずは松本隆さんの詞が神。
ユーミン夫妻のサウンドも大好き。
そしてもちろん聖子さんの歌声があまりに素晴らしすぎて、表現できない程(笑)
天才たちが作り上げた、傑作中の傑作だと思います
そして、あまりに好き過ぎると逆に何を語っていいのかわからなくなる、というジレンマ(笑)
そういう時は、人の手を借りるのが得策
という事で、同じくこの曲が大好きだというボッサクバーナさんが記事を書いているので、ぜひ読んでいただければと思います。
私がアレコレ解説するのは蛇足にしかならない、素晴らしい記事だと思います
私自身も、「この曲のような青春時代を過ごしたのか?」と言われればそんな事はありませんが、
>それでも、この曲は37年前も、そして今も、相変わらず僕の心をしめつけ続ける。
これだけは間違いないですね
ボッサクさん、素敵な記事をありがとうございました
では、私も私なりの『蒼いフォトグラフ』を書いてみようと思います。
この曲でまず思い浮かぶのは、やっぱりドラマ「青が散る」。
『蒼いフォトグラフ』が主題歌として使われていたこのドラマ、大好きでした。
この辺りの細かい事は以前も書いたと思うので省きますが、今、YouTubeでも結構動画がUPされていますね。
興味のある方はぜひぜひ。
今や貫禄のある役を演じる事が多い石黒賢さんの初々しい演技、そして川上麻衣子さん、佐藤浩市さん、遠藤憲一さん、他のキャストの方もみんな良かったです。
(ただしこのドラマの動画、主題歌である『蒼いフォトグラフ』が入っていると、自動的にブロックがかかるそうで、聖子さんの歌だけ消音されている、という残念なことに。ぜひDVD化して欲しいです)
「青が散る」と『蒼いフォトグラフ』のイメージを重ねるとしたら、この曲は、祐子(川上麻衣子さん)の心情を歌っているように、自分は感じます。
(あくまで個人的なイメージ)
夏子(二谷友里恵さん)ではなく、祐子。
気まぐれっぽい夏子の方がイメージに合うかもしれませんが。
でも、仮に祐子が「今一瞬あなたが好きよ」と呟いても、クソ鈍感な燎平には、聞こえないに違いない(笑)
ドラマの事は置いておいても、この曲で松本隆さんが描いた情景の、何と美しい事か。
横浜港の赤レンガ倉庫、風情がありますね。
引き込み線っていうのがまた、いいんだなあ。
人生の中のエアポケットというか、ちょっと道を外れて立ち止まってみる、みたいなニュアンスが、青春期、モラトリアム(猶予期間)のイメージに重なります。
そして、ちょっぴりハスキーで、かつ透明感溢れる聖子さんの歌声が、この詩的世界を見事に描き出しているんですね。
『蒼いフォトグラフ』
作詞:松本隆
作曲:松任谷由実
編曲:松任谷正隆
*アイドルの80's年代.さん、ありがとうございます。
青春の光と影を、どこまでも透明に美しく歌っていて、本当に素晴らしい。
青春時代、振り返れば色々あったけど、この歌声が全てを洗い流してくれる、そんな気持ちになります
先程、聖子さんの歌声の表情の豊かさについて触れましたが、この曲の場合、むしろ表情をあまり出さずに歌っているような気がしますね。
A面の『瞳はダイアモンド』と比較しても、そう感じます。
ただ、『蒼いフォトグラフ』、実は両A面扱いだったにも関わらず、発売当時の生歌唱って無いんですよねえ。
これは残念でたまらないです。
せめて「青が散る」を放送していたTBSは、例えば「ザ・ベストテン」の「今週のスポットライト」で歌う機会を設けるとか、して欲しかった。
もし発売当時の生歌があったら、また違ったこの曲の魅力が引き出されていたかもしれないのに。
だからこの曲についてはレコード音源で語るしかありませんが、もちろんそれでも十分です
これも私個人の印象ですが、聖子さんの歌声は、ちょっと俯瞰して(この青春群像劇を)眺めているような、そんな雰囲気を醸し出しています。
聖子さんの歌声は情景が浮かぶ、とよく言われますが、この時の歌声は、叙情的というより叙事的な感じ。
それでも、時折その隠された表情が滲み出てしまっているような所があって、そこがまた、たまらなくいいのです
『蒼いフォトグラフ』は、映像ではなく写真。
つまり、その「瞬間」を切り取ったもの。
だから『蒼いフォトグラフ』とは、『蒼い瞬間(とき)』と言い換える事もできる。
・・・なんか山口百恵さんの著書みたいになってしまいましたが
♪今一瞬あなたが好きよ
明日になればわからないわ♪
この曲は、まさに「今一瞬」と、過去・現在・未来という時間軸が、交錯している物語。
青春の瞬間をフォトに閉じ込めようとしても、フォトが破れてしまう(青が散る)事もあるし、その欠片を拾い集めて繋ぎ止めてみても(テープで貼った)、それでもいつかは、その青春の思い出も色褪せてくる(セピア色に褪せたフォト)。
最初は、♪今一瞬あなたが好きよ 明日になればわからないわ♪なんて呟いてみせたりしたくせに、それでもやっぱり♪今の青さを失くさないでね♪って、なんか意地らしくて、たまらなく切ない。
『蒼いフォトグラフ』は、83年10月28日に発売された。
衝撃の記者会見直後の発売だった点と、歌詞の内容が、国内活動を休業するパラレル聖子の心情にピッタリなのでは、という点でも話題となり、これまた爆発的なヒットとなった。
さらに、各音楽賞に至っては『SWEET MEMORIES』で総ナメ状態であったが、12月31日に行われる「日本レコード大賞」だけは、ノミネートこそされてはいたものの、当日行われるパラレル聖子国内卒業コンサートとスケジュールが重なってしまう為、受賞は難しいのではないか、というのが一般的な見方であった。
実際、聖子サイドとしても、レコ大受賞を逃すのも止む無し、と認識していた。
何よりも、パラレル聖子自身の「最後の日は、ファンの皆さんと共に過ごしたい」という気持ちを優先した結果であった。
今振り返ってみると、リアル聖子さんの結婚休業前って、山口百恵さんやキャンディーズの引退とは違って、あっという間に色々と慌ただしく過ぎて行ってった感があります。
あれ程の大スターの割には、あっけなかったような。
もちろん『ボーイの季節』も大好きな曲ですが、TVで歌った機会も少なかったですし、本来であればもっと盛り上がっても良かったのに、と思うのです。
当時の私は、それよりも喪失感の方が遥かに大きい状態でしたが、少し寂しい終わり方だったなあ、っていうのはずっと引きずっていて。
(もちろん、百恵さんやキャンディーズと違って、完全な引退ではなかったというのはありますけども)
もし『蒼いフォトグラフ』が最後の曲だったら盛り上がるんじゃないかな、って妄想しちゃったもので、こんな展開になりました(笑)
♪今一瞬あなたが好きよ
明日になればわからないわ♪
「今一瞬」。
このフレーズ程、松田聖子を的確に表現した言葉はないかもしれません。
永遠のアイドル。
聖子さんは、そんな風に形容されます。
確かに、松田聖子は永遠です。
でも同時に、松田聖子程、「今一瞬」の存在はないと思うのです。
松田聖子は、常に変化し続ける連続体。
だから、「松田聖子」という確固たる定義付けは不可能。
同じ曲でも、一つとして同じ歌唱は存在しえない。
この時、この瞬間の松田聖子だからこそ成立する。
次の瞬間の松田聖子では成立しない。
そんな奇跡の歌唱のオンパレード。
それこそ、『蒼いフォトグラフ』を、デビュー当時のあの太い歌声で歌っても、マッチしないと思いますし。
この曲もやっぱり、この時、この瞬間の松田聖子じゃないとダメだと思いますね
それにしてもこの曲の歌詞、自分の聖子さんに対する気持ちに重ねて聴くと、たまらないものがあります。
♪次に誰が好きになっても
こんなピュアに愛せないわ
一番綺麗な風に
あなたと 吹かれてたから♪
私にとっての一番綺麗な風って、
「松田聖子という青い風」なんです・・・。
*masa massaさん、ありがとうございます。
一番綺麗な風に
あなたと 吹かれてたから
パラレル聖子の快進撃は止まらない。
11月11日、ベストアルバム『Seiko・Plaza』が発売、オリコン1位を獲得。
2枚組のシングル・コレクションであったが、特製クリスタル・シングル『Canary/小さなラブソング』が封入され、ファンを歓ばせた。
聖子自身初の作曲となる『Canary』、そして初の作詞となる『小さなラブソング』、この2曲がカップリングされた事で、「全米進出は自作曲で勝負するのか?」などという憶測も流れる程であった。
『Canary』
*聖子のプリズム☆赤橙黄緑青藍紫さん、ありがとうございます。
♪翼をくれた あなたを♪
がたまらない~
この曲も、新たなる旅立ちの門出の曲、という視点で捉えると感慨深いものがありますね。
よく考えたら、本来アルバム曲なのに夜ヒットで歌ったのはこの曲だけですね、凄いなあ
『小さなラブソング』
*柴田学ディスコティックIIさん、ありがとうございます。
企画ものとはいえ、この曲もB面曲の一つ(笑)
当時『LOVE SONG』が大好きだった私は、それに比べてイマイチかな、って思ったりもしましたが、この曲もやっぱりいい曲だなあ。
この曲のTV歌唱があれば、きっと悶絶してるでしょうね
そして12月10日には、オリジナル・アルバム『Jwels』が発売、こちらもオリコン1位を獲得、さらには『蒼いフォトグラフ』のB面曲であった『ボン・ボヤージュ』にもリクエストが殺到、TVで生歌を披露する事になった。
『Canary』と『ボン・ボヤージュ(=良い旅を)』、この2曲を提供する事で、作詞の松本隆が聖子の旅立ちを祝福しているようだ、とこちらも憶測が憶測を呼び話題となった。
*dokidoki925さん、ありがとうございます。
ぐわぁ~、これはたまらないです、最高です~
歌声、表情、仕草、もう何もかもが最上級、これも神歌唱確定です
そして歌前のトーク、そうか~、ついにB面コレクション、『Touch Me,Seiko』発売時期なんですね。
パラレル聖子ちゃんのB面コレクションの場合、どんなラインナップになるのかな?
・・・ん
何かおかしくないですか
この企画(B面で語る松田聖子)だったら、次のシングルA面は『ボン・ボヤージュ』のはずなのに。
ああ、でも国内活動終了だから、それは無いのか。
いや、でも『蒼いフォトグラフ』のB面は『瞳はダイアモンド』じゃないと・・・。
いや、おかしくないんですよ、このパラレル世界においては
私、この「B面で語る松田聖子」シリーズにおいて、本来(リアル)のA面はこの曲です、っていうお話はしてきましたが、パラレル世界のシングルB面が、そのままリアル世界のA面になっている、とは書いてないんです。
いや、最初のうちは書いていたかもしれない(笑)
でもここで話が変わって、この世界では、単純にシングルのA面とB面をひっくり返したわけじゃない、っていう事になったので、よろしくお願い申し上げます(笑)
日本列島が松田聖子フィーバーで騒然とする中、ついにフィナーレの時が近づこうとしていた。
12月31日。
日本武道館は、競争率数十倍とも数百倍とも言われるプラチナチケットを獲得した熱狂的なファンで埋め尽くされた。
コンサートは、フジテレビが独占生中継していたが、そこで奇跡が起きる。
同時刻、TBSで放送されていた「第25回 輝く日本レコード大賞」からの中継が入ったのだ。
フジテレビ、TBSという民放2曲による同時中継が実現。
同番組の司会、高橋恵三の声が、帝国劇場から日本武道館へと流れてきた。
「第25回、輝く日本レコード大賞は・・・、松田聖子さんの『SWEET MEMORIES』!」
場内、割れんばかりの大歓声に。
号泣するパラレル聖子。
日本レコード大賞の歴史の中でも、受賞者本人が会場にいない、という前代未聞の出来事が起きた。
それ程までに、1983年の松田聖子は、絶対王者だったのだ。
さらに奇跡は続く。
国内卒業コンサートは5時間に及び、いよいよフィナーレを迎えようとしていた。
すると今度は、同時刻、NHKで放送されていた「第34回紅白歌合戦」からの中継が入ったのだ。
フジテレビ、NHKという民放と国営放送による同時中継が実現。
「聖子さん、こんばんは~!」
司会の黒柳徹子からの声が、NHKホールから武道館に鳴り響く。
時刻は11時35分。
そう、紅白歌合戦の大トリは、パラレル聖子が務めるのだ。
紅白歌合戦の歴史の中でも、大トリを務める歌手が会場にいない、という前代未聞の出来事が起きた。
それ程までに、松田聖子の名前は日本の音楽史に燦然と輝く存在になっていたのだ。
「紅白の大トリ、そして、松田聖子国内フィナーレを飾るのはこの曲、『蒼いフォトグラフ』!」
*柴田学ディスコティックIIさん、ありがとうございます。
♪写真はセピア色に 褪せる日が来ても
輝いた季節 忘れないでね
蒼いフォトグラフ♪
忘れるわけがないでしょう、聖子さん
その一瞬の輝きは、永遠なのだから・・・
翌1984年1月1日。
各メディアには、「松田聖子、奇跡のフィナーレ」「聖子が奇跡を起こした!」「松田聖子という奇跡」という大見出しが踊っていた。
そんな中、マスコミ各社に1枚のFAXが届く。
パラレル聖子の全米進出デビュー曲が,
決定したというのだ。
タイトルは、『ハイヌーンは熱く』。