買い物に出かけた。
平日であれば仕事帰りの夕方に済ませるところだが、今日は祝日。台風の影響でいつ雨が降り出すかわからない空模様だったため、「尚更早めがいいだろう」と思い、スーパーの開店時間に合わせて家を出た。
我が家の火曜日の定番といえば、刺身の柵を買って妻に作ってもらう海鮮丼だ。
意気揚々と開店直後の店内に足を踏み入れたものの、広告の品などは並んでいるものの肝心の通常品はまだ棚に出ていない。
そういえば、高校生の時にスーパーでアルバイトをしていた頃も、開店と同時にすべての売り物が綺麗に揃っていることなんてなかったなと思い出す。
狙っていたアトランティックサーモンの柵は、いったいつ店頭に並ぶのやら。
気長に待とうと、店舗の鮮魚コーナーの調理場をのぞき込むと、ちょうどサーモンを取り分けている姿が見えた。
「お、これはすぐに店頭に並べてくれるかもしれない」
そう期待して待ってみたが、どうやらそれは刺身の盛り合わせ用に確保されたもののようだ。いつになったら柵が並ぶのかと棚の前でうろうろしているうちに、あっという間に1時間が経ってしまった。
さすがに不審に思われたのか、気にかけてくれた店員さんが声をかけてくれた。
「どうかされましたか?」
「あ、アトランティックサーモンの柵をください……!」
勇気を出してお願いすると、快くその場ですぐに出していただくことができた。
最初から調理場に直接声をかければよかったのだ。アルバイト時代の自分なら、お客さんから欲しい商品をハッキリ言ってもらった方がありがたかったと分かっているはずなのに。
頭でわかっていても、いざ自分が客になると声をかけるタイミングを計ってしまう、そんな少し不器用な祝日の午前中だった。