去年の今日はこれを書いていたのか・・・・・

・・・・・・弱さを知る人は何かを紡ぐ。そこにニセモノとホンモノの区別はない。あなたの脳に溜まり、紡いだ文字は只の文字じゃない。その人生の「溜め」に賞味期限はない。美味しいな、とあなたが思えれば、賞味期限フォエバー、だ。歩くことで、生活を知る。生活を知ることで世間を知る。世間を知ることで、世界を知る・・・底辺も含めて。

苔むすまで歩く。疲れたら眠る。どこでも、あたりかまわず。

 

 

「これこそ、あんたの爆弾じゃないか」・・・探偵稼業の島田(江口洋介)は言った。

 

元ホームレスの武村(塩見三省)に残された命の時間はもうない。

でも、生きなきゃ・・・わたしもあなたも

爆弾犯じゃなかった・・・かつて何処かで会ったホンモノ作りの男・・・プロ?・・・その直伝で作ったんだ、が・・・不発だった・・・ニセモノか・・・自分と一緒、だ・・・いいじゃないか。ニセモノでも不発でも・・・不発でよかっんだよ、爆弾は・・・当然、だ・・・でもあんたの爆弾はこれじゃない・・・ノートに書かれた小説・・・私小説か?・・・それがあなたの爆弾だ

 

劣悪な生活保護受給者の宿泊所。人を見下す運営者たち・・・吹き飛ばしてやろう、か・・・爆弾・・・団結・・・すべて幻想・・・誇大妄想の世界・・・この世界。欺瞞と嘘と形骸?そこに刃向かう虚勢?

いいじゃないか、あなたはドン・キホーテじゃない。弱さを知っている。

弱さを知る人は何かを紡ぐ。そこにニセモノとホンモノの区別はない。あなたの脳に溜まり、紡いだ文字は只の文字じゃない。その人生の「溜め」に賞味期限はない。美味しいな、とあなたが思えれば、賞味期限フォエバー、だ。歩くことで、生活を知る。生活を知ることで世間を知る。世間を知ることで、世界を知る・・・底辺も含めて。

苔むすまで歩く。疲れたら眠る。どこでも、あたりかまわず。

 

「聴きたい歌はない?」・・・介護士春紀(志尊淳)は武村に訊いた。

高田渡の『生活の柄』・・・♪あたりかまわず寝たのです

・・・そうだよな、土の上を歩き続けること・・・そんな風に土に還ったあなたはすごい人、だ。

 

私は、88年の汐留で高田渡のこの曲をライブで聴いたことがある。はちみつぱいの再結成コンサートのゲスト出演だったが、昭和の巌窟王と紹介され、ちょっと笑いながら怒っていた。まぁ、いつも笑いながら怒っているような雰囲気があり、にこやかでありながら顔は怖かった。ペーソスやユーモアを交えながらも、何処かで怒声で叱られそうな一徹さが好きだった。

 

ある人が、パンクロックのルーツはボブディランのバックバンドの”The Band"ではないか、と?言ってた。ペーソスやユーモアを交えながら、庶民や市井が生活を語る時、ある一点を越えると怒りになる。当然、だ。人間だもの。土臭いブルースやカントリーやバンジョーの音色が、一転して弦をかきむしる怒りの表現になる・・・当然、だ・・・人間だもの・・・そうやって生きている。

 

塩見三省さんの顔が子怖かった。高田渡さんにも雰囲気が似てた。怒声はないが、計り知れないホンモノとニセモノの混沌を背負いながら、人生の賞味期限を叩きだし、突き出すこと。昭和とはかくのごとく、威厳があった・・・それを忘れてはいけない・・・昭和フォエバー、だ。