「過去」は積もる・・・掻きだしても、搔きだしても・・・そのうちに凍り出す・・・刺さる、痛い「過去」・・・ふと、思う・・・その鋭角な「過去」・・・氷柱のように・・・磨くのは私たち、では?・・・好きで刺してるんでしょう?・・・そうなんじゃ?

 

・・・・・・忍(山口紗弥加)もそうだった・・・だから作品が書けた・・・吐しゃ物が絵の具になる?・・・紙は虚構のステージ・・・でも、その二次元にわたしを還元したかった?・・・だから、書けた・・・酸欠状態に苦しみながら・・・母の顔と女の顔が互いに邪魔し合う・・・彼女の顔・・・その顔が彼女に書かせた、のだ。

 

・・・・・・でも、書けなくなった・・・いや、書いてるんだけど・・・「工場」の生産工程のようだ・・・ペンと色の寄せ書き・・・自前の吐しゃ物ではない・・・そう、書くことの痛み?・・・それだ・・・その痛み、恋しくなる・・・どうなんだろう?・・・もう終わったこと?・・・ふたつ前の「躓き」でひとつ前のそれを客観出来ることがある?・・・漫画編集者も元カレ・岡野(池内博之)・・・彼女を何処かに連れていくのか?・・・それとも・・・彼女の脳裏にある、死んだ夫・・・いや、彼は紛れもなく生きている・・・でも、亡き人の現前のようだ・・・リビングで一緒に遊んでとせがむように・・・姿をみせる・・・構って欲しかったんだな・・・旦那も・・・そりゃ、悪かった・・・もう遅い・・・後悔?・・・だから、現れる・・・今日も

 

音が腫れあがるような振る舞い・・・消えた・・・うがいの音すら静謐に聞こえる、とは?

・・・でも、また何かが始まる・・・始めることになる。