去年の今日はこれを書いていたのか・・・・・

・・・受難だったとは思いたくもないが・・・一歩、前へ。

 

「お母さんを悲しませないと約束して。」・・・息子の聖哉は言った、あの日。

悔やんでも悔やみきれない、その日のことだ。

 

どっちが大人なんだか?・・・島田(江口洋介)はそう思ったのではないだろうか・・・夫婦のこと慮りながら、消えるなんて・・・しかも俺のせいで・・・息子は父の仕事を理解していた・・・反社会勢力との関係・・・情報収集・・・疑似なんだ、よ・・・大人の事情、でしょ?わかってる、よ・・・そんな感じ。みごとな客観・・・話終わらせる名人、の子

 

江口洋介が素晴らしい。深入りして汚れに気づかないまま蝕まれたかのようにも解釈されかねない物語なのだが、父の尊厳とそれをきちんと認める親子関係の凛々しさが素晴らしい。西部劇のような?・・・『パリテキサス』?

でも、息子は死んだ・・・自分が追い詰めた仕事絡みの男・・・薬物・・・蝕みに息子を奪われた・・・なんてこと・・・でも、これは俺の仕事、だ・・・悔やみきれないが・・・仕事、なんだ・・・息子は、父を慕っていた・・・だから後を追った・・・そして、撃たれた。

探偵稼業にやつした島田は、死に場所を探して、た・・・だから、爆弾製造した武村(塩見三省)を抱えた・・・これで楽になる、か。

 

与えられた寿命の全う・・・過去3回のひとたちは皆そうだった・・・病院で死ぬということ・・・寿命は全うする為にある・・・それも尊厳。生きながらの苦行・・・でもひとりで悩むことはない・・・ふたりになれば・・・そう。一人称複数で支え合うこと。抱え合うこと?

 

島田の元妻・時恵(板野由夏)の父・三井(山本)は、別れたふたりにそれを伝えたかった。彼もまた、限られた命。それを振り絞る。秩父の札所巡り。亜花里(上白石萌歌)と介護士春紀(志尊淳)と和子(倍賞美津子)も同行。巡礼の旅が続く。・・・時恵の心情・・・島田を許したくても許せない・・・許そうとするわたしを別のわたしが許さない・・・そう、思ったのでは?

 

・・・ここはボケ封じの寺、だよと三井は言う。

以下は、推測また推測だが、時恵の父は、この時は意識がしっかりしてるが故に考えたことだ。・・・痴呆症の「ふり」をしたのでは・・・第三者になること・・・そう、息子の聖哉が乗り移ったかのように・・・話を終わらせに、来た・・・夫婦の問題を解決に降りて、来た?・・・それだといい話では・・・そうあってほしいと思った。・・・ふたりは受け入れた・・・受難だったとは思いたくもないが・・・一歩、前へ。

 

「時恵さんは、ユーミンが好きなんですよ、ね」・・・亜花里が言う。

補導された時歌えなかったあの曲・・・今は、歌える

・・・♬あなたを苦しめるすべてのことから守ってあげたい・・・深い歌詞だったんだな

この夫婦の為の歌、だ。

 

三井は旅だった・・・まぁ、安堵出来たか?

 

山道を登る、江口洋介の表情が素晴らしい。

堪えかねることの限界を更に堪えに堪えているようである。この風貌には、彼が背負うものすべてがある。